今日の「ほぼ日」ニュースまとめ
糸井重里が年末年始の「今日のダーリン」を‥‥
写真つきにする! と言い出しまして‥‥
デジカメまで買っちゃいまして‥‥
でも腕には自信がないものだから、
菅原一剛先生に教えていただくことになりました!
news!

ある日糸井重里が企画会議でこう言いました。
「あのさあ、年末年始のコンテンツだけど、
 おれが毎日、写真とって送る
 のはどうかなー?」と。
えっ。ステキ。
でも、写真。
居合わせた乗組員一同は
ときどき社内のメールに社長から送られてくる
携帯画像を思い出したのでした。

「くるまれて(自分で)」
は、はぁ‥‥。ええと、
かわいい!
ブイヨンが!
味がありますね!
ブイヨンだけに!
いや、そういうことではなく、
ええと、やっぱりうちの社長は
写真をとるのが苦手なんじゃないかと思います。
それに本人だってずっと
「おれは写真がヘタなのだ」と
言っていたような気がします。
「あのう、糸井さん、写真はあんまり
 得意じゃないというか、
 とるのが好きじゃないというか、
 まあ、ヘタなほうであると、
 そんなようなことを
 おっしゃってませんでしたっけ」
おそるおそるたずねてみると
「いやー、そうなんだよ。
 自分の見ているものを写真にするのって、
 つい、著名な写真家の作品を思い出したりしてさ、
 もっと表現ができるんじゃないかと思うと
 ‥‥とれなくなっちゃうんだよねー」
なるほど。
ともかくも、写真をとるということについては
あまり自信はないのは確かなようです。
なのに、なぜ‥‥
「だって『ほぼ日』でも
 写真のコンテンツはじまったしさ、
 それに、
 もう、デジカメ買ったんだ。
 ふふふ!」
そう、その手にはすでにキヤノンの赤いIXYが
握られていたのであった!!
しかし糸井さん、デジカメを買うことと
写真をとることはちょっとちがいます。
まぁ、あまり期待はしてませんけどね、
ちょっとしたコツというか、
そういうものを知っておいたら、
カメラも楽しくなるではないですか!
どうです、ちょっと教わってみませんか?
「あ、いいねえ、やるやる!」

ということで、連載がはじまったばかりの
写真家・菅原一剛さんに、
写真というものを
手取り足取り教えていただくことになりました。
12月某日、寒く、よく晴れた日の、
糸井重里の写真ワークショップのようす、
どうぞごらんください。

なお客観的なレポート写真は、ゆーないとさん。
糸井重里のとった写真は大きめにして、
おとどけしたいと思います!

●ともかくも、出かけてみましょう。

習うより慣れろ! ということで
さっそく外に出かけることになりました。
お散歩をしながら、ゆっくりものを見て、
それにカメラを向けてみる。
今日の授業は、ただそれだけです。
「えっ! それだけでいいの!」
「ええ、目の前にあるものを見て、
 ただボタンを押せばいいんですよ」
と、菅原さん。

「おお、ではさっそく‥‥
 ちょうどいいところにナカバヤシが。
 おーい!」
「イエーイ!」‥‥ぱちり。

「‥‥まぬけな写真だなあ!」
「いえいえ、いいじゃないですか。
 では外に出てみましょう」

「うーむ‥‥」ぱちり。

「なんだかなあ‥‥」
「糸井さん、とりたくなければ、
 とらなくていいんですよ‥‥」
「ていうかね、ぼくは、
 ほんとうは人の顔がとりたいんですよ。
 だっておもしろいじゃない?
 ほら、あのタクシーのおじさん、ちょびひげだよ!
 でも気が弱いからとれないんです。
 だってこっそりとったら“ぬすみどり”じゃない?
 この人だったら、いいけどさ」
そう言って、ゆーないとさんに向かって‥‥。

ぱちり。

「ねっ? おもしろいんだよー」
な、なるほど、たしかにおもしろいです。
でも風景や、物も、おもしろいですよ、きっと。
「そうですよ糸井さん。
 ちょっとでも興味をもったものがあったら、
 立ち止まって見てみてくださいね。
 写真をとる、と考えずに、
 目の前に立ってボタンを押す、
 というくらいに、思ってください」

一行は青山通りから裏道に入ります。
あっ、糸井重里がなにやら発見しました。
工事現場だ!

このあたりは、いま建築ラッシュ。
「この、ごちゃごちゃしている感じがとりたいなあ」
「そう思ったら、『ごちゃごちゃしてるなー』と思いながら
 カメラのボタンを押してみてください。
 その気持ちが写りますから」
「ハイ、やってみます!」

こっちも建設中だ!

みんなも一斉にカメラを向けます。
ヘンな人たち‥‥

いやぁ、なんだか不思議だなあ‥‥。

ちゃんと「ごちゃごちゃしてる」感じ、出てますよ!
「おっ、電線が‥‥」

「すごいぞ!」

「見てこの花、真冬なのに!」

「これ、造花だ!」

冬の寒い路地に咲き乱れる造花‥‥
菅原さんも‥‥

とってみた!(↓こちらが菅原先生の写真です)

すると糸井重里がひとり
スタスタ歩きはじめます。
向かった先は‥‥

とある、ひと気のないビルでした。
「なんだこの気味の悪い感じは‥‥。
 この不気味さをとってみたい!
 なんだろう、この感じ!」

「生きてないよね、この建物‥‥
 なんだろうこの死んだ感じは‥‥
 そうか、これ廃虚なんだ!」

ははあ、なるほど。
その生きていないような感じ、
ちゃんと写ってますよ!
「あ、隣は教会で、やけに広いよ」

「それもまた不思議な感じがするねえ‥‥」

その隣は道路より低いところに
陥没したかのような駐車場があります。
妙です。

「菅原さん、これ、どうとったらいいんでしょう」
「こういうときは、むずかしく考えないで、
 まっすぐ、そのままとるのがいいですよ」

さらに歩いていくと不思議な門があって‥‥

不思議な少女がいました。

「この門の不思議な感じをとってみたいですねえ」
「じゃあ、アングルをかえてみましょう」

うーん、このなんだか不思議な感じがでないです。

では、さらに低く!

