こんにちは。
リリー・フランキーです。
本は今まで人知れず結構な数を出していますが、
ぼくの本は本屋さんにない場合が多く、
あっても外国人作家のコーナーだったりで、
自分の本を探すときは
そっちに行った方が早いくらい‥‥。
今まで書いていたものは親御さんが見たら、
ちょっと子供に読んでほしくないような
特殊なものが多かったですね。
『東京タワー』は、そういう特殊なものを
読んでくれる人はもちろん、できるだけ多くの人に
読んでもらいたい、と、初めて思った特別なものです。
母親は東京タワーの梺の病院で息を引き取りました。
そのとき、渋谷のスクランブル交差点とか
人がいっぱいのところを見て
こんなにたくさんの人たちも、
俺と同じように、すごい悲しいことを経験している、
あるいは、いずれするかと思ったら、
『東京タワー』は、自分の家族の話を越えて、
すべての人と共有できるのでは、と。
読んでくれる人が「自分の思い出」なり
「自分の現実」に戻って行って、
その人自身の深く大切なところに触れていく‥‥
そういう機会にこの本がなってくれたらいいと
思ってます。
(文責・東京タワー制作所)     閉じる