おらが村のコドモの伝説
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わたしが小学生時代を過ごした場所は、
ちいさな村でした。

ある日、雑木林のなかで遊んでいると、
土の上に
きらきら光るものがありました。

手に乗せてみると、100円玉。
当時、お小遣いが10円だったわたしには
とんでもない大金に思えました。

びっくりしてまわりを見わたすと、
もうひとつ100円玉が。

2枚も100円玉が落ちているなんて、
これは大事件だ!
と心配になり、
ちかくの交番に届けに行きました。

お巡りさんは100円玉2枚と引き換えに、
ご褒美用のノートをくれ、
「いいボコだ」と褒めてくれました。

両親の都合で
その村に引っ越したわたしには
その土地の方言が分からず、
「ボコ」が疑問のまま交番を出ました。

交番のちかくで会った友だちに
さっそく「ボコ」のことを尋ねると、
「ボコ」は子どものことで、
つまりわたしのことだとわかりました。

小学生のわたしは
よほどうれしかったのか、
「100円ひろったボコだよー!」
と大声でさけびながら、
交番のまわりを
何回も踊ってまわったのでした。

(粒子)

2024-07-04-THU

とじる
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