今年『ナイン』は大当たりする! 去年は知らなかったくせに、応援します。 |
■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ 今週「AERA」の表紙に登場した、 演出家デヴィッド・ルヴォー── 彼は12年前にtptで演出をしはじめたときから、 日本に生きる女性の「生」と「性」を、 さまざまな戯曲を通して見つめてきた芸術家です。 最大のテーマは「女性」と言っていいはずです。 その彼が『ナイン』の日本ヴァージョンについて、 こう言っています。 「ロンドン、ブエノスアイレス、NYブロードウェイと、 世界の各都市で公演をしてきた『ナイン』は、 この日本においてこそ、 作品の核にある“無垢な(イノセントな)部分”が くっきり浮かび上がった」 ぼくの知るかぎり、 稽古場や事務所でのデヴィッドは、 人種や年齢、舞台関係者かそうでないか、 そんなことには一切関係なく、 女性という存在を敬い、 明るいエネルギーを発しながら、 いつでも愛情豊かに接しています。 毎日の別れ際にも、冗談を言って笑わせたり、 ハグしたり、手にキスしたり、ウィンクしたり、 気のきいた日本語を交わしてくれたり‥‥ そういう振る舞いを自然に身につけてる人です。 それが、現在ブロードウェイで2作品同時に、 ロングラン上演中の演出家の姿です。
稽古場では自分のこんなエピソードを披露して みんなを笑わせたこともあります。 「14歳の誕生日パーティーに、 誰でも好きな人を呼んでいいと言われ、 25人の女の子を呼んだんだ。 男の子を呼ぶのを忘れてた。 楽しい時間を想像してたら、 とんでもないことになった。 それ以来、同じ過ちはしないようにしてる」 こんな演出家が創り出す作品だから、 『ナイン』は筋金入りの、 「女性賛美」のミュージカルなのです。 ほんの少しデヴィッドを知り、 そして彼の作品を観てみると、 『ナイン THE MUSICAL』は、 デヴィッド・ルヴォーに演出されるのを ずっと待ってた作品だと思えてきます。 主人公グイド・コンティーニを語っているのか、 それとも自分を語っているのか、 ときどきわからなくなるくらいに。 デヴィッドは言います、 「成熟した文化の背景には、女性の存在がある。 社会や教育の呪縛から解き放ってくれるのは、 女性たちだということを、 わたしたちは歴史からよく知ってる。 『ナイン』は、女好きな男が、 とっかえひっかえ女性とつきあってる物語じゃない。 映画監督グイド・コンティーニは、 それぞれひとりずつの女性を違う表現で愛する。 女性によって与えてくれるものが違うことを 経験的に知っている芸術家なんだ」 『ナイン』は、 ミュージカルの神さま、ミューズが、 デヴィッドを祝福して創らせた作品かもしれない── まさにその奇跡の芸術を、 ぼくたちは劇場で経験することになります。 初演時のプログラムに、 デヴィッドはこんな文章を寄せていました。 「tptとわたしが10年間、 ともにしてきた作業から考えると、 『ナイン』の上演は自然ななりゆきに思えます。 『ナイン』は女性を賛美し、創造性を賛美し、 愛し愛されようとするわたしたちを 賛美してくれる作品です」 20年以上前のトミー・チューン版では、 夫が妻を追いかけるように 駆け出していくラストシーン。 けれどもデヴィッドは、 現代の女性の姿にもっとふさわしい演出を、 ずっと信じられる演出を、 2005年の『ナイン』に用意しています。 今週金曜日19時、 アートスフィア(天王洲アイル)にて、 東京公演初日を迎えます。 (つづきます!)
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2005-05-25-WED
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