「20年くらい前から人工知能は、
身体性が非常に大切になってきてますね。」 |
■■ |
森川さんは、
これまでAIを使ったゲームを
作ってきたわけですが、
今後も続けていくんですか?
それとも、たとえばロボットとかに
興味が移って来たりはしてないんですか? |
森川 |
今興味があるのは
「真似」とか「経験」とか
「直感」とか「本能」とか、
そっちのほうですね。
コンピュータに真似させたり経験させるのって、
ボクが今まで知ってた
人工知能に対する教え方とは
まったく正反対のものの考え方なんだけど、
心ひかれるものがあるんですよ。
そうすると、
やっぱりボディをもったもののほうがいいから、
ロボットは..いいですよねえ?
BPはすごい古典的で、
安定したモデルなんだけど、、
使い方が限定されてて
僕的にはもういいって感じかな。
GOFAIなんていわれますよね。 |
松原 |
GOOD OLD FASHONED AI、
古きよきAIですね。
新しいAIをやってる人たちが、
古い人たちを馬鹿にした言い方ですけどね。 |
森川 |
ブルックスでしたっけ? |
松原 |
まあ、いいキャッチですよね。
やっぱり人をけなすときにはいいキャッチで、
レッテルを貼るのが正しいやり方ですね。 |
森川 |
ブルックスというMITのAI研究所の所長は、
ゴキブリ型ロボットのを作って、
これがガンガンに動くんですよね。
驚くべき早さで 障害物とかを
よけるらしいんですよ。
普通のAIのロボットなんかだと、
そのロボットにやさしい
特殊な環境でしかうまく動かないのが、
ゴキブリ型のやつは
ロボットに関係ないものを
そこらじゅうにおいといても動くという。
つまり、考える前にまず動いちゃって、
それでコケたりなんかした
身体からのフィードバックを
取り込んでいくタイプのロボットなんですよね? |
松原 |
体育会系というか、タフなんです。
あまり考えずにね。
20年くらい前から人工知能は、
頭よりは体力というか、
身体性が非常に大切になってきてますね。
真似っていうのがゲームでできると面白いですね。
なんか人間が一人のプレイヤーがプレイしてて、
その登場している機械側がうまくマネる、
というシチュエーションが、うまくいくと。
人間も子供って
そうやって学ぶわけじゃないですか。 |
森川 |
まあ、今すぐにロボットとゲームを結びつけるのは、
なかなか難しいところもあるんですけど、
そっちのほうが、垣根越しに見ると、
楽しそうに見えるんだよねえ。
だから、こういうことしゃべってると、
なんかそういう話くるかなと思って(笑)。 |
松原 |
例えばソニーでは、
ロボットもゲームも作ってるわけですから、
ロボットがゲームになる日も
近いんじゃないですか?
AIBOだって、このあとシリーズが続くとしたら、
やっぱりできる芸を
増やしていくことになるんで、
当然ゲームをさせるってことにもなって
行くんじゃなですか? |
■■ |
松原さんが関わっておられる
ROBO CUP(★3)なんかも、
ロボットを使ったゲームと言えますよね。 |
松原 |
そうですね。
それに、ROBO CUPも
AIBOリーグが一番観客に人気なんですよ。
感情移入しやすいんでしょうね。
2002年からは本田とソニーの
ヒューマノイドもサッカーするはずなんですよ。
あと、あのバンダイの
虫おもちゃ(ワンダーボーグ)とか
あるじゃないですか
あれくらいだと値段的にも手ごろだし、
せっかくだから
あれ使ったゲームとかも出てくるといいですね。 |
森川 |
僕の場合、
今の標準的な
ゲームのコントローラでできるものに
もう退屈しちゃってるんですよね。
もっと外界の情報を使わないと、
予定調和の世界になっていっちゃうと思うんです。
コントローラーの先にセンサーつけて、
昆虫一匹おいて、
その昆虫から情報とりたいとか、
