モノポリーエッセイ |
2008年度モノポリー日本プレーヤー権 全国大会結果報告(その4) こんにちは。 昨年の日本一決定戦 「2008年度モノポリー日本選手権全国大会」は 去る2008年11月15日、16日に 東京・中野サンプラザで開催されました。 その4回目の報告となります。 その前に、7月12日(日)に開催される サンデー&マガジン版モノポリー大会に参加される場合は、 少し余裕をもって会場の東京ビックサイトに 来られることを、お薦めします。 なにせ前日11日(土)は 機動戦士ガンダムの実物大模型、お披露目の日。 そうです、今世間で大きな話題となっていることです。 同じ湾岸エリアに立地していますので、 交通機関の渋滞が予想されます。 ぜひとも少しでも余裕をもってご出発ください。 さて今回は2008年度モノポリー日本選手権全国大会の 予選2回戦の残りの模様を報告します。 2回戦の第4テーブルをみてみましょう。 ここでは初出場の藤田さんが 早々とカラーグループの経営を成功させています。 追加で他のカラーグループも手に入れると、 防御を考えずに手持ちの現金を全て放出して そちらにも建築。 さらに次の手順で違うカラーグループが 転がり込んでくると、 そこにもすかさず建設。 モノポリーでは本来は経営資源を 少ないカラーグループに集中させるのが セオリーなのですが、 その瞬間に家を建てられるだけ建てる、 というこの単純明快な勝負スタイルは、 多くのギャラリーから喝采を浴びていました。 モノポリーでは、計算ももちろん重要ですが、 特にこのような大舞台での勝負では 「採算度外視の思い切りの良さ」も 幸運を呼び込むためには非常に大切な気がします。 「九州のラッキーガール」 自らをそう称した後に、ちょっと考えて、 「ビギナーズ」という一語を 「ラッキー」の頭に書き加えた、藤田さん。 対人戦の経験はほとんどなかったとのことですが、 たまたま参加した九州大会を見事に優勝。 その勢いのままに、東京でも気持ちのいいプレーを 見せてくれました。 その藤田さんは、 並み居る強豪プレーヤーたちを 続々と「仕留めて」いきます。 このままいけば、モノポリー勝利。 そしてポイントを上積みして、 決勝進出も狙えそうです。 しかし最後の一人、石井@2005年日本チャンピオンが 意地を見せます。 家が崩れても崩れてもすぐ反撃します。 「崩れたと思ったカラーグループに またすぐに家が建つなんて、 コンピューターゲームではまず見られない。 びっくりした!」 各地に家が建ち並び、 「殴り合い」の様相を呈した局面においては、 サイコロの一投ごとにプレーヤーたちの 「浮き沈み」が見られますが、 その都度すばやく状況判断をして交渉を持ち掛け、 運営能力のある者がカラーグループを引き継ぎ、 経営者が入れ替わり、 めまぐるしく家が崩れたり建ったりもします。 そういった動きの速さを見て、 藤田さんはこのようにコメントし、目を丸くしていました。 どうやら「対人」ゲームの奥深さと面白さを、 たんのうしていただけたようです。 この形のままタイムアウトとなり、 惜しくも決着はしませんでした。 石井さんは、すでにお伝えしているとおり、 1回戦でダントツのトップでしたので、 今回のポイント上乗せにより、 予選1、2回戦計の暫定トップ。 規定により、百田さんとともに決勝進出決定となります。 「決勝へあがって、みんなを笑わせたい」 石井さんの全国大会参加の「抱負」は、 いつもこうです。 できればみんなを喜ばせるような、 見ていて面白いゲームをしたい。 そしてそれならば、 ギャラリー全員の注目があつまる 決勝の大一番でのパフォーマンスを披露したい。 優勝1回を含めて これが3度目の決勝進出となる石井さんならでは、 といえるアピールといえるでしょう。 しかも言ったとおりに本当に決勝進出です。 今年はどんなネタを準備しているのでしょうか。 今から楽しみです。 石井さんと百田さん、 この両名がまずは決勝へ進出を決めました。 続いて勝ち名乗りを上げる選手はいったい誰でしょうか。 決勝卓の残り座席は、あと3つです。 間髪をいれずに、続いて3回戦が執り行われます。 このゲームでモノポリー勝利をすれば、 まだまだ大半の選手には 決勝進出の可能性が残されています。 そしてこの3回戦では、 なんと全てのテーブルが モノポリー決着という結果になりました。 いかに選手全員が「完全決着」へ向けて 死力を尽くしたのかが、 これだけからでも伝わってきますね。 運命の3回戦を引き続きお伝えいたしましょう。 まずは、第2テーブル。 こちらも藤田さんと同じく女性で初出場の久保さんが、 「よろしくお願いします」と挨拶をして静かに着席します。 