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「ゼルダの伝説 時のオカリナ」の情報・産地直送!
宮本茂を核にしてまとまったゼルダチームは、
あきれるようなしつこさで64のゼルダをつくった!
そのしつこさの一端を、
しつこくインタビューしてきました。
そのインタビューを少しずつ編集して
「ほぼ日の近くの大きな樹の上から」
お伝えしましょう。


(第1回の18)
今度のゼルダへの
「スタッフの思い」は熱い
その2


bicycle自分の子供とか、休みの日に会社につれてきて
モニターとってね。
うちはいろんなひとにモニターをとって、
モニターの意見を吸い上げて、それをなるべく
ゲームに反映させたいという考え方なので、
そういうことができるのが、
うちの最大の強みだなと思うんですけども。
その立ち回りの早さ、フットワークの軽さが、
いちばんの自慢ですね。

自分の子供は今、小学校6年生で、ぼくは今年36歳。
逆算せんといてね(笑)。
今回、操作が複雑なのでちょっと心配してたんやけども、
うちの子はうまいんで、拍子抜けしましたわ。

ユーザーのために面白いもんを常に作り続けるんや、
という思いは、もちろんありますよ。
ただ、それを作り続けるためには、相当の体力がいる。
お米つくるのとおんなじで、体力がいるんですよ。
土地が痩せてたり、元々の種が悪かったり、
やっと生えたとこなのにすぐ刈り取られてしまったり、
刈り取る技術や鎌はええもんあるのに、人手がないとか、
人はたくさんいるのに、いい道具がないとか。

あと、食べてくれるひとの舌がグルメ化してしもてたり。
でもねぇ、それでも出し続けていかなければいけないわけで、
なるべく食べやすいように料理して出してあげないとね、
今のひとはゲームにたいして過保護なところがあるんでね。
今回のゼルダでも、
操作系をかなり複雑にしているんですけど、
もっと簡単にしてほしい、という声があることも
十分わかってはいるんですけど、何とかがんばってほしい
それを乗り越えたあかつきには、素晴らしい3Dの世界が
待ってるよ、と言ってあげたいですね。

今までだって、どれもこれも似たようなゲームやな、って
言われて、作る側が嬉しいわけはもちろんないんやけど、
大人も子供も含めてユーザーの側に、今、
いろいろなゲームをやるだけの体力がないんでね。
もちろん、つくる自分たちも、
ただ「与えるだけ」じゃなくて、
新しいものを作ること
に挑戦し続ける気持ちがほしいよね。

ちょうど、そんなことを考えているときに、
自分の子供が家でゲームをやってて、それ見てたら、
どうも「やらされてる」ような気がしてね。
一本道な感じがして、「それ、おもろいか?」って聞いたら
「うん、面白い」って言うんですわ。
テレビゲームも、自分が考えて何かするんじゃなくて、
例えばテレビとかビデオを見るように、
流れてくる情報をそのまま受けて
単純にボタンをポンポン押すことに
終始したいんかなぁ、て。
考えさせられましたわ。
自分で開拓するとか、操作方法を覚えるとか、
ページのめくり方を探すとか、今、喜ばれないんだよね。
ゲームの攻略本だって、ソフトの発売と同時に出るもんね。

すぐ地べたに座ってしまう、今の子供らと同じですわ。
おれら子供のころって、しんどかったって立ってたで(笑)
おまえら、カラダ弱いんかって、思わず言いたくなるよ。

Mr.Osawa

ただね、そんな偉そうなことを、
作り手が居丈高に言って、
わかるもんだけわかればいいんだっていうのは
間違ってるし、つくる我々のほうが
できるだけ食べやすいようにして、
ユーザーにとって多少固いもんでも食べたくなるように
自然と口のなかに入っていって、
しらんまに噛んでるように、
そういう味付けとか見せ方とかを、
ぼくらのほうがしないといけないんで
それがぼくらの仕事や、と思うんで。
      (スクリプトディレクター・大澤 徹さん)

 

というところで、(第1回の18)
「今度のゼルダへの
『スタッフの思い』は熱い その2」は終り。
このシリーズは全21回を予定しています。
あと3回、さらに濃い話がつづきますから、
新しい更新をこまめにチェックしてください。


1998-12-25-FRI


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