そういうのやりたいよね。
まあ、昆虫は死んじゃうからムリかもしれないけど。
そういう外界との接点があるほうが
広がるなと思うんですよね。 |
松原 |
それで、
センサーとかのインプット系だけじゃなくて、
アウトプットも、ミニ四駆みたいに
いじれるようになると面白いと思うし、
PTAにも受けそうだけど、どうだろう? |
■■ |
AIBOも第2世代になって、
徐々に進歩してきて、面白くなってきますね。 |
松原 |
あれ、結構言葉を認識するんですよね。
初めての人がいきなりしゃべっても大丈夫ですね。
犬やペットに対する
言葉がだいたい入ってるんですね。
おすわり、とか。 |
森川 |
今、あのへんのセンサー関係では、
音声の識別なんかが一番面白いところですか? |
■■ |
『シーマン』とか
『ぴかちゅうゲンキでちゅう』とか
ゲームにも使われてますね。 |
松原 |
この10年で凄く進みましたよね。
IBMのVia Voiceなどもそこそこいけますし。
でも意外なことに音声合成がダメなんですよ。
まだコンピュータがしゃべる声ってひどいでしょ? |
■■ |
そうですか。
結構進化しているのかと思ってました。
音素片合成とか。 |
松原 |
でもまだコンピュータが
しゃべってるってすぐにわかりもんね。
だいたい、今までのアプローチは、
本当の人間がしゃべった
音声データを切り貼りしているわけですよね。
そうすると、不自然ではあるけれども
元が人間の声だからそこそこ行けちゃう。
将棋のソフトの読み上げとかそうですよね。
将棋ファンなら知ってる
女流棋士の声をつかってやってんですよね。
だから将棋ファンはそれで満足するという(笑)。 |
■■ |
そこから先のアプローチが
見えてないってことですか? |
松原 |
極端な話すると、
ロボットに物理的な
声帯を作って発声させないと
ダメだっていう説もあるんです。
でもその人工声帯の開発から始めたら、
時間もコストもすごくかかっちゃいますよね。
21世紀の間にはできるんだろうけど、
ここ数年とかじゃムリだよねっていう。 |
森川 |
それは面白いなあ。
でも、それ声帯の開発とかからやらないと
ダメそうですね。
人間のような声帯のようなブヨブヨした柔軟な...。 |
松原 |
金属的に作ってもぜんぜんダメでしょうね。
人工知能の学者の間では、
音声認識のほうがずっと難しいと思ってましたから、
これは予想外でしたね。 |
★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★
好き嫌いをもったロボット
★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★
|
森川 |
松原さんも最近書かれているような、
ロボットも好き嫌いとか嗜好を持つべきだとか、
感情を持つべきだとか、
本能みたいなものを持つべきだとか、
そのへんってどうなってるんですか? |
松原 |
結論から言うと、
けっこう難しいんです(笑)。
まあ、人間が機械やロボットに求めるものは
2つのタイプに分けられると思うんですね。
ひとつは、人間にとっては、
単調でつまらない作業を、
安く早く正確にコンピュータにやらせたい。 |
■■ |
これまでのロボットの使われ方ですね。 |
松原 |
で、もうひとつは、
人間のように振舞ってよ、と。
人間少なくなってきたし(笑)。 |
■■ |
少なくなってきたからなんですか!(笑) |
松原 |
それでこの2つの要望をですね、
ある時期まで人工知能の研究者は
いいとこどりしようとしてたわけです。
「正確でなおかつ気が利く」
コンピュータ作ろうと思ってたんですね。
でも
「これはいくらなんでも
無謀なこと考えているのだな」
ってことに気がつきはじめて(笑)。
こんなこというと心理学者は当たり前だ!
