モノポリーエッセイ

2008年度モノポリー日本プレーヤー権
全国大会結果報告(その7)



こんにちは。
昨年の日本一決定戦
「2008年度モノポリー日本選手権全国大会」は
去る2008年11月15日、16日に
東京・中野サンプラザで開催されました。
その7回目、最終のご報告となります。

今は日本チャンピオンが決まる決勝。
勝負所となっております。

この時間帯、一同のマークは、
カラーグループの経営に成功し、
順調にレンタル料を稼いでいる
矢田貝さんへ向けられている感があります。
ただし、矢田貝さんが経営しているライトパープルは、
他のプレーヤーの止まる確率が低いうえ、
破壊力が不足しているので、
まだまだ予断を許さない状況です。
矢田貝さんも、今経営するカラーグループを
他のプレーヤーに譲って、
確率、破壊力ともに上回る
カラーグループの経営に乗り換えることを
考えていないわけはないでしょう。

そんな状況下で実はこっそり力を蓄えていたのが、
石川@2007年日本チャンピオン。
石川さんが経営されているカラーグループはオレンジ。
止まる確率がやたらに高いため、
日本では最強のカラーグループと呼ばれます。
着々と財力を蓄え、
ついにはオレンジに家が9軒建つまでになりました。
逆転をうかがうところまでになっていました。

*オレンジに家9軒
 モノポリーでは通常、各マスに3軒家を建てるのが、
 経営効率がいいとされます。
 3軒目に急にレンタル料が跳ね上がるからです。
 オレンジは3マスですので3軒づつ、
 合計9軒を建てることになります。
 オレンジはモノポリーで止まる確率の高さを
 誇っています。
 止まる確率の低いライトパープルとは
 圧倒的な差があります。

石川選手はグディニャ(地中海通りに相当)まできており、
これから百田さんの経営するライトブルー、
矢田貝さんの経営するライトパープルといった
「敵地」に挑まねばなりません。

ここからは本当に一投、一手の違いが
勝敗を分けるポイントとなってきます。

しかしここで状況が一変します。
百田選手がオレンジのバンクーバー
(ニューヨーク通りに相当)に先に止まってしまいます。
現金をあまりもっていなかった百田さんにとって
痛恨の出来事。
これで百田さんの経営するライトブルーの家は全て崩壊。
オレンジを経営する石川さんにとっては、
目の前に家が林立するライトブルーが
少し脅威だったのですが、いきなり楽な局面になりました。

一方、石川さんをライバル視する矢田貝さんにとっては、
痛恨の出来事!
矢田貝さんにとって、たとえ自分の収入にならなくても、
ライバルの石川さんが苦しむのは大歓迎。
したがって、矢田貝さんは百田さんを応援していたのです。

こうなると矢田貝さんはあせります。
今まで圧倒的優位を築いてきたのですが、
一気に逆転されてしまいました。
栄光の日本チャンピオン間近から、
一気に奈落の底に落とされた気分だったでしょうね。
このままでは矢田貝さんは負けてしまうかもしれません。

ここで矢田貝さんはどんどん動きます。
百田さんが経営に失敗したライトブルー。
そのまま放置していては、ライバルの石川さんが楽すぎる、
ということで、そのライトブルーに再び家を林立させ、
石川さんを苦しめることをもくろんでいます。
結果的に、今まで一度もカラーグループの経営をしていない
柴田さんに、ライトブルーを経営してもらう交渉を
成立させました。
この交渉では明らかに矢田貝さんに厳しい条件。

うまくいけば自分が刑務所にいる間に、
石川さんをライトブルーとライトパープルで
多段攻撃を食らわせて、
オレンジを崩すことができるかもしれません。

*刑務所にいる
 モノポリーでは順調にいけば
 刑務所に3回とどまることができます。
 一種の「お休み」ですね。
 でもこの間もレンタル料を支払う可能性がなく、
 しかも自身の経営する土地の
 レンタル料を受け取ることができますので、
 ただのお休みというより、
 非常にうれしい「お休み」でして、
 モノポリーの世界では
 お願いしてでも刑務所に入りたいという
 状況も出てきます。
 ただし、サイコロをふってゾロ目が出た場合は、
 強制的に出所しなければなりません。

かくして、経営者を代えて
再びライトブルーには家が建ち並びます。
石川さんから見れば、いったんは
視界が開けたと思った場所に、
間髪を入れずにすぐまたホテルが建ち並ぶといった
光景となります。
モノポリーはこのように勝負所では
どんどん状況が変わります。
まさに「天国と地獄」状態ですね。

