モノポリーエッセイ |
2008年度モノポリー日本プレーヤー権 全国大会結果報告(その6) こんにちは。 昨年の日本一決定戦 「2008年度モノポリー日本選手権全国大会」は 去る2008年11月15日、16日に 東京・中野サンプラザで開催されました。 その6回目の報告となります。 既に決勝戦が始まっています。 石井さんが序盤有利で進行中。 百田さんと石川さんはそこそこよさそうな権利書を 持っています。 柴田さんは権利書が1枚しか購入できず苦しそうですが、 その虎の子の乗り物を石井さんに渡せば、 その見返りは少なくないものがありそうです。 矢田貝さんはなんと言っても ライトパープル2枚が光ります。 誰もが楽しめそうな展開です。 淡々と流れていた局面に一気に緊張感が漂ったのは、 矢田貝さんの一投でした。 「グディニャ(地中海通りに相当)」から 「6ゾロ」を振って、 「キエフ(ステーツ通りに相当)」を購入。 なんとライトパープル*を「自力」しました。 *ライトパープル 止まる確率が低いカラーグループで、 交渉でそろえる際はなかなか悩ましいところですが、 自力で購入できたとなると話は別です。 かなり有利になったのは間違いありません。 さらにゾロ目なので安全地帯に移動できました。 これはかなり有利。ここは家を建築しそうです。 家は全力で7軒くらい建ちそうな資金です。 ところが矢田貝さん、建築せずにスルー。 ライトパープルの止まる確率の低さを考慮して、 ここは転売を考えているのでしょうか。 ところが石川さんがライトパープルにすぐに止まりそうな 「東京」のマス目にいて、 建てるにしても転売にしても 絶好の機会のように見えますが、 やはり何もしません。スルーです。 どうやら給料をもらってから 9軒以上のスタートを狙っている様子です。 モノポリーでは各マスに3軒建てるのが 経営効率が良いとされており、 9軒以上はもちろん有利ではありますが、 直前のお客さんはそれを待ってくれません。 このタイミングを逃せば、 反撃を食らうかもしれないのです。 でもスルーとなりまして、 石川さんは無事に、家の建っていない 「平地の」イスタンブールへ着地します。 矢田貝さんにとって せっかくの先制パンチの機会を逸したのは、 結果だけ見れば、大きかったかもしれません。 続いてその石川さんと百田さんとで、 オレンジを揃えあう交渉を開始します。 オレンジは止まる確率が高く、 かつ家の建設コストが低めで、成長力があります。 日本では一番人気のカラーグループです。 ここはオレンジを経営する側に回ったほうが 魅力的でしょう。 それゆえお互いにとって、 もし自分が経営せずに相手が経営するなら、 できるだけ相手に家を建てさせたくないのが本音です。 そして結果的にオレンジを揃えたのは、石川さんでした。 「やりましょう、やっちゃいましょう」 この一言で、さくっとOKをします。 今年の石川さんは、フットワークの軽さが印象的です。 「ニュー石川」と評判になっていましたね。 百田さんと柴田さんは、 続いてすぐにライトブルーを揃える交渉に入ります。 この交渉は先ほどよりも難航しました。 オレンジが先に揃ってしまった以上、 ライトブルー*の評価はかなり解釈が分かれる場面です。 この交渉は、いったん決裂となります。 *ライトブルー 止まる確率はそこそこで、 家の建設価格が低いのが非常に魅力的なのですが、 レンタル料が低く、パンチ力に欠けます。 破壊力あるカラーグループや、 止まる確率が高いカラーグループと対抗していくのは、 非常にしんどいでしょう。 矢田貝さん、GOマスまで到達して 無事にサラリーを受け取り、 とうとうここで「建てます」宣言をします。 どうやら一度に勝負形の軒数が建つまで 我慢する方針だった模様です。 残りの権利書を抵当に入れて借金をして全力勝負の様子。 ライトパープルに9軒を建築です。 その直後に、柴田さんが トロント(ライトパープルのバージニア通りに相当)に 止まります。 矢田貝さんはすぐに収入を得て 大いに安堵したことでしょう。 この柴田さん支払いで特に大きなショックを受けたのは、 百田さんかもしれません。 これからライトブルーの交渉相手である柴田さんの不幸は、 そのまま交渉条件に跳ね返ってくるからです。 先ほど以上に難航したライトブルー交渉ですが、 ここは百田さんが相当条件を引き下げる形で、 経営する道を選択しました。 でも全力でホテル1軒、家8件という状況。 かなり見劣りすることは否めません。 どこまで反撃できるのしょうか? かなり有利になった矢田貝さんを ライトブルーでしとめることができるでしょうか? その谷田貝さんは、GOマスから華麗に ライトブルーを交わします。 これはもっと有利になりました。 そしてすかさず、後ろから来るライバルたちを狙って ライトパープルに家を増築。 ここは攻撃あるのみです。 その気迫が勝ったのか、石井さんは今増築したばかりの ライトパープルに突っ込みます。 柴田さんに続いて石井さんも ライトパープルに捕らえられました。 矢田貝さんにも石井さんにもとまってもらえなかった 百田さんのライトブルーは もはやすごく苦しくなりました。 一方、矢田貝さんは非常に有利になったように見えます。 自身はとまらず、他の選手が2人もとまっています。 ついにライトパープルは全てホテルになりました。 ワールド版では、家やホテルは 五大陸を象徴する建築物となっており、 ホテルはニューヨークの摩天楼などを思わせる 「高層建築物」もありますが、 ここは矢田貝さん、 「あんまり目立たなさそうな」といいながら、 ピラミッドを選択しました。 ピラミッドは高さが低くて安定しており、 「崩れにくい」と縁起の良さを指摘する人も多かったです。 なにせ、一度建てたホテルが崩れる、 モノポリーではかなり不利な状況を示すものですから。 自力から順調に成長して、 とうとうホテルオールにまでなった、ライトパープル。 このまま矢田貝選手が勝利まで突き進むのでしょうか。 それとも誰かが待ったをかけるのでしょうか。 場内は矢田貝さんで決まり的な雰囲気もありますが、 皆さん、忘れていませんか? 矢田貝さんが経営されているライトパープルは、 一般的に止まる確率が低く、 それだけで勝ち切るのが難しいということを。 そして、本来は勝ちやすいカラーグループであるオレンジが まだ無傷で残っているということを。 しかもその経営者は、 石川@2007年日本チャンピオンであるということを。 場内の雰囲気が一方向に流れた時こそ、スキが生まれます。 そのスキには破滅的な波乱の匂いがぷんぷん漂います。 今リードしている矢田貝さんは それを感じ取ったかどうか‥‥。 次回はいよいよ 日本チャンピオン決定の様子をお伝えします。 (原文:1999年モノポリー日本チャンピオン 宮野徹 監修:日本モノポリー協会専務理事・ 2000年モノポリー世界チャンピオン 岡田豊) |
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