って言うわけですけども。 |
森川 |
たしかに当たり前ですね(笑)。 |
松原 |
いろいろやってみたけれど、
うまくいかなくて、
結局はどっちかしかないということに
なったわけです。
淡々と言われたとおりにやってくれる
コンピュータ作るか、
人間のように気が利くようにするかわりに、
ミスもするとコンピュータですね。
要するに人間のようにするってことは、
人間のようにポカもするし、
飽きたりもするし
間違えたりもするってことなんですね。
でも直感が働いたて、
ときどきいいこともするっていう。
このどちらにするのかっていうのは、
今後明確に分かれてくると思います。
|
■■ |
みんなが人間みたいにポカしたら、
危なっかしくてつかってられないですよねえ。 |
松原 |
原子炉とかねえ、
余計なところで
あんまり気を利かせてミスられても、
茨城みたいなことになっちゃ困るから。
|
■■ |
プッカみたいなヤツに
原子炉で働いてほしくないしなあ。 |
松原 |
でもこういうゲームのソフトなんかの場合は、
間違えても
そうは大きな問題にならないわけですよね。
死んだりしないですよね。
人間が「おお!?」
と思ってくれることをやってくれるほうが
よっぽど商品としても大事なわけで、
そういうのやらせたいっていうのが
今の人工知能全体的な流れなんですよね。 |
森川 |
具体的には、
どのように実現されていくんでしょう? |
松原 |
うーん、たとえば直感とかについては、
僕は将棋の研究で
「そうだな、こっちの方向は確かにあるな」
と感じているのは
「パターン」を
認識しているんだろうってことですね。
人間が直感でいい局面を思い出すっていうのは、
将棋盤の駒の配置のパターン知識を
いっぱいもっていて、
盤面をみた瞬間に、
そのパターン知識の何個かがポッと浮かんでくる、
まあ、マッチングとれるわけですね。
並列でやるからね。
それを本人は、直感でわかったとか、
ここの駒が光った、
というようなことを言ってるんだろうと。
そういうことは
実験とかでわかってきたんですけど。
はたして、これをどうやって
コンピュータの上にのせるのか、
そのままのせればそれでいいのかということは、
これからですね。 |
■■ |
好き嫌いに関してはいかがでしょう?
言葉聞いただけでゲームに使えそうな
ニオイがぷんぷんするような気がするんですけど、
直感で(笑)。 |
森川 |
好き嫌いって、
コンピュータに経験させないといけないですよね? |
松原 |
そうなんです。
生まれた時から好き嫌い持ってたら、
それは単にそういう
初期データ持ってるだけってことなので。
あるものを、
どうして好き嫌いになったかが重要ですね。
人間だと、だいたいの場合、
目の前の選択肢で
どっちを選んでもいいようなときに、
「たまたまこっち選んだら、よかった」
と感じたときに、
こっちのほうが好きと思ったりするわけです。
食べ物にしても、異性の趣味にしても。
本当にいいことあったかどうかはわかりませんけど、
主観的にはそっち選んでよかったと思ってる。 |
■■ |
いい結果だったものに似たものと、
わるい結果だったものに似たものがあったら、
そりゃあ前者を選びますよね。 |
松原 |
そういう経験をロボットなり、
ゲームのキャラクターにさせて、
失敗とか成功を積み重ねる中で
好き嫌いが生まれてくるわけですね。
まあ地道ですけどね。
最初は赤ちゃんロボットか
ら始まるということです。
赤ちゃんロボットといっても、
体はアカチャンに作る必要は無いんですけど、
精神は赤ちゃんのロボットを作って、
ずーッといろんな経験を積ませて、
ある程度、精神的に大人になったときに、
それまでの経験に応じて、好き嫌いをつくるという。 |
■■ |
経験によって、
そのロボットだけの個性が作れますね。 |
松原 |
それに、好き嫌いのいいのは、
なんかを考えるなくちゃいけないときに、
結論を得るのに時間がかからないんですよね。
これ! これが好き!
理屈は無いけどこれ! って。
実は、人生の大部分は
これですんでしまうことが多いんです。
じっくり考えて選んだ結論ではなく、
好き嫌いですぱっと決めた結論で、
そうは問題にならないこと多い。
しかしその経験を身につかせるに必要な
カラダというか、センサーの類が、
ロボットのハードウェア的にも
まだちゃんとしたものがないんですよね。 |
■■ |
ビデオカメラの目を持ったり
とかいうことですか? |
松原 |
今はビデオカメラとか音声とか
触覚とかいろいろ増えてきましたけど。
人間がもっているセンサーからすると貧弱で、
ロボットの積む経験が人間より
ぜんぜん貧弱なので、
だから、まともな好き嫌いの学習が
今のレベルではできないんですよね。
まあ、これまではコンピュータの入力って
キーボードだけだったので、
どのアルファベットを
何秒おきに打ち込んだくらいしか
入力無かったわけだから、
それと比べると大きく進歩していると
言えないこともないけですけど。 |
森川 |
センサーが増えて、そこから取れる情報が増えて、
精度高めて、
過去の履歴がも含めて扱うことになると、
処理しなくちゃいけない情報が
もっともっとスゴイ量になりますよね? |
松原 |
そうなんですよ。
今まで残念ながら人工知能って
そんな大量の入力を相手にしたこと無かったんで、
それに対応したアルゴリズムも
作る必要も無かったんですね。
