糸井ダーリンが好きだという「すあま」、
知っていますか? 好きですか?
静かに熱い「すあまファン」の声をお届けします。
ほぼにちわ。
まずはこちらの写真をご覧ください。



そう、「すあま」です。
上新粉と砂糖を練った和菓子です。

糸井が「今日のダーリン」で
この「すあま」について語ったところ、
特に呼びかけてはいないのに、
ざっくざっくと「すあまメール」が届いたのです!

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(2007年4月22日の「今日のダーリン」)

いつも行ってないコンビニに行ったら、
パンの売り場に、「すあま」がありました。
買いましたとも、「すあま」。
袋に入っていて、漢字で「寿甘」と書いてある。
ぼくはこの「すあま」というお菓子が大好きで、
ときどき食べたくなるのですが、
自分の他には、これを好きだという人に、
あまり会ったことがありません。
この「なさけないおいしさ」がいいんだけどなぁ。
しかし、こうしてコンビニに売ってるということは、
人前で大声語るわけでなく「すあま」を好きな人が、
それなりにいるということではありませんか。

おそらく「もちもち」食感の流行が本格化してるんです。
ぼくが、ひそかに愛していた「もちもち」という食感。
実は「みたらしだんご」だって、
「もちもち」のジャンルのお菓子だと思いますよ。
「白玉」も「もちもち」食感ですし、
「求肥(ぎゅうひ)」も、そうです。

これら「もちもち」系のお菓子って、
それ自体の味付けは、うすくて弱々しいんです。
でも、だから、食べる側の人間が
歩み寄ってやらなきゃいけないんです。
「すあま」やら「ぎゅうひ」やら「白玉」やらが、
一般的なお菓子の甘さに合わせて、
甘みを濃くしちゃったらいけないんですよ。
うすくて弱々しいまま、食べる人の歩み寄りに
甘えて静かにほほえんでいればいいんです。

ふだんは、「すあま」についての批判的な感想を、
笑ってやりすごしているワタクシですが、
実は言ってやりたい気持ちはあるのです。
「すあま」こそが「をかし」なんです‥‥と。

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ひとつのお菓子(しかもちょっと地味)についての
この語りが、全国の潜在的な「すあま」ファンを
強く揺さぶったようです!
あ、いえ、「すあま」ファンらしく、
その揺さぶられ方もやわやわと穏やかなのですが、
静かな熱気を感じるメールです。
ほんの一部ですが、ご紹介させていただきますね。

=
「今日のダーリン」に「すあま」が!
なんだか嬉しくて思わずメールです。
思わずうんうん頷きながら読んでしまいました。
私もあのもちもちした感じと、
ほんのりした甘さが好きです。
地味に凹凸がついていたりするところも好きです。
でも私の周囲ではそもそも
「すあま」が好きどころか、
「すあまってナニ?」という人のほうが
多いです‥‥。
コンビニで売っているのは見た事がないのですが、
イトーヨーカドーなどのワゴンセールで
ひっそりと陣地を構えているのを
よく見かけますよ〜。
それにしたって影の薄さが切ないです。
(S)

「『今日のダーリン』に『すあま』が!」
この書き出しに、普段は後ろに隠れている良いものに
ライトが当てられたうれしさが表されていますね。

そうそう、前掲の写真は、ティアドロップ型のすあまです。
凹凸のついたカマボコ型のすあまもポピュラーですね。
(画像を見たい方はこちら!

=
ダーリンがすあま大好き☆と書かれていて、
“うれびっくり”です!
あの頼りないうすら甘さと
あのうすピンクがたまらないですよね!
むにむにしてて、
なんてキュートなお菓子なんでしょう♪
私は、子供の頃習っていた
ピアノの先生のトコへ行く途中にあった
和菓子屋さんのすあまが大好きでした。
毎回バス代をもらって通ってたのですが、
バス代を浮かすために歩いていって、
レッスンの帰りに和菓子屋さんで
「すあま」を買い食いしたものです。
もうそろそろ母にカミングアウトしてもいいかなぁ‥‥。
ふふふ。
(mana)

私「お母さん、わたし、バス代を使わないで、
  ‥‥すあまを買っていたの!」
母「ええっ! (ガシャーン←お皿が割れる音)
  お、お父さん! お父さーん!!」
なんてことは起こりそうにない、
ほのぼのカミングアウトです。

