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イメージ 「コロコロカービィ」
 
〜落とすな、転がれ、ゴールまで!〜
 主人公が「カービィ」に決まるまで
 かなりの試行錯誤があったんです。

樹の上の秘密基地、新シリーズ第二回目、
「コロコロカービィ」開発秘話ですよ〜!
この“加速度センサー”は
車のある部分に使われているセンサーの
仲間なんだって!
でもそれを“どんなゲームにするか”という
ことについては、かなり長い時間の
試行錯誤が必要だった!!
今回はそのあたりのことをお聞きしてますよ〜!

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座談会出席者
 
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★谷口和彦
任天堂株式会社開発第二部課長。
ソフトとハードの両開発チームに携わっている。

 
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★増山巌
任天堂株式会社開発第二部。
ハードウエア担当。

 
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★池田昭夫
任天堂株式会社開発第二部。
ハードウエア担当。

 
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★中井康純
任天堂株式会社開発第二部。
商品化のサポート&まとめ役。

 
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★鈴木利明
任天堂株式会社開発第二部。
ソフトウエア担当。
コロコロカービイのディレクター。

 
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★坂上博樹
任天堂株式会社開発第二部。
ソフトウエア担当。
コロコロカービイのアシスタントディレクター。
 
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左が2号機、右が3号機。 この先にまだまだあるのだ!
 
──試作機というのはこんなにたくさんつくるものなんですか? 
 
鈴木:
そうですね、とにかくつくってみて、ためして、
まずいところがあれば改良していく、という方法ですね。
同時に、ハードの開発チームとも
「こんどはこういう機能がつけられないかな?」
というやりとりも生まれてきますし。
ここに並んだものは、汗と涙の格闘の歴史ですよ(笑)。

 
──最初の電子キットに入っていたという
センサーは、この第一号試作機から採用されているんですか?
 
鈴木:
それは変わらないですね。
それをどう使うか、ということですね。

 
谷口:
一年という短い時間でこのゲームが完成したという
ラッキーの背景には、加速度センサーというチップが
量産品やったということですね。
メーカーから買えるものをそのまま利用できた、
という点では手間がかからなかったんです。

 
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──量産されていた、というのは
何に使われていたんですか?
 
谷口:
加速度センサーにも、シリーズがありましてね。
重力の単位を「G」(ジー)と言いますけど、
いま使っているチップの許容幅は
プラス・マイナス2Gの計測ができるもので、
わたしたちがこうして生活している「1G」の
倍の重力・衝撃が計測できるものなんです。
シリーズのなかには「50G」なんていうものもあって
そのチップは、車のエアバッグなんかに使われています。
ドンとぶつかった衝撃を測るセンサーですね。
大手自動車メーカーがここのチップを採用している、
と、そういうものですね。

 
──それで、ここに6種類くらい並んでいますが
どこからがカービィになったんですか?
 
鈴木:
3つめまでは、カービィじゃなかったですね(笑)。
一番最初は、僕が昼休みを使って絵を描いた
「おもしろゲーム 玉コロ君」というものでした。
傾けると、玉に乗った人が転がっていくんです。
あまり、たいしたことはなかったんです。

 
──でも、ゲーム機を傾けるとキャラクターが動く、
というのは、すごいことだと思いますよ。
 
鈴木:
チームのみんなにもそう言われまして(笑)、
これは半年でできるぞ! って。
これで売れるはずだ、と僕たちは信じて
僕たちは走り続けたんですよ。

 
谷口:
去年の4月にその話をして、
年内に発売やな、というのが
最初の甘い計画だったんですよ……

 
鈴木:
でも現実には、「カービィ」に至るまでに
非常に時間がかかってしまったんですが。

 
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──最初のバージョンである「玉コロ君」の
反省点はどんなことでしたか?
 