使いようが無かったんで。
ですから、正直言うとまだどこにも作られていない。
だから、これからそういうのを
マジメにつくらないといけない。 |
森川 |
それは、強化学習のような
アルゴリズムなんですか? |
松原 |
ですから、強化学習的ではあるけれど、
あんなちゃちな、
最後ゼロイチにするのでも
あんなに時間かかるのを、
そんなセンサーからの
大量の入力に耐えられるのかもわからないし、
各パラメータの調整の方法なども、
まだまだわかってないですから、
やらなくちゃいけないことだらけです。
口の悪い人は、
「いいよな、
学習の研究やってると一生食っていけて」
とか言うんですよ(笑)。
研究者っていうのは、
ここまでわかったけど、
まだ先は遠いっていうテーマだと
ずっと論文書けるわけですよ。
もう私の分野は終わってしまいましたって言うと、
失業するわけですよね(笑)。 |
森川 |
それはすごい話なあ(笑)。 |
松原 |
でもマジメな話、
コンピュータチェスのプログラマなんて
半分失業ですからね。
ディープブルー作っちゃったから。
だから転身してますけどね。
碁にしようとか、ゲームかえるとか。 |
森川 |
厳しいですねえ。 |
松原 |
それでも僕としては、
人間ができている学習なんだから、
人工知能にできないはずがないっていうのが
直感としてあるわけです。 |
■■ |
まずは子供のようなセンサーを
ハードウェアを作ってみたいと
話ははじまらないわけですね。 |
松原 |
ちょうど僕の下の子供が小さいんですけど、
学習能力すごいですからね。 |
森川 |
3歳児まではすごいって言いますよね。 |
松原 |
すごいですね。
いや、人工知能の研究者は
大体自分に子供ができると
「いままのでAIは間違っている」
って言い出すって話があって、
こいつらなに親バカしてるんだ、
って思ってましたけど、
ボクも自分に子供ができたら
「やっぱりちがう」とか思って、
松原も結局親バカとか言われましたけど。 |
森川 |
て言うか、そういう目で
子供を見ているっていうのがスゴイですよね(笑)。
こいつの学習効率は...って。 |
松原 |
よく言われますよ仲間の研究者から、
『松原は松原の手法を子供に適応しているらしい』
とか(笑)。
でも自分の子供の観察はしますよ。
なまいきに食べ物の好き嫌いがあるんですけど、
これはどう学習したのか。
まあ、強化学習のようでもあり、
いろいろ混じってるような、
それほど単純じゃないみたいなんですけどねえ。
見れば見るほどど
人間が偉大だということがわかるんですけど、
そういうこと言ってるといつまでたっても
人間に追いつけないですから。
AIとロボットがいままでわかれてたっていうのは
むしろ歪んだ形なので、
これからは正しい方向に
行くんじゃないかと思うんですけど。 |
森川 |
ところで、
我々は今どうやって認識してるのかとか、
どうやって記憶して、
どうやってそれを
呼び起こしているのかとかについて、
人工知能の方々はそれを記号化して、
解きほぐすことを研究されてたと思うんですけど、
今の真似するとか、模倣させるというのは、
その記号化の過程を飛び越して、
知能に近いものを作るってことなんですか? |
■■ |
どうやってるかわかんないけど、
コピーしちゃえってことですかね? |
松原 |
確かに記号にするのに
四苦八苦してうまくいかないので、
真似するとか直感とか言ってるんです。
むかしながらのブルックスが
批判してたような
オールドファッションのAIの場合は、
その方法で人間のようなものができたときには、
人間のすべてが
解析できたときだという目標というか
夢があったわけですね。
予測可能性もあるし、
科学的に再現可能性もあると。
でもその方法だとうまくいかないから、
わからないまま作っちゃえという
方法になってきてます。
ただしその場合は、
人間のようなものができても、
プログラムの中身はぐちゃぐちゃで、
人間が解読できないようなものに
なっているでしょうね。
個々のパラメータをみても、
なにを意味しているかわからないばかりか、
多分その頃には
自分勝手にパラメータを付け加えるような
機能も当然あると思うので、
プログラマーは最初パラメータ5個で与えたのに、
賢くなった中身を見ると
パラメータが30個あったけど
そのなかの25個は意味がわかんないととか。 |
森川 |
ブラックボックスだと(笑)。 |
松原 |
僕には、森川さんが
どうやって話しているかわかんないように、
そのロボットもどうやって
話しているかわからない。
これはAI研究者としては残念ではありますが、
今のところはそういう方法でないと
人間のような知能というのは、
あまりにも複雑すぎて実現できないだろうと。
今までの学問のようにいくつかの式を立てて、
10個の方程式があって、
人間の知能を10個の方程式で
ぜんぶ解けるとかいう、
そんな生易しいものではないっていうことわかった。
ですから、哲学者などからは、
このアプローチは非難されてます。
「人工知能は明示的な知っていう、
記号として書き下すってところに、
いいところがあったはずなのに、
それを放棄して真似だけするとは何事だ!」
とね。
真似っていうのはそうですね、
理解して無くても真似られるわけですからね。 |
森川 |
「人工知能」って言葉自体が
失敗したからもしれないですね。
当時の、デカルト的な狭義な知能ですよね?
