〜ウイニングショットをねらえ!〜
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ほぼ日編集部でも流行中の 「マリオテニス64」。 燃えることといったらないですよ、 ホントに! もう買った人も、これから買う人も、 制作者であるタカハシ・ブラザーズが どんなコンセプトで このゲームをつくったか、 知っておくと、ゲームが10倍楽しいよ! |
──テレビゲームの最初の頃に 2Dのテニスゲームがありましたよね。 30代以上の人に限るのかもしれないですけど、 それがテレビゲームの最初だった人達にとっては、 このゲーム、すごくウレシイと思うんです。 テレビゲームをやらない人も、 興味をもつゲームではないかと思うんですよ。 2Dのテニスゲームとこの3Dのゲームが 近い、というのはおかしなことかもしれないんですが 共通する楽しさがあるんです。 それは、「ミスしなければストロークが続く」 ということなのかなあ、と。 宏之: そうなんですよ。 今回、コンセプトのひとつとして 考えたことがあるんです。 テニスゲームもすごく進歩したわけだけれど、 今、主流になっているものって、 実際の「現在の」テニスのトーナメントを お手本にしているんだと思うんですよ。 ウインブルドンとか、全米、全豪ですね。 ハードコートとか、サーフェイスの速いコートで、 サービスのエースで決まる、もしくは リターンで決まる、みたいな。 |
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──サービスエースがとれない人は 優勝しない、というのが盤石になってますね。 宏之: そうなんですよ。 それで、もうひとつのトーナメントである フレンチオープンなんですが、 フレンチはサーフェイスが遅いので、 意外とエースがとれないんですね。 そうなると、ヒンギス、勝てないんですよ。 ほかで勝てるヒンギスが。 僕らはどうしてもウインブルドンだとか全米だとか そういう華やかなほうに目が行ってしまいがちなんですが、 それをお手本にしたら、 今までのゲームと変わらないですよね。 でね、やっぱりゲーム業界の場合、 サーフェイスはウインブルドンなんです。 とにかく力で押して、 サービスを入れたほうが勝ち。 ストロークが3つ以上つながらない、 というようなものばかりだったんです。 リターン返せたら勝ち、というのは 非常に淡泊なゲームになりがちですよね。 でもね、僕らが実際にやっているテニスを考えてみると 4人で混合ダブルスをやるとしたら、 下手なやつも入っている訳ですよ。 その時に考えるのって、 「決めること」じゃなくて 「つなぐこと」なんですよね。 オレが前に出て入れるんだ、というよりは、 下手なやつがミスしたのをカヴァーする。 僕らはそういうふうにしていたんですよ。 つなげて、つなげて、 つながることが楽しかった。そして勝つには、 「決める」よりは「ミスを誘う」こと。 それがしろうとのテニスとして、面白いでしょ? プロの試合だって、今のものよりも、 僕らが好きで見ていたころのテニスを再現したかった。 |
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秀五: ジョン・マッケンロー、 ビヨン・ボルグ、 ジミー・コナーズがやっていたテニスですね。 ストローク重視で、とっても楽しいテニスだったんです。 宏之: でも、いつのまにか今、 サーヴィスだけになっている。 それこそ時速200キロ越えるようなサーブって デントンくらいしかいなかったもの。 でもいま当たり前のように越えてますよね。 彼らだって、いまそういうテニスをしているけど、 ストロークの面白さを越えてきたはずなんですよ。 それでゲームをつくるときに、 今の淡泊なテニスを参考にしたら、 本当のテニスの面白さ、 ストロークの楽しさを知らずに終わってしまいますよね。 「ゲームでは、いちばん面白いものを見せるべきだ」 というのが、われわれのつくるゲームの、 共通するコンセプトとして、あるんです。 だから、今回のマリオテニス64は、 とにかくストロークのつながるテニスをやろう、 ということにしたんですよ。 限りなくボレー・ボレーができるとか、 そういうのを目標にしたんです。 |
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秀五: この前行われたホビーフェア (6/24〜25、幕張メッセにて)で お子さん達がやってる姿を見たり、 僕らと混合で戦ったりとか、したんですね。 そうすると、ちゃんとつながるんですよ。 僕らは後衛に回って、彼らは前衛にいて、 跳ねてるだけだったりするんだけど(笑)、 それでも3回に1回くらい、あたる。 初めてプレイしたお子さんでもね。 あたれば、次につながるでしょ。 それをフォローするでしょう。 そうすればストロークは、 お互い7回、8回続いて、決まる。 そうするとね、子供たち、 「おもしろい!」 って言ってくれるんですよ! 自分はあたってないんですよ、 1割か2割くらいしか。 右行ったり左行ったりしてるだけだったり するんですけど(笑)。 でも、その試合に参加してるんだっていう 楽しみは、ちゃんと与えることができた。 うれしかったですよ、すごく。 |
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宏之: 楽しんでくれたんなら、いいんじゃないのかな、 って思うんですよ。 ──楽しければOK、ですよ! 宏之: でしょ? 試しに、ウチの子供とやってみたんです。 そうするとね、小学校2年や3年の子供だと、 すぐには打てないですね。来たやつをパーンと返してく、 って感じじゃないんですよ。 だけど、後ろでフォローしてあげるでしょ。 そうすると、やっぱり跳ねてるだけでも楽しいって。 |
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秀五: ホビーフェアで一緒になって遊ぶ人を募るでしょう。 小さい子が一所懸命手を上げていると、 「できないかも?」と思っても 「じゃあ、君!」 って言いたくなる。 ヒヤヒヤしながら上がってもらったんだけど、 本人達はちゃんと参加して楽しんでる気持ちになれた。 かたやダブルスの試合をやってる高校生を見てると、 「お、俺達よりウマイんじゃないの!?」 ってプレイをしてたりするんですよ。 発表したばっかりなのに。 すごく幅の広い層が、 それぞれに、自分たちの楽しみ方を つくることができてる、 って感じました。 そういう意味では、自分たちの狙っている方向性が うまくあたってると感じましたよ。 宏之: 「テニスの面白さはストロークなんだ」 ってことをコンセプトにしてつくってきて、 結果的に、とってもテニスらしくなったんです。 なにがテニスらしいかというと、 最初、とにかく返すということを 練習するんですよ。 それで、返そうとだけ思って、技を使わずにいれば 無限に返せるんです。 でも、技を使おうって思い始めると…… |
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秀五: ミスる(笑)。 宏之: で、それを越えていくと、決めるポイントが わかってくる。 ──それって本当のテニスですよね! 宏之: そうなんです! 基本的には、サービスも、 エースが決まるようには作ってないんですね。 作ってないんだけど、左右に揺さぶることが できるようになると、結果的にエースが 決められるようになるんです。 ──相手のミスを誘うんですね。 秀五: そういう意味では、 すごく新しいテニスゲームが生まれたな、 って思ってるんです。 |
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次回もタカハシ・ブラザーズの アツイ話がたっぷり聞けるよ! お楽しみに! |
2000-07-28-FRI