鈴木:
一番最初につくった形というのは
面があって、高い塔があって、
一階ずつ上っていって、穴から落ちたら
下まで落ちてしまうという、
わりとそういうシンプルなものだったんです。
誰がいちばんはやく最上階にたどり着くか?
なんて遊びかたを考えながら。
でも、実際には、5階くらいから落ちても
ぜんぜん嬉しくない(笑)。
すごく根本的な話ですけれど。
そこから、ほかのルールは考えられないのか、
ということで二代目をつくったんです。
今度は、ルールが自分たちで選べる。
敵を倒す、だとか、いかだみたいなもので
水の上を滑ったらどうだろう? など
どういうネタができるか、ということを
ふくらませていったのがこのあたりですね。
それと同時に「玉乗り」っていうと、
自分が動くじゃないですか。玉に乗った人が
足を一所懸命動かして、玉を動かすことで進みますよね。
でも、ゲームの動作を考えると、
「傾ける」ことが「足を動かす」のとイコールにならない。
地面を動かすんであって、主役を積極的に動かすのでは
ない、という、これまた根本的なことに
気づいたんですね。
それで、「自分はただ転がる」というふうに
ゲームの基本ルールを変更したんです。
それで、三代目は「猿が転がる」となりました。

 
──猿コロ君、というんですか。
 
鈴木:
それなりにでっかいものが転がるほうが
面白いな、ということで猿になったんですが。
そういう実験をしばらく続けましたね。

 
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──どこかで遊んだことのあるような懐かしさを
感じるんですよね。
 
鈴木:
箱根で売っている組木のおもちゃですね。
パチンコ玉なんかを転がすような。
それから、25年くらい前になると思いますが
子供用の、ポケットゲームにも
ホンモノのボールを転がすものがありましたね。
そういうものに思いがあったので、
みんな、電子デバイスでこういうゲームをつくることに
すごく夢が膨らんだんだとおもうんですよ。
あれもできる、これもできる、って。
それこそ、ゴルフだ野球だ、なんて考えましたよ(笑)。
でも、画面のサイズのことや、実際に遊んでみたときの
違和感みたいなものがあって、
「まっすぐ上に進んでいく」
という、マリオみたいなタイプのゲームにしよう、
と落ち着いたんですよ。

 
──操作方法に、はね上げ、というのもありますね。
オムレツをつくるみたいに奥の方をはね上げると
カービィもぴょこんとはね上がります。
これは、加速度センサーひとつで
できることなんですか?
 
鈴木:
う〜ん、そこにも歴史があるんですよ。

 
谷口:
加速度センサーというのはタテとヨコのふたつの軸が
あります。ボールが板の上を転がるような、
平面上の動きをセンサーで感知するわけです。
座標軸でいうところの「Z軸」は、ないんですよ。
メーカーさんは、勢いよく動いたときは
それを遠心力として認知すれば
検出できる、とおっしゃっていたんですね。
で、たしかにその通りやと。
でもゲームボーイに演算させるのは
ちょっとしんどい。
そこで、タテ型の円柱内に小さな球が入っていて
上下にふれるのを感知する
もうひとつのスイッチを入れよう、
ということになったんでです。
3軸にしよう、と。
ですが、加速度センサーのコストを考えると、
あまり他の部品は使わないほうがよさそうだ、
ということになった。

 
──では、いまのはね上げというのは……?
 
谷口:
種明かしすると、
ふつうに傾けるのは「おだやかな変化」ですよね。
はね上げる動作をしたときには、それが
「急峻な変化」になります。
その「急峻な変化」を、ジャンプと見なす、という
ソフトウエアの解釈をしたわけです。
技術的にはそんな感じですね。

 
──それがあるとないとでは
ゲームの操作性のインパクトが違いますよね。
 
鈴木:
そうなんです。はね上げ、という操作方法の発見で
一気に「はね上げを使ったゲームにしよう!」って
そっちのことばかりやっていこうとしたゲームを
作ろうとしたこともあったほどでした。
階段をひたすら上る、とか(笑)。
そしたら、こんどはやりすぎで、
画面がよく見えなくなるという事態に陥って。
認識できないじゃないか、って、一時期は
まるっきり「はね上げ」をやめてみた。
でも、そうしたら、なにか寂しいんですよ。
そういう経緯があって、ほどほどの割合で混ぜる、
というところで復活になったんですよ。
宮本(茂)は、このゲームは「はね上げ」を
復活させたことで生き返った、と言ってました。
でもただ復活させるのでは同じなので、
雲に飛び乗るとか、はね上げたとき周りのバンパーもはねる、
などの要素がついたとき、最後まで行けるなという
ゴールが見えたんですよ。
 
 
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2000-10-07-SAT

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