モノポリーエッセイ |
2007年度モノポリー日本選手権 全国大会結果報告(その9) こんにちは。 モノポリー日本一を決定する、 モノポリー日本選手権全国大会。 前回までのレポートに引き続き、 予選2回戦の最大の注目卓での熱戦の様子を お伝えしていきます。 2000年世界チャンピオンと 前年度日本チャンピオン同席でも 十分豪華なのに、さらに予選1回戦の成績上位2人も 一緒になってしまったのが、予選2回戦3番卓。 この大会の行方を左右する熱い戦いが 繰り広げられています。 様々な交渉が難航していたのですが、 「もつれた糸」が徐々にほぐれて、 結果的にレッドの権利書を揃えたのは白井さんです。 コーン(家)をレッドに3箇所ある各土地に それぞれ3軒ずつ建てることができます。 *コーン(家)3軒ずつ モノポリーでは各土地に建設費が同じコーン(家)を 4軒まで建設することができます。 その際、増築するたびに その土地に止まる他のプレーヤーからいただく レンタル料が徐々に増加するのですが、 コーン(家)2軒から3軒への増築において レンタル料の上昇率が最も高いのです。 そのため投資効率を考えると、 カラーグループの各土地に3軒ずつ コーン(家)を建設するのが、 勝利の近道とされています。 白井さんはレッドの各土地に3軒づつ建設したことで、 一気に勝利に近づいたことになります。 白井さんは予選1回戦を勝利しており、 このまま予選2回戦も勝利すれば 文句なしで予選通過確定です。 このゲームに限った優位だけでなく、 大会においても相当優位になるわけで、 全員から「最大の脅威」と認識されたことは 間違いないでしょう。 そのせいかどうか、 と言ってしまうとオカルトになってしまいますが、 結果的にレッドには他のプレーヤーが止まらず、 逆に白井さんは乗り物などに止まって、 建てたコーン(家)を ぽろぽろと崩していく展開となりました。 モノポリーでは、大事なゲームにおいて 有利な条件で経営を開始したカラーグループほど、 なぜか経営に失敗する というなんとも不吉なジンクスめいたものがありますが、 白井さんもそれにはまったような形です。 モノポリーの神様はきまぐれなのでしょうね。 一方、岡田さんはこの結果、 大木さんとオレンジを揃える交渉が できるようになりました。 どちらかが「何もそろわないで我慢する形」を 飲まなければなりません。 お互いの駒位置などを 慎重に測りながら交渉を何度か重ねて、 ここは岡田さんがオレンジ経営を開始します。 結果的には岡田さんのオレンジは順調に育ち、 ライバルの白井さんのレッドも撃墜します。 岡田さんは吸収したレッドも追加経営を開始し、 全力でコーン(家)を建てて一気に勝負をかけます。 *どちらかがカラーグループを経営できない交渉 モノポリーはカラーグループをそろえ、 各土地にコーン(家)をどんどん建設することでしか 勝利できません。 つまりカラーグループを「揃える」のと 「揃えない」のとでは、 全く立場が違うといえます。 2人のプレーヤーの交渉において、 どちらか1人しかカラーグループがそろわない場合、 どちらかが「がまん」して、 次のチャンスにかけるしかありません。 大木さんはライトブルーを自力 (最後の権利書を自分で銀行から購入して、 交渉せずにカラーグループを揃えること)しますが、 この時点ではコーン(家)が すべて売れ切れているような状態で かなり苦しいことには変わりありませんでした。 *ライトブルー コーン(家)の建設費が安いわりには レンタル料がそこそこで、 投資効率が高い場所とされます。 ただし、レンタル料はそれほど高くなく、 他のカラーグループより「攻撃力」は見劣ります。 ここだけで勝利するのは難しいでしょう。 *コーン(家)が売り切れる モノポリーではコーン(家)が32軒しかありません。 コーン(家)がない場合は建設できませんので、 たとえカラーグループを揃えても 「攻撃力」がほとんどありません。 それでも大木さんは腐らず、 他者への救済交渉を重ねて、 様々な物件をあるいは買取あるいは売却と こまめに資産を「動かして」、 途中までは 徐々に追撃の形を作り上げていきつつあったあたりは、 さすがというべきでしょう。 一時は岡田さんも「逆転された」と思っていたそうです。 *救済交渉 ゲームの中盤になると、 高額のレンタル料を支払う場所が増えていきます。 そこに止まって手持ちの資金だけでは 支払い切れない場合、 止まったプレーヤーは非常に厳しくなります。 その際、他のプレーヤーが困っているプレーヤーを 「救済」することがあります。 高額レンタル料を支払えるよう、 困っているプレーヤーが抱える資産を 買い取ったりします。 もちろん救済は「ボランティア」ではありませんので、 余剰資産を的確に見定め、今後に活用できる、 潜在的に有望な資産を中心に交渉していきます。 救済交渉では、 「ダイヤの原石」を発見できる可能性もあり、 劣勢を一気に挽回できるチャンスでもあります。 近年のモノポリーでは、 この救済交渉の巧拙が 勝負の分かれ目になることが少なくありません。 (真ん中右、卓の中で ただ一人カラーグループを経営しておらず、 厳しい展開のディフェンディングチャンピオン大木さん。 しかし、ここから怒涛の反撃で、 さすがの実力を見せつける) ところがここで勝利の女神は再び岡田さんへ微笑みます。 大木さんは、岡田さん追加経営のレッドの土地に まず止まったあと、 次投でなんと「ピンゾロ」。 同じレッドの土地に連続して止まってしまいます。 これで勝負が決まりました。 大木さんは 最後までこのピンゾロの痛手から立ち直ることはできずに、 破産となります。 日本チャンピオンが世界チャンピオン相手に さすがにここは連敗を喫した、という形となりました。 これで岡田さんはポイントを合計174点強とします。 これまでの暫定トップだった白井さんや荒川さんを 直接対決で沈めたことが特に大きく、 岡田さんは他の卓の結果を待たずして この時点で決勝への1位通過が確定します。 予選3回戦は戦う必要がなくなり、免除となるのです。 「さすがに世界チャンピオンは強い」と、 誰もがうなります。 しかし一方では前述のように、岡田さんの予選通過は、 相手が大事な局面で「ピンゾロ」を振る、などの、 いわば「幸運」に助けられた側面が大きかったのも、 事実でしょう。 今回は結果を出していますが、 たとえ世界チャンピオンといえども、 毎度毎度楽勝できるほどモノポリーは甘くはないのです。 その意味では岡田さんも油断することなど全くできません。 さて、決勝卓の席はあと4つです。 続く勝ち名乗りは誰でしょうか。 次回をお楽しみに。 (原文:1999年モノポリー日本チャンピオン 宮野徹 監修:日本モノポリー協会専務理事・ 2000年モノポリー世界チャンピオン 岡田豊) |
戻る |