8月15日。東京からロケバスで走ること3時間強。
高速インターを降り、山道を川沿いにくねくねと走る。
その日は広告写真の撮影で
伊南村、現在の南会津町宮沢に向かった。
撮影現場は大きな日本家屋と青々とした畑。
南に伊南川。振り向くと尾白山。青空に入道雲が登る。
まさに日本の原風景だ。そんな絵になる撮影場所を
主である石田正子さんにご案内頂いた。
夏の強い日差しの中、予定通りお昼頃に撮影が終わった。
「採れたての南郷トマトがあるから食べていきなさい」
と正子さんの夫、太郎さんがご自宅に招待してくれた。
明治初期に建てられた日本家屋。
広い土間に長い縁側、黒く太い柱と襖で区切られた大広間。
そこを抜ける夏の風が気持ちいい。
大きな座卓を大勢のスタッフで囲んだ。
その横には伊南川で釣った鮎を焼いたら
さぞ美味しいであろう囲炉裏がある。
正子さんが「お昼ごはんを食べていって下さい」と
撮影中に準備をしてくれた。
山のようなそうめんは小分けに盛られ食べやすく
正子さんの料理上手が伺える。
郷土料理の南蛮ぜいはさっぱりしててそうめんと合う。
「我が家なりのコース料理だから」と五目おこわが出された。
この土地ではお正月だけでなくお盆に餅をつく習慣があり
餅は贅沢な食べものとしてお供えされるそうだ。
餅米も同様、五目おこわは大勢が集まるときに振る舞われる。
裏の庭から採ってきたばかりの南郷トマトを
山のように切って出してくれた。それを遠慮せずに頂く。
お口なおしはお供えした餅を伸したあんこ餅。
そして最後に正子さんが抹茶を立ててくれた。
南会津のおもてなし。仕事でお世話になったにも関わらず
すっかり夏休み気分を味わいました。
石田さん、ごちそうさまでした。