モノポリーエッセイ |
モノポリー日本選手権
全国大会結果報告(その3) こんにちは。 モノポリー日本一を決定するための大会、 「モノポリー日本選手権」のレポート。 前回に続き、予選1回戦の3番テーブルの模様を お伝えしましょう。 岡田さんが「レインボー」状態から、 どのように動きだすのかという場面です。 まず、水沼さんと大型トレード。 権利書3枚ずつの交換です。 岡田さんが放出したのは、 オレンジ(Or)、レッド(Re)、 宇宙ステーション(ST=アトランティック版の電力水道) の片割れ。 対する水沼さんが出したのは、 イエロー(Ye)、ライトブルー(LB)、 グリーン(Gr)です。 「あれ、スーパーメカは取引に絡ませなかったの?」 と感じた人がいるかもしれません。 岡田さんにとっては、ここでGrも2枚とすることが、 実は後述する作戦だったと思われます。 この交渉成立後、水沼さんは表寺さんと Or、LPで「ツーペー」 (お互いに権利書のグループを そろえあうことができる状態)となります。 表寺さんは現金を最も多く持っている (このとき1500ウルトラマネー程度あったと思われます) ため、交渉相手としては非常に優良です。 一方の岡田さんは、渡辺さんとLB、Yeでの 「ツーペー」になります。 岡田さんと渡辺さんは 更に2名あわせて 3枚のSM(スーパーメカ=鉄道)も持っています。 どちらも「次の展開」が わかりやすくはっきりと見えており、 公正ないい交渉だったのではないでしょうか。 この「ダブルツーペー」ともいうべき体制から、 次の交渉は、岡田さんと渡辺さんの間で 「先に」成立しました。 岡田さんがLB2枚とSMを放出、渡辺さんはこれに対して、 Yeに現金600をつけます。 これで岡田さんはYeのカラーグループを揃え、 一方の渡辺さんはLBとSM3枚を揃えました。 ここで更に、岡田さんは、 Gr2枚を山本さんに470で売却し、揃えさせます。 自分の駒位置がレッド(Re)付近なので、 一見すると「行く先の土地を放出する」 危なっかしい交渉に見えますが、 これは表寺さんと水沼さんの間で LP、Orの「ツーペー交渉」が成立するのを 邪魔するための布石だと思われます。 つまり、「手前のGrよりも将来のLP、Or」を 脅威と判断したようです。 思惑通り、自分ではGrを経営するお金のない山本さんは、 ここぞとばかりにGrのセットを 表寺さんに売り込みに行きます。 表寺さんとしては、 普通にツーペー交渉で 水沼さんと有力カラー(LP、Or)を揃えあい お互いにライバル同士となるよりも、 魅力的に映ったのかもしれません。 この交渉は成立し、表寺さんは 山本さんから更にお金をつけてもらう形でGrを揃えます。 山本さんにとっては、基地を1軒も建てられないGrよりも、 水沼さんと交渉してLPに 何軒か建てられる体勢に持っていったほうが いいわけですから、ここは頑張りどころでした。 逆に、水沼さんにとっては、 自分の交渉相手が「現金持ちの」表寺さんから 「貧乏な」山本さんに代わってしまい、 かなりのビハインド。 一方の表寺さんも、自分がLBの手前にいることから、 すぐにはGrに家(基地)をたくさん建てづらく、 情勢はますます岡田さん有利に見えてきました。 結果的に、水沼さんは、 お金のない山本さんとなんとか交渉し、 Orを6軒スタート。 一方の岡田さんがYeを 余裕の8軒スタートであることと比べると、 内心「こんなはずではなかった」と 思っていたかもしれません。 この一連の動きでは、通常の展開ならば、 一例としてLB12、LP8、Or7、Ye5に 家が均衡するような家の建ちかたに なっていたかもしれません。 ところが岡田さんが間接的に 「もう一方のツーペー交渉」をけん制したため、 実際にはなんと、 LB12、Or6、Ye8、Gr6という形になってしまいました。 いかに「Yeの読み勝ち」であったかがわかります。 モノポリーの交渉では1回の取引だけに限っての損得を 一生懸命に考える人が多いようですが、 むしろすぐに第二第三の布石を打てるのかどうか、 つまり複数の交渉の流れを読めるかどうかが 一番大きいのです。 