モノポリーエッセイ

2006年モノポリー日本選手権
全国大会結果報告(その9)


こんにちは。
モノポリー日本選手権。
その決勝卓の模様をお送りしています。
ダークブルーが火を噴きました。
秋田市3軒に柴田さんが泊まってしまい、
1400ジェンコの負債をおった場面です。

この高額のレンタル料はとても一人で負担しきれません。
そこで、まず今井さんと小宮さんが
「分割救済」を申し出ていました。
お二人がレッドとイエローのグループを
裏(抵当に入っている状態)で
それぞれ300ジェンコ前後で引き取れば、
合計してなんとか1400ジェンコが作れます。
柴田さんもここは頷いて聞いています。

しかしここで債権者の大木さんが
おもむろに手を上げました。
「待ってください。その2色を手放してしまったら
 柴田さんは残るダークパープルだけで
 勝利が狙えるのですか?
 どちらか1色は手元に残してください。
 決勝戦なのですから、
 柴田さんも勝つことを考えましょうよ」

この台詞に柴田さんもはっとなったようでした。
確かに、最弱のカラーグループである
ダークパープルだけでは
この先とても優勝は狙えそうにありません。
しかし大木さんに
易々と追加経営を許してしまってはいけない
とも考えられます。
全体のバランスだけを考えるのであれば、
大木さんにはダークブルー以外の土地を与えずに、
今井さんと小宮さんに
ギリギリがんばってもらうのも手ですが、
果たしてどうでしょうか。
ここはじっくりと考えなければなりません。

結論からいえば、柴田さんはここでは
大木さんへレッド3枚と端切れのグリーンを、
全て抵当の状態で800ジェンコという高額で
査定してもらいます。
柴田さんの手元にはイエローの権利書が残り、
道は遠いですがダークパープルで稼ぎながら
逆転の道が一応まだ残っている形。
大木さんの説得に心を動かされたということでしょうか。

さて後半本番です。
今井さんはライトパープルの八峰町を旅館に増築。
まだ一人もお客さんが入っていませんが
交渉とカードの収入だけで旅館にまでもっていきました。
狙われたのは小宮さん。
しかしライトパープルとオレンジの狭間である
自宅の五能線へ綺麗に着地。
小宮さんもここへきて絶妙のダイス目を出しました。

大木さんはそれを見て、
手に入れたばかりのレッドに家を1軒ずつ建築します。
これではまだ小銭程度の収入しかなく、中途半端ですね。
大木さんは少し考えて、
ダークブルーの家を全て自主的に崩しました。
その売却費と、権利書を抵当に入れたお金を使って、
更にレッドに6軒を増築。
レッドは9軒となり、
十分な破壊力を持つ勝負形になります。
これはお客さんが自分の土地である
ダークブルーまで近づいてくるのを待たずに、
より近くの土地へ家を建て替えるという戦法です。
忘れてはいけないのは家を崩すときには
建築時の半額のお金しか戻ってこないということ。
つまり非常にリスクの高い方法なのです。

今井さんがオレンジに入り、200ジェンコ支払い。
菱戸さんは自分もライトパープルの手前ですが
増築して勝負です。
大木さんは刑務所。柴田さんは刑務所見学。
オレンジとレッドの手前に駒が集まってきました。
再び緊張が高まります。

先ぶりの小宮さんと今井さんは
どちらもレッドには入らずに小町へ。
一人が抜けるたびに歓声が沸きます。
最初に捕まったのは菱戸さん。
八峰町の旅館に突っ込んでオレンジが崩壊します。

この崩壊したオレンジを、
すかさず小宮さんが鉄道との交換で入手します。
刑務所付近にいる大木さんと柴田さん、
そして菱戸さん自身もやむをえないとはいえ
ここではお客の一人であり、
オレンジで勝負をするには絶好の瞬間です。
小宮さんは全力で7軒建築。
即、柴田さんが大潟村(セントジェームズ)に止まりますが
ここは2軒しか建っておらずレンタル料は200ジェンコ。
しかしこれでオレンジを9軒とすることが
できるようになりました。

序盤あれだけ形の悪かった小宮さんが、
鉄道で我慢して耐えながら機会を窺う
という教科書どおりの作戦で
見事に勝負形にもってきたのです。
序盤の不利は必ず取り戻せるのだといういい見本でしょう。

皆さんも少々不利でも簡単にあきらめないでくださいね。

(文章:日本モノポリー協会専務理、
    2000年モノポリー世界チャンピオン 岡田豊)

2007-10-29-MON

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