あれ、アーティフィシャル・・・・ハートとか、
マインドとか言ってたら、
ずいぶん研究の方向がちがったかもしれないですね。 |
★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★
AIでゲームを進化させる
★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★ |
■■ |
人工知能が体を手に入れたり、
進化することで、
ゲームにいろいろ応用できそうで夢が広がりました。
それ以外にゲームとの係わり合いで
利用できそうなことってありますか? |
松原 |
よく話題に出るのは、
ゲームの制作についてですね。
ひとつ作るのにお金も期間もかかるし、
すごく大変そうじゃないですか。
しかも、お金かけたからといって当たるとも限らない。 |
■■ |
あたたた。 |
松原 |
もちろんプロの方は経験から、
ある程度方法論おもちでしょうけど、
もう少し学問的っていう言い方もへんですけど、
理論をもって整理できたら、
我々も嬉しいし、
業界の人もうれしいんだろうなあっていうのも
ありますね。
でもゲーム業界の人とお近づきになっても、
成功例は聞けても、
失敗例は聞きにくいねえとはいってて、
どうしてこれはずしたと思いますか?
っていうのも聞かないといけない |
森川 |
作り方の研究ってしないんだよね。
内容については
いろいろディスカッションするけど。
じゃあ、どのような制作体制にすると、
よりリスクが小さいとか、
いい結果になるかとかについては
話を聞かないですよね。 |
松原 |
それと、面白いレベル、
人間が面白いと思うゲームっていうのは、
どういうクラスなのかっていうのも、
みんな勘でしかしかわかってないですよね?
映画はもうちょっと
そのへん研究されていると思うけど、
ゲームはあまり進んでないようですね。 |
森川 |
こりゃあはまるよ、
とかいう話で終わっちゃいますよね。
それ以前にジャーナリズムもない。 |
松原 |
将棋でいうと、
なぜ将棋盤が9x9か
という研究やってる人いますよ。 |
森川 |
ああ、それは面白そう。
奇数なのはなんとなくわかりますけどね。 |
松原 |
そうなんです。
奇数じゃなけりゃいけないらしいんだけど、
7x7じゃなくて、
11x11じゃなくて、
なぜ9x9なのか、とかね。
囲碁もむかしは大きいのと
小さいのと両方あったらしいんですけど。
今のカタチに落ち着いている。
そこに、ゲームとして
長持ちするなにがあるんだと思うんですよね。 |
■■ |
淘汰されてきてるんですね。 |
松原 |
平安時代には、
すごいデカイ将棋もあったんですよ。
「王子」がある将棋とか。
王がとられると「王子」が「王」に
昇格して続けられるとか。
これも、戦争としてはそっちのほうが
リアルなんだけど、廃れてしまいました。
駒が100個以上あって、
延々と続いちゃうから、
平安時代の貴族はできても、
江戸時代にはできないとか、
庶民にはできなかったんでしょうね。
いずれにしてもAIの手法を使って、
ゲームを進化を予測することは
できるかもしれませんね。 |
森川 |
誰かやればいいのにね、
ゲーム進化の淘汰圧とかいって。
どんな環境からの圧力によって、
ゲームはこう進化したとかって。 |
■■ |
じゃあ、いっそのこと、
それをゲームにすれば一石二鳥じゃないですか? |
森川 |
またそういう売れなそうなことを言う(笑)。 |