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樹

嬉しいNEWS!
「樹の上の秘密基地」第1回でもお伝えしてきた
NINTENDO64「ゼルダの伝説 時のオカリナ」が
『メディア芸術大賞
 デジタルアート・インタラクティヴ部門』の
大賞を受賞したそうです。
スタッフのみなさん、
ほんとうにおめでとうございました。


(第2回の6)

「1080°」は「任天堂らしくない」ゲーム。

好評のうちに進めてきました
「1080°スノーボーディング」スタッフインタビューも
いよいよ最終回を迎えました。
ゲームの発売から1年たってもまだまだ彼らの胸のうちは
熱い思いでいっぱいでしたね。


任天堂の作るゲームは、
だいたいが幅広い年齢層に向けて作られていますが、
「1080゜」は、はじめからターゲットを
「青年層」向け、としぼっているところからのスタートで、
これは斬新な企画だと思いました。
実際、任天堂という会社のもっていた、
無菌体質で良い子向けのガチガチのイメージを
少し崩したい、という意図があったのだと考えています。
それで、サウンド面でも
今までの任天堂サウンドからは少し離れて、
かなり「今風」を意識したものにしよう、
ということになりました。
「クールでカッコイイ」なんて、
言葉に出して言うとダサくなっちゃいますが、
頭の中には、それがつねに取捨選択の基準として
ありました。
これが、サウンドにおける第一の目標だったんです。


BGMは最初はプロに頼むつもりでいました。
でも個人的には、外部アーティストの起用や、
ROMメディアにストリーム(垂れ流し)
データを置くことに抵抗を感じていました。
リアルタイム演奏こそが
ゲームサウンドの真骨頂
であり、
醍醐味でもあると思っていますし、
そのリアルタイム性は、
ゲームの持つ独特の流れを
理解した作曲者でないと
使いこなせないシロモノであるからです。

そんなことを考えながら、ぐずぐずしているうちに
時間がなくなってきちゃって(笑)、
結局、うちの永田がすべてのBGMを作曲することに
なったわけですけれども、
少ないメモリをやりくりして、
きちんと主題歌まで入れてくれました。
そういう面で、内部スタッフの方が
何かとワガママがいいやすいので、
こちらとしては助かります。

基本的には放任主義というか、
各パートの自主自律を重んじる感じでした。
ゲームのどこに、どのように、どんな感じの音を入れるか
という、演出面やプログラム面も含めてやれたので、
ゲームサウンド作成者にありがちな外注意識とか
カヤの外的な意識はあんまり感じませんでしたし。
大作もいいですけど、こういう小さなチーム体制でも
またやってみたいと思います。
        (サウンドエンジニア 清水英明さん)

 

このゲームのサウンドの方向性ということで
最初にディレクターから言われたのが、
 ・今までの任天堂らしくないものにしてほしい
 ・ボーカルのあるBGMがほしい
 ・テクノ系はやめてね
 ・「Cool」っていうのは格好悪いからやめよう
というのがありました。

それに加えて私個人として
 ・メロコアは使いたくない
 ・でもやっぱりゲーム音楽でなくてはいけない
という想いがありました。
とくに、最近よくある、ゲームとは関係なく
音楽をただ垂れ流しするようなゲームにはしたくなかった。

初めの頃は
「音楽は、誰か有名なプロのミュージシャンに頼もう」
という案もあったのですが、
試しに普通の音楽をゲームのBGMとして流してみたら
やっぱり全然面白くないんです。
どっかで鳴っているラジオを聴きながら
ゲームしているみたいだね、ってことになってしまって。

あと心がけたことのひとつは、
「他人の意見を聞かない」(笑)。
「スノーボードはやっぱりメロコアでしょ!!」
みたいな声があって、
そう言われると意地でも使うもんかって思います(笑)。
基本的にあまのじゃくなところがあるんです。
他人に迎合するようなものはいやだ、みたいな。
ものを創るときには情報を
シャットアウトすることも必要ですね。

タイトル画面のBGMで唄っているのは
任天堂社員のデザイナーです。
歌詞も本人が書いているのですが、
あれ、なんて言っているのかわからないですよね(笑)。
「かえれ! そこじゃな〜い!」
って言ってるんとちゃうの?
って言われたりしてますよ。
キャラクターの声なんかも、みんな任天堂の社員ですし。
サウンドにはお金かかってないですね。
まあ今回は
「あっ!」とか「うっ!」とかばっかりでしたから。


サウンドの仕掛けで気に入っているのは
「ハーフパイプ」のコースですね。
自分の出したトリックに合わせて
BGMもリアルタイムに
変化する
ようになっていて、
さらにそのリプレイを見ながら
スクラッチ音を重ねたりもできます。

任天堂のゲームには、
こういうちょっとしたサウンドの仕掛けが
たくさん入っているので、それを発見するのも
楽しいかもしれません。
     (サウンドコンポーザー 永田権太さん)

 

「1080゜」のBGMで歌をうたっているのは、
メタリカ、ではなくて社員のぼくです。
音楽の人ではなくて、ゲームの攻略本とかに載せる
「クリスタルマン」とか
「メタルマン」とかのCGをつくってました。
CDも出てますので買おう。
でももう売ってないかも……。
         (アートワーク 山口 亘さん)

 

というところで、(第2回の6)
“「1080°」は「任天堂らしくない」ゲーム”
をもって、樹の上の秘密基地・第2回は終わりです。
この冬、みなさんも「1080°」に挑戦してね。
さて、第3回は、マイクで会話しながらピカチュウと
遊べる「ピカチュウげんきでちゅう」を連載します。
もうすぐ取材もはじめますよ。
楽しみにしていてくださいね。


1999-1-26-TUE


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