このゲームのその後を追ってみましょう。 まず、百田さんがYeに捕まり、 800のレンタル料を支払います。 実はこの百田さんがDBの片割れを持っていたのです。 岡田さんがYeを経営することを選んだのは、 DBを持つ百田さんを 最も警戒していたからではないでしょうか。 ここでも先手必勝の作戦が的中し、 これで少なくとも当面は、 DBが大爆発する危機も遠ざかったわけです。 その後もYeには順当にお客が入り、 なんと渡辺さん以外の全員が止まってしまいます。 もう普通に岡田さんが モノポリー勝利してしまいそうですが、 岡田さんはお客がくるたびに好条件での負債交渉を行い、 OrやDBの権利書を「引っ張って」きます。 そのたびに見る者をびっくりさせていました。 そして最終局面。 残っている選手は岡田さん (Orタワー+Ye9軒、現金1000)と 渡辺さん(LHタワー+LP12軒、現金なし)の2名。 誰が見ても岡田さん有利な状況。 しかし岡田さんはLP上で 「連泊」(同じカラーグループ上の2箇所に連続して 止まってしまう事。往々にして勝敗を左右してしまう 大事件となりやすい)してしまい、 このゲームはひっくり返ります。 最後は渡辺さんがモノポリー勝利。 ほぼ完璧にゲームを支配していた世界チャンピオンですら、 ダイスの気まぐれでひっくり返されることがあるのが モノポリーです。 むしろ、OrやYeを相手にまわして、 LBという軽いグループで 互角に渡り合った渡辺さんの「気迫のプレイ」が、 岡田さんの「連泊」を呼んだ形、 というべきかもしれません。 結果だけ振り返ると、岡田さんが 「調子に乗りすぎて高額査定を繰り返した」ことが 仇となってしまったようにも見えます。 しかしこのあたりは個人のプレイスタイルというか、 コダワリの部分。 良し悪しは別にして、 岡田さんはこのスタイルで世界を制したのですから、 ご本人にとっては、 「自分のプレイを貫き通しただけ」なのでしょう。 少なくとも十分に 「ギャラリーを魅せるプレイ」ではあると感じました。 さて、1回戦が終了しました。 他のテーブルの結果はどうだったでしょうか。 1番テーブルでは、九州代表の篠塚博文さんが、 全員が家を建てるいわゆる「殴り合い」の盤面から、 オレンジの経営を成功させて、 幸先のいいモノポリー勝利を達成です。 開会式で宣言したように、 「妻には負けられない」との台詞を見事に実証する、 奥さんのいるテーブルでの勝利となりました。 何よりもご本人が安堵したのではないでしょうか。 前回説明した「モノポリー勝ち」をしたプレイヤーは、 この渡辺さんと篠塚さんの2名だけだったようです。 昨年は1回戦からいきなり4つのテーブルで モノポリー決着したことを考えれば、 今年はぎりぎりまで競り合った、 「一進一退の攻防戦」が多かったようです。 この傾向は、実は今大会の特徴のひとつで、 なんと決勝のゲームにまで みられるようになる現象なのですが‥‥ まだこの段階では、 誰もそこまで予想はしていなかったでしょうね。 そのほかの4つのテーブルで 最も多くの資産を残したのは、 2番テーブルの神さん(5,834ウルトラマネー)、 4番テーブルの金谷さん(6,000ウルトラマネー)、 5番テーブルの名古さん(6,000ウルトラマネー)、 そして6番テーブルの渋谷さん(5,422ウルトラマネー) といったところです。 やはりモノポリー決着(10,000ウルトラマネー)した トップのお二人と比べると、 金額には若干の差がありますね。 とはいえ、まだいくらでも挽回できる範囲です。 誰が決勝に進めるのか、 この時点ではまだまだ全くわからないといっても いいくらいです。 1日目の日程が終了しました。 翌日の2回戦以降に備えて、 選手は部屋に戻り、休養をとります。 中には遅い時間まで 有志で集まってゲームをしていた人も少なくないようです。 せっかく全国から集まってきているのですから、 貴重な交流な場としても、 活用されているのはいいことだと思います。 でもあまり「交流」しすぎて、 「寝不足」にならないように気をつけてくださいね。 今回はここまでです。この続きは次回をお楽しみに。 |
2004-09-19-SUN
戻る |