(第1回の10)
今度のゼルダは
「アニメーションががんばってる」らしい。
その2
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ぼくと、もうひとりでデモ演出を担当してたんですけど、
2人とも映画好きなので、素地はあったと思います。
僕は大学の映像学科出身なんですが、会社に入ったころは、
まだスーパーファミコンが立ち上がったばかりで、
いわゆる映像的な仕事はなかったんですね。
今回そういった仕事ができたということで、
その意味じゃ、ちょっとはしゃいじゃったかな。
僕ら2人とも今回が初めてのゼルダだったんで、やりながら
「方法論」を模索していったところがあるんです。
どうしてもポリゴン(元々ゲームデータで使っているものと
同じモデル)ですから、CDロムゲームでレンダリングを
使っているものと比べると、映像的な情報量では
負けてしまうんですね。それをいかにカバーしていくか、
ずっと考えていました。
で、そのカバーする方法のひとつが
「カメラワークにこだわる」事でした。
ひとつは、ポリゴンゲームだからできるカメラワーク、
っていう考え方です。仮に実写でやろうとすれば、
セットを組まなきゃいけなかったり、
クレーンを用意しなきゃいけないところを
CGだとかなり自由にできるんで、
じゃあ最大限に活用してやってみようというのがひとつ。
もうひとつは、逆に、むしろフィックスのレイアウトの
きれいさで見せていきたいなあ、ということがありました。
アクションシーンに関しては、カメラの動きの面白さで
見せる事を考えたり、情緒的なところでは、
シンメトリーのきれいさとか、なるだけアニメーションを
動かさないっていうことにしたい、とか。
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情報量の少ないポリゴンでは、
キャラクターの表情を見せるアップの画像の
クオリティを上げることはたぶん無理だろう、
という認識がまず最初にありました。
でもそのなかに演出とかアングルとか、
シナリオを入れていく段階で、
いい意味で記号にしていくことで
伝わるものが出てきたと思うんです。
例えば、ゼルダ姫のテクスチャーを、
目線をちょっと横にしてリンクを見ている、
なんていう設定にしただけでも、
かなりいけるんじゃないかって思いましたね。
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ポリゴンっていうのは、動きが止まると
情報量が極端に減るんですよ。いきなり。
最初はリンクが立っている状態でカメラを
フィックスにしてやり始めたんですけど、
止まっていると情報量が少なすぎるんですね。
で、「ウエイトアニメーション」、
つまり基本のアニメーションですね、完全にリンクが
立ち止まっているときのアニメーションから作っていって、
そこからすべてのアニメーションが
派生していくようにしました。
アニメーションに関しても、ここはプログラムでやろう、
ここはアニメーションでやろう、っていう
「住み分け」があって、それぞれをどちらに当てはめるか、
みたいなことは、ようやく今年になってから方法論として
確立したところがあります。
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いちばん最初の場面、
ゲームの冒頭「リンクの見る夢」。
「スペースワールドヴァージョン」では
単なるデモだったんですけど、これじゃ、
夢の感じとか恐怖みたいなもんは出てないな、
と思ったんで、がっとつめてやり直しました。
夢っぽくするというのでカットを短くして、
あいだに「ドーン」というSEを入れたり、
カットとカットのつなぎを、
黒のフェイドアウトでつないでみたりとか、
不安感が出るようにアングルを斜めにしたり、
細かいカットの積み重ねをしたりとか
そういう感じが出ていると、嬉しいんですけど。
(シネマシーンディレクター・森 直樹さん)
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去年、「スペースワールド」に出すときは大変でした。
最後にきてプレイヤーの演出用の
アニメーションパターンがなくなっちゃったりね。
モニターをとると「動きの反応が遅い」とかあったんで、
ずいぶんアニメーションを削りましたね。
アニメーションはきれいにつくっているのに惜しいなあ、
と思うことがありました。
レスポンス重視、ですからね。
しかたなかったんですけど。
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例えば前は、一度剣を抜いて、
またボタンを押してから切ってたんですけど、
それじゃレスポンスが遅いということで、
ボタンを押したら、抜いてすぐ切る、という
一連の動作にしたんですね。
でも、それじゃあまりにも、
抜いていきなり切る、だったんで、
ちょっと絵としてもったいない、
ってこともあって、少しは「剣を抜く」って
いうところを見せたかったんで、抜いてから、
ほんのちょっとだけ見せて(笑)、切る、
というようにしたり。
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マリオでは1秒間に30フレームなんですけど、
今回のゼルダは1秒間に20フレームです。
速くしたいなあ、と思っているうちに、
絵が豪華になってきて、ついていかなくなっちゃって、
30コマは無理かなってことになって、
最終的には絵をリアルに見せようということになって
20コマにしました。
ぼくとしてはもう少し、速くしたかったんですけどね。
(プログラムディレクター・岩脇敏夫さん)
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というところで、(第1回の10)
「今度のゼルダは『アニメーションががんばってる』らしい
その2」は終り。
これから、さらに加速度つけて進んでいきますから、
新しい更新をこまめにチェックしてください。
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