NANASHI
中卒でいいんじゃない?
名無権兵衛・15歳・デビッドリンチ目指す。

第12回 この感覚は、注射を打つ前と似ている

友達がスーパーのレジでバイトしているのを発見した。
それを見て、かなり自分を情けなく感じた。

僕は何かを始める前、いろいろと考え込んでしまう。
「失敗したらどうしよう」とか、
「失敗した場合、その後どうやって対処しよう」などと、
失敗した場合に他人に迷惑がかかる事、
ってのはそんな事ばっか考えてしまって
結局実行できなかったりする。
失敗した場合の「最悪のパターン」を考えるあまり、
自分の望む「理想の自分」になれない事が多い。
今さら、「あの時、ああしてれば・・・」なんて
考えたりはしないが、
それで逃がしてきたチャンスも多かったと思う。

そのスーパーでバイトする友達は、
かなりなれた手つきでレジを打っていた。
多分、最初からああは速いレジ打ちは
できなかったんだろうと思う。
しかし、今はちゃんとレジ打ってるし、
おつりも間違う事無く渡している。
僕はこういう域に達するまでの過程が恐かったので、
何かと無難な道を選んできたんだと思う。

中学校を卒業してから今まで何かとバイトを探してきたが、
「これはいけそう!」ってのを見つけても、
結局、何もやってない。
本気になればなんか見つかってたかも知れない。
ほぼ日の連載をやる事になったときも、
最悪のパターンを考えた。
あの時「やらない」って言ったら、
今もぬるま湯のような生活がつづいてたんじゃないか?

しかし、なんだかんだ言ってもここまで続いてきた。
この感覚は、注射を打つ前と似ている。
医者が自分の腕を持って、
針を刺そうとしているときはとてつもなく憂鬱だが、
済んでしまえば過去の事。
病気に怯える必要も無い。
今となってはほぼ日の連載を続けている事も、
自分が高校に行かないで
映像クリエイターを目指している事も、
全然後悔なんて無い。
むしろ、あの時怖じ気づいていたら
もっとダラダラした生活になっていたと思う。

今の自分は、できるかもしれないバイトを目の前にしても、
怖じ気づいてしまう。
あのスーパーでバイトをしている友達を見て、
とりあえずなんでもチャレンジしてみようと思った。
後で後悔などしたくないので。
「高校行かないでなにやってたの?」と聞かれても、
恥ずかしくない答えが言える自分になっていこうと思う。

2000-05-10-WED

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