=
どうしても、
「すあま」が好きだという事を伝えたくて
メールをしました。
一度だけ、小学校の、何だったか、
紅白饅頭をもらうような行事で
いつもは、紅白饅頭だったのに、ある年だけ
「紅白すあま」をもらった年がありました。
あの時の、高揚感は今でも覚えています。
お仏壇にお供えしながらも
ずっと気になって見張っていました。
そして、とてつもなく美味しかった事を覚えています。
母に、これをどのようにしたら手に入れられるのかと、
詰問もしました。明確な答えはもらえませんでしたが。
その後も、年に一度食べるか食べないかの
「すあま」ですが、口にする時の嬉しさは変わりません。
ここにも、「すあま」が好きな奴がいます、
と声を大にして伝えさせて下さい。
(横浜 23歳 関根)

告白される母に続き、詰問される母です。
いまはもう23歳ですから、
「すあま」を売っているところもご存知かと。

=
えいっと勇気を出して初めてメールします。
だって‥‥ワタシも昔から
「すあま」が大好きなのですっ。
でも、まわりの人にいうと、ほとんどの人が
「なんで好きなの?」と反論してきます。
パートナーもそうなんです。
塩大福とか、草もちも好きなのに、「すあま」には
敵対心をもっているといっても過言ではないほど。
それでワタシも「すあま」から
徐々に遠ざかっていた気がします。
でも!! 今日イトイさんの文を読み、
「すあま」から遠ざかってはいけない。と強く思いました。
明日は「すあま」食べるゾー♪
なんか、イトイさんと仲間なカンジがして、
とても嬉しい日曜日でした。ありがとです。
(まーちゃん)

遠ざからないで! 「すあま」から!

=
私は24歳ですが、「すあま」が好きです。
おおくの友人がその存在すら知らないらしく、
がっかりした記憶があります。
説明しようにも説明できないのです。
「すあま」が一体なんであるのか。
留学してるもんで、はい、これが「すあま」なんですよ。
と伝えられません。悲しいです。
(服部)

留学ということは、
外国人の方に「すあま」を伝えるわけですね?
ええと、甘くて、やわらかくて、もちもち‥‥
もちもち‥‥もちもちって、外国語で説明しにくそう!

=
私の母と、私の娘は二人とも「すあま」が大好きです。
おばあちゃんと孫の二人で
仲良くもぐもぐやっている図は
微笑ましいものがあります。
先日和菓子屋さんで、いつものとおり
「すあま」を買おうとしたら
後から入ってきた親子の間で以下のような会話が‥‥。
子「私、すあま!」
母「やめなさい、すあまなんて、
  ただの甘い粉の固まりでしょ。」
それを聞いた娘の悲しそうな顔を見て、
普段は断然おはぎ派の私まで
「すあま2つ下さい!」と
高らかに注文してしまいました。
(T)

そのお母さんに、
このみなさんからのメールを読んでいただきたいと
強く願ってやみません‥‥。

=
私も、「すあま」が好きです。
あの、やさしい甘さが良いです。
自分でもたまに「すあま」をつくります。
上新粉と砂糖とほんのちょっぴりの食紅で
簡単にできます。
職場に持っていくとみんなに喜んでもらえます。
(N)

おおっ。作る方登場です!
しかも会社で配って喜ばれていると。
手作りクッキーを配る女子にとって
強力なライバルとなりそう(?)。

ところで、「すあま」って
知らない方も多いのです。
その理由は地域性にあるよう。

=
たぶん「すあま」は関東のものではないのでしょうか。
6年前東京に来て初めて「すあま」を見ました。
香川で18年過ごして、大阪で6年過ごしましたが、
「すあま」見たことなかったです。
山田詠美さんの小説「ラビット病」で
「すあま」が登場するのですが、
当時香川にいたときは何かわからず、
どうも和菓子でういろうより柔らかそうで
おめでたそうな色合いというのが
想像できていたぐらいです。
あのほんのり甘いというのが大好きです。
(香織)

