〜ウイニングショットをねらえ!〜
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樹の上の秘密基地、今回から新シリーズです! 7月21日発売のNINTENDO64ソフト 「マリオテニス64」がやってきましたよ! そう、こんどのマリオはテニスです!! このゲームをつくったのは、 昨年発表された「マリオゴルフ64」と同じ、 タカハシ・ブラザーズこと 高橋宏之さん・秀五さんご兄弟。 さっそくほぼ日編集部で話を聞いてきました。 ええっ!? たった一年でつくっちゃったの!? (タカハシ・ブラザーズについては コチラも見てね!) |
──マリオゴルフからちょうど一年ですね。 宏之: あのあと、ぼくら、RPGを作ってたんですが、 今年の64用にゲームを作るという話をいただいたので、 RPGのほうはちょっと中断しまして、 このゲームに取りかかったんです。 テニスにしましょう、と任天堂さんに提案したのが 10月頃だったかな? ──7月発売に向けて、スタートが10月??? ゲームをつくる時間としては、 すごく短い制作期間という気がしますが…… 宏之: 短いでしょうね(笑)。 でも僕ら、締切に向かってがんばるタイプなんです。 できるかできないか、じゃなくて、 「つくる!」と決めて作るんです。 |
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──テニスゲームにしよう、という おふたりの気持ちは、どこから来たんですか。 ゴルフのときは、もともとゴルフがお好きだったから、 というお話でしたけれど。 秀五: ゴルフを好きになる前は、 テニスとスキーが好きだったんですよ(笑)。 宏之: 23歳くらいのときかな、働きはじめてから、 カラダを動かしたくなって…… テニスはいかにもカラダを動かしそうでしょ? それで始めたんです。 大学時代に遊びでテニスをしたことがあったんですけど そのときは、どうしてもうまく打てなかった。 僕は、うまくできないことがクヤシイ、 というタイプなんですね。 それで本格的に、5年間くらいかな、 みっちりテニスをやっていた時期があるんです。 休みはぜんぶテニスに費やすくらいに。 |
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秀五: 僕は大学時代、競技志向のスキーサークルに入ってた。 夏はトレーニング合宿で、トレーニングの一環として 草テニス大会に強制的に出場させられたりして。 負けるとランニングだぞ! みたいな。 好きでやってたスキーに比べると、 ちょっと浅いかもしれないけれど、 本気でやってたことは確かです(笑)。 そんなふうでしたから、 以前から、漠然と、テニスをゲームにしてみたい、 という思いは僕らの間にあったんですよ。 ──スキーは候補には上がらなかったんですか? 宏之: まったくなかったですね。 それは、スキーが、技術自体を磨くものだったからです。 だから技術を磨いたあとには、 あまりゲーム性がないんです。 テニスとゴルフというのは、 技術を利用して、ゲームを楽しむものなんです。 そういう違いがあるんですね。 |
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秀五: 同じように、僕ら、ボウリングも好きだけれど、 ゲームにしたいとは考えないんです。 宏之: 僕らがつくるゲームは、技術を習得すること自体を 目的にしていないんですね。 世の中のゲームには、技術を覚えるために 下手なのをがんばって巧くなろう、というのも 多いんだけれど。 でも、技術を消化したところから始めてもらうのが エンターテインメントなゲームなんじゃないか。 というところから、僕ら、スタートしてる。 スキーにはそれがないんですね。 秀五: だからテニスを選んだんでしょうね。 |
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──今回のマリオテニス64をつくるにあたって、 肝となったところはどこですか? 宏之: すべてのボールゲームに言えることなのかもしれないけど、 実際のスポーツでは楽しめることが、 ゲームになるとできなくなる、ということが 従来のゲームにはありますよね。 たとえばゴルフゲームでは、アプローチ (グリーンに乗ったボールをカップに沈めるまでの過程) ができなかった。ほんとうのゴルフでは、フルスイングの ショットとアプローチは全く別の技術なんですよ。 だけど、ゲームになると、力のかけかたが違うだけのように 扱われてしまっていた。 それから実際のゴルフでは「スリーアイアンで30ヤード打つ」 なんてことがありえるわけだけど、 ゲームでは、そういう可能性は否定されちゃうわけです。 そういうことができないのが、 実際のゴルフプレーヤーとして、とてもイヤだ! というのが、ゴルフゲームをつくるきっかけだったんですね。 同じことがテニスにも言えるわけです。 まず、ボールを打ち分けることができない。 |
