(第1回の7)
今度のゼルダは
「ダンジョンがたいへん」らしい。
その1
まず最初の、リンクが子供のころの
ダンジョンというのは「デクの樹」という木のなかです。
精霊が宿っている、生きているものとしての
木のイメージで、作られたのではなくて、
もとからそこにあったもの、という。
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「ゼルダ」のダンジョンっていうのは、ようするに
カギをとりながら進んでいく設定なんですけれども、
序盤ではまだカギはないんです。
でも、そのつどのネタをクリアしながら、
先に進んでいけるようになっているので、
例えば「巨大魚」のなかだと、内臓の弁が、
開いたり閉じたりするような仕掛けに
なっていたりとか。
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リンクがまだ小さいんで、カギを開けて先に進むって
難しいし、魚の内臓なのにカギを使って開けることの方が
おかしいんで、生きもののダンジョンなんだ、
ってことをイメージさせるためのものを、
そこには置いてあります。
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ゲームの中盤では、完全にひとが作ったもの、
「神殿」という感じのものを設定しました。
「森」と「水」と「炎」の3種類、
そのあとに「闇の神殿」と「魂の神殿」
というのがあって、そこは大人になったり
子供になったりしながら行き来する、というように、
ダンジョンが二重構造になっています。
ダンジョンをつくるときには、
何かを参考にするというよりは、
平面的な設計図を描いて、
デザイナーとイメージを細かく話していって、
つくりあげていきますね。
でも、最終的にどんなものが上がってくるかは、
デザイナーにお任せ、ですかね。今回は、
ダンジョンを考える時間をけっこうもらえたんで、
デザイナーが使っているキャドの上で、
ここをああしてこうして、ってやりながら考えました。
だから、いわば家を設計するみたいな感じですよね。
リンクの身体のサイズが決まっているので、
そこからダンジョンの部屋のサイズも決まってきますし。
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ダンジョンのなかのものは、基本的に動きますよね。
これも制作期間との競争でした。
大きなものを大きく動かすと、それだけプログラムも、
いろいろバランスをとらなきゃいけないんで悩んだり、
でも動いてなきゃネタじゃないでしょう、という部分もあるので、
制作初期のスケデュールに余裕のある頃は
いろいろ動かしてましたけど、それが詰まってくると
「いや、ここはもうあきらめよう」ってことになったりとか。
こっちのダンジョンで使ったネタを別のところでも応用してとか、
そっちで使えるものはよそにもってって
また使ったりして、バランスをとってます。
結局は、どれだけネタのための装置や小道具をつくったか、
それをどれだけダンジョンで応用できたか、でした。
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ダンジョンのしかけっていうのは、基本的には
敵を全部やっつけることと、謎解きをして、
スイッチを押して、扉を開く、そういうことですよね。
その部屋で、自分が持ってるアイテムの矢とか
フックショットを使って、どういうふうに
スイッチを押すのか、逆に、そう簡単にはスイッチを
押せないようにするためにどうしたらいいのか、
ちょっと意地悪したりとかして(笑)。
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ぼく自身が、元々のゼルダ的なダンジョン、
つまり謎解きで進んでいくのが好きなので、
敵をバンバン倒して進んでいくというよりは、
敵はあんまり出てこないんだけど、
これってどうしたらいいのかなって、
じっくり考えながらやってほしい。
謎解き型っていうのは、「あ、こうすればいいのか」
っていうのがわかって、やってみたら、できた、と。
それがいちばんの快感ですから。
「きっとこのナゾは、俺しか解けないに違いない」
っていうのが気持ちいいわけですからね。
結果的には、そのネタを解いたときに
プレイヤーが気持ちよくならないとイヤですから、
最初にまずネタをどんどん足して、
途中からまた引いて、ある程度シンプルにしたり、
敵の数もあまりたくさんは配置しないようにして。
謎解きの内容は、中盤まではオーソドックスなもので、
それ以降は、それまで学習してきたことの応用編になってます。
序盤はひとつの部屋で解いていく、
中盤は部屋のなかで解くというよりも、
ダンジョン全体をぐるぐる回っているうちに
解けるようになっている。
終盤のダンジョンは、その応用編として、
少しアスレチックな要素も入れながらね、
そこはマリオを作っていたスタッフがやってくれているもんで、
得意のアスレチックなダンジョンになっていて、
流れとしてはまとまったんじゃないか、と思っています。
(ダンジョンデザイン・小野塚英二さん)
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というところで、(第1回の7)
「今度のゼルダは『ダンジョンがたいへん』らしい
その1」は終り。
これから、さらに加速度つけて進んでいきますから、
新しい更新をこまめにチェックしてください。
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