モノポリーエッセイ

モノポリー米国チャンピオン決定戦に
行ってきました(6)
「恐怖のスピードダイス編」



このたび、私こと
岡田豊@2000年モノポリー世界チャンピオンは、
モノポリー米国チャンピオン決定戦
「2009年モノポリー米国選手権」を見るため、
米国時間4月13〜16日、ワシントンDCにいってきました!
今回はその六回目の報告になります。

このコラムはモノポリー米国チャンピオン決定戦の
ものですが、日本ではすでに
モノポリー日本一決定戦「モノポリー日本選手権」が
始まっています。
今週6月7日(日)はいよいよ関東地区大会が
東京・「ふくい南青山291」にて開催されます。
表参道にある、なかなかおしゃれな施設ですが、
なんと、福井県の施設です。
1階が福井県の特産品販売コーナーもありまして、
私はいつも「焼鯖すし」を買います。
そういえば、2年連続日本チャンピオンの石川さんは
福井県出身。
石川さんにちなんで福井県の施設で
次の日本一を目指しましょう。
詳細は大会申し込みサイトをご参照ください。


さて連載の続きです。
モノポリー米国チャンピオン決定戦は
いよいよ予選1回戦が始まります。
ここで簡単に大会の仕組みを説明します。
全米から24人が参加しておりますが、
4人づつ1卓になって、計6卓で予選を行います。
前回の記事で記しましたように、
予選は90分3回戦行われ、
3ゲーム計の総合成績上位4人が、
デスマッチ形式の決勝(1ゲーム)に進み、
その決勝の勝者が栄えある今年の
米国チャンピオンとなります。

予選の成績はポイント制で、破産者が多く出た卓で、
生き残ることが重要です。
なるべく多くのプレーヤーを破産に追い込み、
できれば最もポイントが高い、
「モノポリー勝ち」(自分以外は全て破産している)を
目指したいものです。
3ゲーム計ですので、決勝進出ラインは
モノポリー勝ちが2回といったところでしょうか。
他人を破産に追い込むためには多少のリスクを背負っても、
アグレッシブにゲームを動かす能力が求められています。
モノポリーの基本原則は「最大の防御は攻撃なり」ですが、
この大会ではそれを忠実に実行していく必要があります。


▲予選1回戦の様子。
会場はウェルカムパーティの会場の隣に設けられました。
メディアの取材もあって、なかなか盛り上がってきました。



▲卓割は主催者側が決めたものですが、
なんとなく卓ごとに「テーマ」があったような気がします。
例えば、この卓は「シニア卓」でしょうか。
前回の大会では見られなかった光景です。



▲選手選びでは、人種、性別などのバランスに
一定の配慮があるような気がしました。
写真はアジア系のプレーヤーです。



▲資産計算書です。90分を過ぎるとゲームを打ち切り、
その段階での資産高で順位を決めます。
日本ではカラーグループごとに資産を計算しますが、
米国ではマスごとに資産を計算します。
日本の方が計算は楽ですが、
米国は家やホテルの建設状況が明確であるのが特徴です。



▲ポイントの仕組みです。
例えば自分以外のプレーヤーを全員破産させる
「モノポリー勝ち」は28ポイント、
4人卓で誰一人破産しない場合の資産1位は19ポイント。
できるだけ多くのプレーヤーを破産させた方がいいのがわかります。



▲大会で使用された紙幣。ポイントは穴が開いていること。
自分で紙幣をもってきて混ぜるようなことができないようにしています。
全ての予選、決勝で違う位置に穴を開け、
一度使った紙幣は二度と使いません。
このあたりが、やたら厳格で、まるでカジノのトランプみたいですね。



また今回採用された新ルールが「スピードダイス」です。
米国でこの1年売られているモノポリーで
ちょくちょく見かけるものです。
スピードダイスを使う主なルールは以下のとおりです。
・1週目はサイコロ2つを振るが、
 2週目からサイコロ2つに加え、
 スピードダイス1個も同時に振らなければならない。
 つまり計3個振る。
・スピードダイスは「1」「2」「3」に加え、
 「Mr. Monopoly」の絵柄が2面、
 「バス」の絵柄が1面にある。
・「Mr. Monopoly」が出た場合、
 残り2つのサイコロの目で移動し、
 なおかつまだ購入されていないマスで
 最も近いところに移動する。
 ただし、全てのマスが売り切れている場合、
 次のレンタル料を支払うマスに移動し、
 レンタル料を支払う。
・「バス」が出た場合、残り2つのサイコロの目、
 どれを選んでもかまわない。
 例えば、「1」「2」と「バス」が出ると、
 「1」「2」「1+2」のどれでも、
 プレーヤーが選ぶことができる。
・サイコロ2個とスピードダイス1個の全てが
 同じ数字の場合、任意の場所に移動できる。
・サイコロ2個とスピードダイス1個の全てが
 数字であるが、
 全てが同じものでない場合、3個計の目で移動する。

このスピードダイス、なんといっても、
偶然性が高まることが特徴です。
特に恐ろしいのは「Mr. Monopoly」。
2箇所でレンタル料を支払うこととなり、
その破壊力は桁違いです。
大会参加者もかなり不慣れな様子で、
スピードダイス特有のルールを頻繁に審判に確認したり、
交渉が難航したり、
とゲームに大きな影響を与えました。

交渉が難航している卓では、
ゲームが1時間近く停滞した例も。
参加者のお父さんが交渉難航を心配して、
私を2000年の世界チャンピオンと知って、
「こうしたらいいよね」とか
「他のプレーヤーはそろそろ妥協すべきだよね」
とかしきりに同意を求めてきました。

参加者ほとんどがスピードダイスの経験がない以上、
いたしかたないのかもしれませんね。
でも破壊力抜群ですので、一瞬で決着したりします。
これまでの米国チャンピオン決定戦では
あまりみられなかった「モノポリー勝ち」が、
予選1回戦で半数のテーブルで見られたのも、
恐怖のスピードダイス効果でしょう。


▲これがスピードダイスだ!
右のマークが恐怖の「Mr. Monopoly」。



▲右から二人目が、前回の米国チャンピオン。
スピードダイス経験は2週間足らずで、
その感想は「デンジャラス」の一言のみでした。
案の定、予選1回戦はすごく苦戦中。



▲左上、二人目が前々回の1999年米国チャンピオン。
私が世界チャンピオンになった際に一緒に大会に参加していて、
お知り合いになりました。
スピードダイス経験はわずか3回ほどということで、大苦戦中。
盤上を良く見ると、大して家がたっていないのに、
彼が破滅的なダメージを受けているのがわかると思います。
これが恐怖のスピードダイス効果ですね。



次回は今回の最大のサプライズ!? を紹介いたします。


(文章:日本モノポリー協会専務理事・
 2000年モノポリー世界チャンピオン 岡田豊)

2009-06-02-TUE

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