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秀五: 自分で狙って打てないんですよね。 宏之: これは、テニスにとっては基本中の基本という感覚が 僕らには、あるんです。 知っている限りでは、それができるテニスゲームはなかった。 それをなんとかしようぜ、というのが、まず、ありました。 秀五: マリオテニス64でいうと、 AボタンとBボタンで、トップスピンとスライスが 打ち分けられるようにしたんですよ。 宏之: それから、球の緩急。 強い・弱いが打ち分けられない。 トップスピンとスライス、強い・弱いというのは、 テニスで相手と競い合っていくうえでは 重要なゲーム性なんですね。 ということは、それができないゲームは、 テニスのいちばん重要な部分を 削いでしまっているのではないか、 というのがあるんですよ。 それができるというだけで、 ゲームにしたときのテニスって すごく面白くなるだろうな、というのが 根底にずっとあったんです。 |
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だけど、つくるチャンスがなかった。 今回はそのチャンスが巡ってきたな! という感じだったんですよ。 そこでルールづくりになるわけだけど、 トップスピン・スライス・緩急、 これを組み合わせただけで8種類とかのボールが 打ち分けられちゃうんですね。 ここにフラットとか入れたらもっと増えるわけだけど、 それをどうやって操作するのか、 というのが、ゲームデザインの上では肝だったんですね。 だから、そこができれば、このゲームはできるな、 というのを、我々は、持った。 たとえばの話、Cボタンを使えばできる。 だから64ではできるだろう。だけど、 64とゲームボーイ、つまりコンソールとモバイルが 連携していくというのが、これからの任天堂さんの コンセプトだとすると、僕らも、 64でしか操作できないゲームではなく、 双方がリンクするゲームを、提案したいわけです。 ところが、任天堂さんに最初の企画書を提出したときは 「作りながら考えようかな」 というような段階で、 そこのところを煮詰めてなかった。 ところが宮本茂さんから、 「64とゲームボーイは同じ操作性で できるんですよね?」 と言われてしまったんですね。 |
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秀五: できますよね、って、念を押すようにね。 宏之: やっぱりそこを突いてきたか! って思いましたよ。 宮本さんには、マリオテニス64を 「トップスピン・スライス・緩急が打ち分けられる」 ものにするときに、ハードとして そこがネックになるだろうというのは わかってたんだと思いますね。 そこで僕ら、答えてしまったわけです。 「ええ、そうなる予定です!」 って(笑)。言うしかない。 そこは越えなきゃいけないハードルだってことは わかってはいたんだけど、あらためて言われたことで 「よーし!」って気になりましたよ。 結局、そこを解決するのにまず1ヶ月を要したよね。 秀五: そうだねえ。プログラムの試行錯誤をふくめて。 |
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──1ヶ月でできるものなんですか。 宏之: アイデアが浮かべば、ね。 浮かばなければ一生ダメでしょうね(笑)。 でもね、楽しいじゃないですか、 64で遊ぶこととゲームボーイで遊ぶことが 同軸上にあって、意味をもつということが。 同じテニスというジャンルだけど別物、というのと…… 秀五: つながって広がりをもつ、というのと。 宏之: 倍、面白くなるでしょう? |
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秀五: 単純にユーザーとして、ウレシイよね。 宏之: ユーザーとして、そうしてほしいなと思うんですよ。 だったら作り手として、そうしなくちゃいけないでしょう? 秀五: でもすごく幸せな環境に置かれてると思うんですよ。 作り手として「こう作らなくちゃいけない」と 突き詰めていくベクトルと、 ユーザーとしての自分のベクトルが 一致しているゲームをつくることができる。 それは幸せですよね! |
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(C) 2000 Nintendo/CAMELOT |
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タカハシ・ブラザーズがいかにして マリオテニス64をつくったか? その制作秘話は、次回につづくのだ! お楽しみに〜〜〜! |
2000-07-15-SAT