なるほど、山田詠美さんは東京ご出身ですしね。

=
「すあま」、西日本にはないってご存知でしたか?
以前、神戸在住の友人に
「すあまって知ってる?」と訊かれ、
「うん。」と応えると、
「どんなお菓子か説明して欲しい」と。
その友人は「たれぱんだ」のファンで、
たれぱんだのプロフィールの「好きな食べ物」に
「すあま」と書かれているのだとか。
私は、あの素朴で何でもないお菓子が
全国区ではないことに驚きました。
だって、特別な場所でしかとれないものを
原料にしている訳でもないし、
何かのイベント時に食べるお菓子でもないから。
(玉緒)

たしかに九州や西の出身者が多い「ほぼ日」乗組員も、
知らない、食べたことがないというものが
多くおりました。
「ここでしか食べられない」ものが少ない現代に、
珍しいことですね。

珍しいといえば、お菓子の話題にしてはいつになく、
男性からいくつもメールをいただきました。

=
「今日のダーリン」を読んで、
いてもたってもいられなくなりました。
私も「すあま」が大好きです。
小さい頃、母がたまにスーパーで買ってきていたのを
好んで食べていました。
自分の中ではかなりメジャーな食べ物だったので、
「俺は菓子の中ではすあまが好きなんだよね」と
友達の前で言ったところ、
6人いた友達の中で「すあま」の存在をしっているのは
私を入れて2人だけでした。
もちろん、その時私は
「すあまってうまいんだけどなぁ‥‥
 みんな知らないんだ‥‥」としか言えず、
何とも言い難い、もやもやした感情を
抱いたことを覚えています。
まさか糸井さんが「すあま」好きだったとは‥‥。
非常に心強いです。
「すあま」って「寿甘」って書くのですね。
初めて知りました。「素甘」だとばかり思っていました。
これからも、ぜひ「すあま」を広めていって、
「すあま」のブームを起こしてください。
まぁ、「すあま」にブームなんて似合わない、
と言えばそうなんですけども。
(20代後半の男)

「すあま」の良さがわかる男性は、
素朴なやさしさがわかる‥‥ような気がします。

そうそう、
「すあま」は一般的には「素甘」と書かれるようです。
「寿甘」は、結納で使う「するめ」を
「寿留女」と書くように、
おめでたい感じを出す表記なのでは。

=
日曜日の「今日のダーリン」を読んで、
意を強くしました。
何を隠そうワタクシ、「すあま」「求肥」をはじめとする
“モチモチとして弱々しいおいしさ”の
「をかし」が好きなのです。
堅焼き煎餅の勇ましい食感も悪くありませんが、
“モチモチ弱弱”のをかしこそ、
お茶請けとして最適なのだと思っているのです。
唐突かつ短いメールで済みません、
「今日のダーリン」を読んで嬉しくなっちゃったんで、
つい。
(ごんべえ・30代前半・男性)

あちこちの男性を勇気づけたようですね。

=
北海道から大学進学のために東京へ出てきて
10年近くになるのですが、
地元にいた頃、近くの和菓子屋さんの「すあま」が
とてもおいしくて、子ども心に
「なんておいしいお菓子なんだろう」と思ったものです。
自分の中で、ポテトチップスやガムなんかよりも
上品で、特別なものでした。
そして今日のダーリンを読んで、
「あっ、自分は大切なすあまを忘れていた!」と思って
このメールを書いた次第です。
確かに東京では、冷遇されている気がしますね。
(東京都在住 小学校教諭 27歳男)

