モノポリーエッセイ

モノポリー日本選手権
全国大会結果報告(その2)



こんにちは。
モノポリーの日本一を決定する、
そして世界一へ片手が届く大会、
「モノポリー日本選手権」。
レポート第2回目。
いよいよ実際のゲームが開始いたします。

まず、開会式の席上で行われた、
選手の自己紹介兼1回戦テーブル決め。
「人気者」の選手が多くいるテーブルは
早い時刻に定員になる一方で、
残りのテーブルにも次第に選手が集まっていきます。

例えば、2番テーブル。
ここは関東を中心に各地のモノポリーサークルで
日ごろから定期的にモノポリーのゲームを楽しんでいる、
いわゆる「フリーク」の人たちが
何名か集まってきたようです。

九州地区大会をご夫婦で
同時に突破された篠塚博文さん・万里子さんは、
1回戦のテーブルも仲良く
同じ1番テーブルを選択しました。
特にご主人の博文さんは、
地区大会の成績は奥さんが1位、
自分が2位だったことを気にかけているらしく、
冗談交じりにではありますが、
「家長として妻よりも
 上の順位をとらなければいけませんね」
といった意味の挨拶をしていました。
全国の舞台でいきなり実現した「夫婦対決」にも、
注目です。

かくして、1回戦の6つのテーブルは
全て選手が決まりました。
あとは試合の開始を待つばかりです。

1回戦が行われる会場には、
ゲーム用の6つのテーブルと、
選手用の椅子、そしてバンカー用の
サイドテーブルとイスが設置されています。
この大会では各テーブルに
専任の「バンカー」がつくのです。

いよいよ大会開始です。
選手たちが一斉に元気よく、
「よろしくお願いします!」と開始の挨拶を行い、
最初のダイスが振られます。

ここで、今大会のシステムを紹介しましょう。
昨年までの「順位ポイント制度」に代わり、
今年は「総資産制度」となっています。
つまり、各ゲームで資産として残した金額、通貨単位は
使用するボードが「ウルトラマン版」であることから
「ウルトラマネー」と呼ばれますが、
このウルトラマネーをたくさん集めた人が上位となります。
単純明快、お金をたくさん稼いだ人が
評価されるわけですね。
ただし、「モノポリー勝ち」
(自分以外の全員を破産に追い込み、
 時間内に決着をつける勝利)
だけは特別な評価となり、
一律10,000ウルトラマネーとなります。
逆に、モノポリー決着しなかったゲームでは、
資産の上限を6,000ウルトラマネーで
「頭きり」されることになります。
普通の勝利と「モノポリー勝ち」とでは、
最低4,000ウルトラマネー以上の
「資産差」がつくわけです。
予選を突破するためには、おそらく最低でも一度は
この「モノポリー勝ち」を
達成する必要があるだろうというのが、下馬評のようです。

どうでもいいことですが、
この「ウルトラマネー」という
独自の単位がなかなか発音しにくいのか、
交渉が進むにつれて、
いつの間にか「100ドルつけてください」のように
慣れ親しんだ「ドル」を使っている人がみられます。
まあ呼び名が違うだけで、
換算レートは同じ「1ドル=1ウルトラマネー」なので、
呼び間違えても実害はなく、特に問題はありません。
ついでに言うと、
「スーパーメカ(SM)」(鉄道)、
「宇宙ステーション(ST)」(電力水道)、
「基地」(家)、「タワー」(ホテル)、
そして各カラーグループの地名もとい星名?や、
カードの名前や指示なども呼び名や表現が違うので、
不慣れな人は要注意です。
特に、チャンスカードと
地球防衛基金カード(共同基金カード)は、
それぞれカードの色が青色と赤色というのが、
ベテラン勢を中心に
「めくり間違い」を起こしやすい要注意ポイントです。
冗談のような話ですが、
以前に開催されたとある大会では、
「3マス戻ってバルタン星人(ボードウォーク)に止まる」
なんて場面が出現して初めて間違いに気づいた、
などという逸話も残っているくらいです。
まあ、用語を言い間違えたくらいでは、
特段ペナルティは課せられませんが、
せっかくウルトラマン版を使うからには、
雰囲気を大切にして、このあたりにも表現にも
気を配っていただければ嬉しいですね。
もちろん、どんなボードを使っても、
交渉はてきぱきと、条件提示は具体的に。
山場の難解な取引であっても、
カラータイマーが点滅しないうちに迅速にまとめましょう。

脱線はこれくらいにして、
ここで、1回戦屈指の好カードと前評判の高かった、
3番テーブルの様子をお伝えしましょう。
そう、開会式で真っ先に定員枠いっぱいとなった、
あのテーブルです。
このテーブルのメンバーは、
世界チャンピオン百田郁夫さん、同じく岡田豊さん、
日本チャンピオン表寺修さん、BMC代表山本尚意さん、
北海道1位渡辺書成さん、近畿3位水沼知博さん、
の6名です。
前回もお伝えしたように、実に豪華絢爛。
このメンバーでゲームを行うと
いったいどのような展開になるのか、
興味深い方も多いのではないでしょうか。

ゲーム序盤、まず順調に権利書が買えていたのは、
岡田さん、水沼さんの2名、
ついで表寺さんといったところ。
逆に、山本さんは権利書を何も買えずに、
しかもカネゴン出現(所得税)などで
現金も減らしているという、かなり運の悪いスタート。
岡田さんはグリーン(Gr)1枚目の競売を、
定価を上回る310ウルトラマネーをコールして
「気合で」落札させるなど、力強さを見せます。
その効果か、岡田さんはこの後も順当に購入を続け、
ダークブルー、ライトパープルを除く
6色を手元に置きます。
場が動き出す直前の、
主なカラーグループの権利書の状況は、
だいたいこういう配置だったと思います
(名前の後の括弧は駒の位置です。
 なお記憶に基づくもので、
 不正確なところがあるかもしれません)。

百田さん(Or付近):ST、Re、DB
表寺さん(GO付近):LP、Or
山本さん(Gr付近):Gr
(注:1枚しか購入していないが現金は
   500くらいしかない)
渡辺さん(刑務所):SM2、LB、Ye
水沼さん(LP付近):ST、SM、LB、LP2、Or、Ye、Gr
岡田さん(Re付近):SM、DP、LB、Or、Re、Ye、Gr
バンカー(売れ残り):DP、Re、DB

一般に、権利書をあまりにも「買いすぎ」ると、
現金が少ないなど、動き方がわからなくなり、
かえって「困ってしまう」ような表情の方を見ます。
その意味もあって、
ここでは世界チャンピオンの岡田さんが、
この「レインボー」状態から後、どう動いたのかを、
つぶさに「再現検証」してみたいと思います。
自分が有力なカラーを揃えて経営するのは当然として、
ここで岡田さんが気にしていたのは、
唯一自分が持っていない、
そして一発逆転の破壊力がある「ダークブルー(DB)」が
2枚とも売り切れることだったように思います。
以降の交渉の流れは
このDBを封殺するための意図がみられます。

どんな交渉を行ったのか、
そしてゲームの決着の行方がどうなるのか。
次回はこの続きをお伝えしたいと思います。

2004-09-17-FRI

BACK
戻る