「私のモットーは“丁寧”。 なので、丁寧なゲームを心がけます」 開会式でそう挨拶をして、大きな拍手を浴びた彼女。 もちろん、丁寧なだけでなく、 ゲームを楽しもうという心構えも誰にも負けていません。 この大切な一戦においても、 そのような様子はよく見て取れていました。 そういった心構えのプレーヤーには、 幸運が舞い降りるものです。 その久保さん、序盤から様々なカラーグループを、 なぜか続々と「自力」*していきます。 その後も久保選手はカラーグループに家を次々建築。 これが大当たりで、 あっという間に独走態勢に入ってしまいそうです。 *自力 交渉せずに購入してカラーグループを独占すること。 交渉では定価よりも高い代償を要求されることは 普通ですので、 定価で購入してカラーグループを独占できるのは、 非常に有利ですね。 もちろん、岡田@2000年世界チャンピオン、 宮野@1999年日本チャンピオンなど 他の選手たちも黙って見ていたわけではありません。 実は久保さんは百田さんや岡田さんが講師を勤める 「世界チャンピオンが教えるモノポリー」出身。 岡田さんは「愛のムチ」とばかりに、 久保さんの行く手に様々な「罠」を構築します。 それこそ三重、四重もの「久保包囲網」を 敷きにかかります。 久保さんはこれらライバルたちの攻撃を受けて、 一度はかなり追い詰められました。 しかし冷静に局面を判断し、 経営するカラーグループを変えるなどで、 様々な工夫を施し、再び収入を得て盛り返していきます。 「一度は尻尾をつかんだと思った」他の選手たちですが、 ここまででした。 世界チャンピオンの岡田選手をも葬り去り、 とうとう残っているライバルは宮野さんだけとなりました。 宮野さんは、ここまで レッド*のロンドン(イリノイ通りに相当)に建てた 3軒目の家をなんとか死守しながら、 辛抱して周回を続けてきました。 その理由はただひとつ。 今やチャンスカードの一番上にきているはずの 「ロンドンへ行け」のカードを、 久保さんが引いてくれることを祈っているからです。 *レッド 止まる確率が最も高いカラーグループとして知られ、 外国人、特に米国人には絶大な人気を誇ります。 そこにレンタル料が高い3軒目の家が建っていて、 チャンスカードでそこに直接止まってもらって、 打撃を与えられるチャンスがあるということは、 まだまだ勝利への可能性が相当あるといえますね。 一方の久保さんも、 ただ「ゆるゆる」と回っていたわけではありません。 時間内決着を目指して、 第2第3のカラーグループの追加経営を始めており、 決して手持ち現金には余裕は残していません。 こういったリスクを背負わないと なかなか時間内にモノポリー勝利は得られないのです。 このような「ノーガードの殴り合い」は、 現代モノポリーにおける終盤の見所のひとつ といってもいいかもしれません。 さすがに、先に相手の家に止まってしまったほうが負け、 となりそうです。 レッドのみ経営の宮野さんに比べると、 2箇所のカラーグループを経営する久保さんのほうが、 一見すると確率的に有利のようですが、 前述のように久保さんにとっては 「チャンス」のマスも地雷です。 この状態でカードを引いてしまい、 レッドのロンドンに飛んで、 高額の支払いとなると、かなりのダメージです。 事実上宮野さんと逆転という立場になりかねません。 しかし、モノポリーの女神は、 最後まで久保さんの側に微笑んでいました。 あるいは、このときすでに 他のテーブルが続々と決着しており、 流れてきたギャラリーたちがみんな、心の中で、 初出場の久保さんを応援していたのかもしれません。 ゲーム終盤、誰もチャンスのマスには 止まることはありませんでした。 そのまま久保さんは宮野さんも討ち取り、 このゲームをモノポリー勝利とします。 宮野さんにしてみれば、 文字通り「ロンドン橋、落ちる」といった心境でしょうか。 さて、久保さんは予選1、2回戦を 破産で終わっていますので、 ここまでのポイントは予選3回戦だけです。 結果的に残念ながら久保選手は決勝へは届きませんでした。 それでも十分に宣言どおりの「丁寧なプレー」を慣行し、 ゲームを「楽しむ」ことに専念し、 嬉しい初勝利も達成できました。 来年度以降、更なる飛躍を期待したいですね。 さて、それでは、決勝卓への残る3つの席を獲得したのは、 いったい誰だったのでしょうか。 その続きは、次回に。 (原文:1999年モノポリー日本チャンピオン 宮野徹 監修:日本モノポリー協会専務理事・ 2000年モノポリー世界チャンピオン 岡田豊) |
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