2024-07-04

わたしが小学生時代を過ごした場所は、ちいさな村でした。

ある日、雑木林のなかで遊んでいると、土の上にきらきら光るものがありました。

手に乗せてみると、100円玉。当時、お小遣いが10円だったわたしにはとんでもない大金に思えました。

びっくりしてまわりを見わたすと、もうひとつ100円玉が。

2枚も100円玉が落ちているなんて、これは大事件だ!と心配になり、ちかくの交番に届けに行きました。

お巡りさんは100円玉2枚と引き換えに、ご褒美用のノートをくれ、「いいボコだ」と褒めてくれました。

両親の都合でその村に引っ越したわたしにはその土地の方言が分からず、「ボコ」が疑問のまま交番を出ました。

交番のちかくで会った友だちにさっそく「ボコ」のことを尋ねると、「ボコ」は子どものことで、つまりわたしのことだとわかりました。

小学生のわたしはよほどうれしかったのか、「100円ひろったボコだよー!」と大声でさけびながら、交番のまわりを何回も踊ってまわったのでした。

(粒子)

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