松本 |
こないだ赤塚不二夫さんと対談させてもらって、
赤塚さんもようわかってる人で、「シュール」とか、
ああいうのに逃げるな、っていう話をしました。
今の若い子は、ルールがないから。
それがね、ちょっと、クヤシイなあって。 |
糸井 |
俺が今興味あるのは、そのうんこちんちん型なんだけど、
人間を動物にまで持ってっちゃった発想で考えないと、
わかんないこと多すぎるなあって。
それやっと最近解ってきたんだけど、
それこそ解剖学とか、そういうレベルまで行っちゃって、
最初にやったように「最初に好きになるの、顔でしょ」
っていうのを認めない社会が長かったじゃないですか。
人類文明史みたいのって。
でもその前の100万年っていうのを、
ちゃんと整理しないと。
だって、西暦2000年ったって、たったの2000年だけど、
その前に人間は100万年生きてたわけじゃないの。
100万年もってきたんだから、
そこのほうが、すごいんだよね。
そこに俺は、うんこちんちんが本当はあるんだと思う。 |
松本 |
あるんですよ。 |
糸井 |
そこをね、ちゃんと学べない限りは、
痙攣的笑いで終わっちゃうんですよ。
「それ古い!」とかそういうのイヤだよねえ。 |
松本 |
漫才でちょっとウンコっていう言葉が出てきただけで
「下ネタやってる!」って。
待て!、と。
「ウンコ」って言葉が出ただけで、
なぜお前は下ネタだと決めつけるんや。
このウンコの使い方は今までなかったウンコの使い方やぞ。
ウンコをなめんな!ってね。
それを僕はずっと謳ってきたんですけどね。
なかなか理解してもらえないんですよね。 |
糸井 |
だから不用意に全然使わないでいるよね。 |
松本 |
必要があれば出す、そのウンコの出し具合をね、
全然わかってくれないんですよね。 |
糸井 |
わかられないね。それはね。
文明以後のウンコの使い方しかしていないのよ。
言っちゃいけない言葉だから言ってウレシイってところで。
それは笑いじゃなくて、タブーに触れただけの笑いなんで。
松本人志は気持ち良くしたいわけでしょう? |
松本 |
それをね、言葉で説明するのは時間がかかるんですよ。 |
糸井 |
難しいね。
今度さ、赤塚さんじゃないけど、
吉本隆明さんと対談してみない? |
松本 |
はいはいはい。 |
糸井 |
僕、セッティングしますよ。
2週間にいっぺん、吉本さんのところに行って、
人生相談つくってるんですよ。……面白い。
おんなじこと何度も言うような「老人」は入ってるの。
それから「この話、こういう向きに行っちゃうと困るな」
っていうようなじれったいところもあるの。
でも必ず最後に自分で原稿をまとめなけりゃ
いけないんだけど、2時間分を、
ほんの2、3ページにまとめると、シンクってんのよ。
この4月からあらためて通うようになって、
前からずっとつきあいは会ったんだけど、
友達としてしか付き合ってなかったんで、
ちゃんと話なんかしてなかったの。
で、いま、テープ持ってって、ずっと聞いてるけど、
俺、半年で、学んじゃったなぁ。
で、松本人志って話も、去年の秋、出て、
「あの人、僕が思うに」って彼が言うには、
「本の中に全部出てる」。確かにそうなの。
だけど、もったいないと思ったんで、
もうちょっと違うんですよってことを言って、
で、ビデオ送ったりしてたんだけど、
「わかりました」って言ってたから、
今度話、できると思うんですよ。
松っちゃんからしたら話遠いなあってところに
連れていかれると思うんだけど、
俺、立ち会うし、大丈夫だと思うんだ。
「この方向だよね」って言うと「ああそうかそうか」って
戻ってくれると思うんですよ。
もしスケジュール組めるんだったら、
とんちんかんになっても、会うべきだと思う。
本当に、すごい。
俺、あの人が死んだら……家出するね。 |
松本 |
(笑)。 |
糸井 |
家出するっていう言い方ヘンなんだけど、
俺、支えがいったん、なくなるね。
俺、松本さんが「さすがわかってらっしゃる」的なことを
言われたときのセリフがあるとすれば、
全部吉本さんですね。原点は。
それを自分なりに解釈して、吉本さんは言ってないけど
俺はこうだと思うっていう言い方を
しているだけだと思うんで。会おうよ! |
松本 |
そうですか……。 |
糸井 |
メディアかまわないんですよね?
あとで本にしてもいいじゃないですか。ぜひ。
あと、たとえばさ、生きものの原点って
パイプ状なんですよ。食物を取り入れて排泄して、
パイプがもういっこパイプをつくるっていうのが生殖活動。
そこまでさかのぼっちゃうと、
わかることがものすごく多いわけ。
たとえば解剖でいうと、舌と腕の発生って同じなんですよ。
笑っちゃうけど、ベロって、食べ物を取り入れて
飲む仕事をしてるのよ。これって手も同じじゃない。 |
松本 |
あ、そうか。 |
糸井 |
発生的には同じなんです。
さらに、舌もセンサーですよね。熱いか熱くないか調べる。
手もそうだし、舌も、苦い甘いしょっぱいで、
危険か安全かどうかためすセンサーなんです。
全く同じ役割をして、精子と卵子が結合してから
だんだん分割して、発生していくには、
おんなじ場所にいたものなんですよ。
そうやって考えてみると、大脳って単なる連絡係にしか
見えないんですよ。
そうすると、脳で考えられることって、
ある意味ではほんの一部なんですよ。
ほとんどは、もっと、甘いだのしょっぱいだの、
あるいは、目の前に来たからパッと払うだの、
そういう部分で動いている。
人間の原点はそこまで行っちゃうんです。
で、なのに、人間は特別な神様から進化したっていう、
たった2000年の思想を信じ込まされているおかげで、
ウソをついているわけだ。
それは社交ダンスやフォークダンスが
女と抱きあいたいからってのを、
違う理由をつけて型をつけていったように、
最初なんだっけ? って考えてくと、
ウソばっかりついてる。 |
松本 |
ウソばっかついてますよね。 |
糸井 |
そのウソの構造を立派にしてくと、それはそれで
世界観ができるから、遊びとして完成するわけですよ。
「それは本当はウソだよね」って解ってて遊べるわけだよ。
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