「糸井さん、2回、ボタンを押すようにしましょう。
 3回でもいいです。1回じゃなくて複数。
 そのときにね、半歩前へ! 寄ってみてください。
 最初、見えてこなかったものが、
 見えてくることがあります」
‥‥ おお、雰囲気が出た!

先生も!

なるほどなー。(↓先生の写真です)

「いま通った道、よく知っている道なのに、
 カメラを持って歩いたら、変わりましたよ!
 この街って、生きているものと
 死んでいるものの『あわい』があるって、
 よぉく、わかりました」

一行はここから表参道に出ました。

横丁が、逆光でなんだかきれいです。
そっちに入ってみることにしました。

おっ‥‥

あれは‥‥

ゆーないとさんだ!

「そうそう、この路地にさ」と、また、スタスタ。

「おれはむかし住んでたんだよ‥‥」

「探しにいこう‥‥あれえ?」

「もときた道にもどっちゃった!」
残念。この「隠田商店街」も
糸井重里の20代のころとは
ずいぶん様変わりしちゃったみたいです。


ちょっと行くと、また糸井重里の眼が輝きます。
「あっ、グレートデンだ!
 とってもいいですか?!」
生まれて初めてそのことばをかけた
糸井重里でした。さすが犬ずき。
「こっち向いて〜!」

「いい子ですねえ!」

よーし、もっと近づくぞ‥‥

激写!

激写!

激写!

ありがとうございました〜!

「もう一枚いいですか?」

LEONふうのおじさん、
グレートデンくん(名前聞きわすれました)、
どうもありがとうございました!

「いや〜、大きい犬はすごいね!
 なんだかものすごくたのしくなってきた!」

ラフォーレ前に出ました。

鳥が飛び立つ瞬間をとった!

陸橋の上から明治神宮をとった!

ゆーないとさんをとった!

逆光をとった!

菅原さんをとっている‥‥

ゆーないとさんをとった!

「デジタルカメラで逆光をとるとき、
 光に対して真っ正面だと
 アンダー(暗め)に写りやすいので、
 ちょっと斜めに向かって
 光が斜めに入るようにするといいですよ」
と先生からアドバイスをいただきました。
次に逆光に向かうときの参考にしましょう。

さあ明治神宮につきました。
鳥居を‥‥

ずおーん!

木漏れ日を‥‥

すこーん!

欄干から‥‥

紅葉! なんだか糸井重里、ぐんぐん上手になっております。
こうして記事をまとめていても、びっくりです。

しゃがんで‥‥

これは失敗! なにをとりたいのかわからない!

立ち上がって‥‥

影!

ふたたび‥‥

木漏れ日!

しゃがんで‥‥

落ち葉の小径!

逆光のなかで斜めに向かって‥‥

逆光をとった! すごーく、うまくとれました!

もいっちょ! かっこいい!

切り株の‥‥

うろを!

向こうにいる‥‥

ゆーないとさんを!

ゆらゆらと‥‥

天井を! でもピンボケ! でもまあ、いいじゃないですか。

池の‥‥

鯉を!

水面にうつる‥‥


雲の影を!

落ち葉を!

逆光の森を!

社長、すっかりコツをつかみましたね?
「あ〜、おもしろかった〜!」

最後に記念撮影をしましょう。

ふたりをとるゆーないとさん‥‥

‥‥を、とる社長を!(↓これは菅原先生の撮影です)

ほんとだ、2コマ前の菅原さんは
カメラをこっそり横に向けてました!

──さあ、そろそろ日が陰り、寒くなってきますよ。
散歩をおえて、カメラもしまって、
今日のワークショップをおしまいにしましょう。

社長、どうでした?
「こうして、カメラを持って歩いてみると、
 とるテーマが自動的に生まれてくるんだね。
 最初から決めちゃうと、無理が出るんだと思う。
 テーマにあわせて書くと、
 詩も不自由になる。それと同じだね!」
なるほど〜。
菅原さんは、いかがでした?
うちの社長、上達した気がするんですが。
「糸井さんがとるのを見ていて、
 ヘタなわけがないって思ってましたよ。
 ものごとをまっすぐ見ているのが、
 写真にそのまま写っているんです。
 このごろは、ものごとを、まっすぐ見ない人が、
 多いから‥‥
 写真は、その人が感じたことがそのまま出る。
 ね、おもしろいでしょう?」
ハイ、同行してとっても面白かったです!
「糸井さんは、ボクより、上手なくらいだ‥‥」
と菅原さんが独り言を言いましたが、
いえいえ、それはないと思います!
でもこれで年末年始の
写真つき「今日のダーリン」も
安心してていいですね。

みなさまも、たのしみにしていてくださいね〜!
2005-12-26-MON
 
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