北海道では、「すあま」はメジャーなのでしょうか。
ふるさと同様、「すあま」も大切にしてくださいね。

さて、偶然ながらちょうど「すあま」について
深く考えていたという方がいらっしゃいました。

=
初めてメールをさせていただきます。
今迄親しい友達のブログでも、
コメントなどのメールを寄せたことなど、
ついぞなかったのですが。
日曜の真夜中、今日のダーリンを読んで、
このタイミングで「すあま」が讚えられている、
しかも少数派として‥‥びっくりな偶然でしたもので。
今日、歌舞伎を観劇中、あまり気乗りしない演目と
出演者だった幕で(ごめんなさい)、
なぜか突如「すあま」について思いが及び、
あの好ましさは、つつましい甘さや、
むにむに食感もさることながら、やはり私にとっては
フォルムによるところが大きいのでは、
との結論に至りました。「おいしい=かわゆらしい」。
昔から家族で経営してるような小さい和菓子屋さんで、
自分用に、ひとつぽたっと、
手のひらにのっけてもらって買えたら嬉しいけれど、
実際は、つい他のお菓子と(ついでのように)
一緒に買う結果になってしまうのは、どうしてだろう?
「すあま」だけで買うなら、
やっぱり白とピンク二個ずつかしらん?
それをお土産にするには、この好ましさが、
ちゃんと分かって貰えるお相手のところでなきゃ。
「すあま」ならではのお持たせシチェーションって?
等々、観劇中すっかり「すあま」について
思いめぐらせ、ここまで思っているのを、
唐突に打ち明けて分かち合えるのって誰?
と次は友人の顔を思いめぐらせ‥‥。
そして、深夜帰宅、明日の天気予報と
「ほぼ日」でブイちゃんをチェックするつもりで、
びっくり! でした。
勝手ながら、「すあま大好き」と公言される方を、
思いがけない早さで見つけ、安心して眠れます。
いえ、これから徹夜で仕事なのでした。
無事終えたら、明日御褒美に
「すあま」を買いにゆきます。
(小豆餡)

強く主張するところのない「すあま」。
分かり合える人とゆっくりいただきたいですね。
お仕事がんばってください!

=
「すあま」私も大好きです。
姉も大好きです。
親は私達が「すあま」好きな事を知りません。
たまーに「すあま」があると、
姉と2人で半分コして食べてました。
何でも、好きなものがかぶると半分コでした。
美味しいものは半分コ。
それが私達姉妹のルールです。
でも、それも来月で終わりです。
お姉さんが結婚してしまうのです。
義兄になる人は、とても良い人で、
「結婚するならこの人だよ!」
と勧めていたのは、私。
とても嬉しい‥‥。
でも、「すあま」の話を読んで、
すごーく淋しくなってしまいました。
久しぶりに「すあま」買って来ようかな。
1つを半分コ。
午後のおやつに食べたいと思います。
(ゆっちぃ)

「美味しいものは半分コ。」。
家庭の味以外に、
兄弟との思い出の食べものがあるって、
いいですねー。
ご結婚、おめでとうございます。

もう一通、「すあま」で元気づけられた方代表の
メールを紹介します。

=
私も「すあま」が大好きです!!
でもしょっちゅう買うものでもありませんでした。
和菓子屋さんの端の方にひっそり
「すあま 80円」とかあって食べたいと思っても、
わざわざ買うことはありませんでした。
そんな私でしたが、「すあま」を飛びつくように
買ったことがあります。
それは昨年、夫が事故で入院したときのことです。
病院の近くに古い和菓子屋さんがあり、
やはり端の方に「すあま」がありました。
いつもは通りすぎる私ですが、
夫のいない一人の部屋に帰るのが淋しくて
うすいピンク色の「すあま」を買ったのです。
家に着いて、その「すあま」を食べたとき、
看病の毎日に疲れていた心に
染み込んでいくものを感じました。
夫が事故に遭いケガで入院しているのに
「意外と元気、私」と思っていたのですが、
「すあま」の甘味で心が疲れていることを知り、
そしてやんわりとほどけていくような気がしました。
(パーシー)

だんなさん、お元気になられましたか?
和菓子屋さんの「すあま」は、
ちょっとつかれていたパーシーさんを励ますために
いつもよりがんばって自己主張していたのかも。

=
「すあま」、食べた事無いんですよねー。
食べてみようかなーとおもいつつ、
つい隣のあんこたっぷりのお団子とか
えらんでしまうんですよね。
会社で、仕事に行き詰った午後4時頃、
「おやつ買いに行くけど何か欲しい人ー」
と声を掛けると、きまって
「す・あ・ま買ってきてー」と、
19歳のアルバイトのかわいい女の子が言います。
みんな必ず「えーーーー」です。
おいしいの? と聞くと、
「んーなんかホッとするんですよ」だそうです。
私も見かけたら食べてみようかなー。
(Y)

‥‥と、いう気持ちになっている読者の方も
多いのではないでしょうか?
次に「すあま」を見かけたら、
ぜひ召し上がってみてくださいね。
「今日のダーリン」にあったように、
「すあま」に、ちょっと歩み寄って。

ご紹介は、やはり九州産まれ、中国地方育ちで、
「すあま」との出会いは大人になってからだった、
斉藤りかでした。
2007-04-29-SUN
 
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