最初に石川さんはきわどくライトブルーをかわしました。
なかなか今日の石川さんはツイています。
そして直後の矢田貝さん。
刑務所に入ったばかりなので、
ゆっくり休んでいたいところです。
でもサイコロは振らなければなりません。
そしてその目はなんと4ゾロ!
強制出所となりました。

オレンジの、家が4軒建つ「上海」
(テネシー通りに相当)へ突っ込んでしまいました。
先に攻撃を食らったのは意外にも、矢田貝さんでした。
石川さん包囲網を築くため、
積極的に動いていた矢田貝さんは
その過程で現金をあまり持っていません。
これは非常にきつい状況ですね。
ついに栄華を誇ったライトブルーの家が
崩壊してしまいます。

この直後の石川選手は、
家が崩壊したばかりのライトパープルに止まります。
まさしく一手の差が明暗を分けました。

気持ちの糸が切れたかのように、
この後の矢田貝さんは、
再度石川さんの経営するオレンジに止まり、
なんとわずか3投で破産となってしまいます。
まさに非情ですね。
ライトパープルを「自力」した矢田貝選手がまさかの破産。
そう、現代モノポリーは
カラーグループを「自力」したくらいでは
そうそう簡単には勝てないのです。

すでに、百田選手も破産しています。
他の選手たちはどうだったのでしょうか。
多少時系列を遡りますが、ご紹介しましょう。

石井@2005年日本チャンピオン。
オレンジ手前から試練のサイコロとなります。
これまで常に飄々としたプレーで
観衆アピールもよい石井さんですが、
さすがにここは緊張したのか、
サイコロがなかなかボード上で止まってくれません。
ルールではサイコロが2個とも
ボード上に止まらなければなりません。
二度、三度と振りなおしになります。
とうとう五回も失投しました。
もちろんわざとではないのでしょうが、
ここはさすがに審判が注意します。

「ちゃんと(ボード上に)入るように振ってください」

ところがこの表現、運命の本人にとっては
「(オレンジのマス目に)入るように…」
という意味に解釈されてしまったらしく、
へなへなとうなだれてしまいます。
「いつでも挑戦者」のときのような
凛とした言い返しはもはやできませんでした。
ギャラリーからはこれまでにないくらいの
大きな「笑い」が取れましたが、
本人にとっては不本意な「ウケ」だったことでしょうね。
かくして、オレンジの「上海」に二度止まり、
「参りました」と一言。
石井さんも破産です。

石川さんは、オレンジに続き、
レッドを追加経営します。
オレンジもレッドも止まる確率の高いカラーグループ。
もはや磐石です。
このレッドも大当たりで、柴田さんもついに捕まります。
的確なタイミングで経営スタートさせ、
更に追加経営をも成功させる。
モノポリーで勝つための王道のようなプレーですね。

その柴田さん、
最後は「トロント」から「ロンドン」へ進み、破産です。
奇しくも二人の日本人世界チャンピオンが誕生した地を、
確かめるかのように踏み歩いての、
それはラストロールでありました。

ついに決着しました。
それではいまいちど、ご紹介いたしましょう。
石川隆紀さん、2年連続2回目の優勝です!
2年連続はこれまでになかった偉業。
それどころか、この10年ほどの間、
全て日本チャンピオンが変わっています。
連続どころか二度、
日本チャンピオンになられた方もいません。
石川さんはまさに
モノポリー界の新しい歴史を築いたことになります。


▲下段:決勝を戦ったメンバー。上段:大会委員長と審判長。
石川さんはトロフィーをもって喜びをかみしめているようにみえます。



▲全国大会に参加された方と見学された方で集合写真。
翌年の再会を期して、大会は終了いたしました。


この石川さんの天下が続くのか。
それともニューフェースが誕生するのか。
今、2009年度の日本一決定戦が大詰めを迎えています。
でも、今年も間違いなくいえること。
それは大会に参加しない限り、
モノポリー日本一になれません。
どんなモノポリーイベントでもかまいません。
ちょっとだけ勇気を出して参加してみてください。
大丈夫、この記事を読んでいるあなたにも
きっと日本チャンピオンの可能性は広がっています。

特に、ラストチャンス大会(7月18日)と
全国大会(7月18、19日)が開催される
大阪・関西国際空港。
近隣の方はぜひとも一度のぞいてみてください。
あなたの知らないモノポリーの楽しみが
きっと発見できると思います。

では、関西国際空港で
皆様にお会いできることを期待しています。

(原文:1999年モノポリー日本チャンピオン 宮野徹
 監修:日本モノポリー協会専務理事・
 2000年モノポリー世界チャンピオン 岡田豊)

2009-07-14-TUE

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