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02 (第22回の2)
ゲームボーイアドバンス専用ソフト「黄金の太陽 開かれし封印」
タカハシ・ブラザーズ・インタビュー その2
表現をどう伝えるかということと、タカハシ家のひみつ。
 
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ゲームボーイアドバンス専用ソフトとして
大ヒットを続けている「黄金の太陽 開かれし封印」。
制作は、「マリオテニス」などでもおなじみの
あのキャメロットのタカハシ・ブラザーズです。
お二人に話を聞くシリーズの第2回は、
どんなふうに二人の世界を
スタッフに伝えるかということ、
そして、その世界観の根底にあるものを
やや脱線しながら、お聞きしてみましたよ!
 
●兄弟の役割分担は?
 
──:
お二人の役割分担ていうのは
どういうふうになっているんですか?
とくにこのゲームに関しては。
 
宏之:
このゲームに関しては、
シナリオを書いてるのは僕ですね。

 
──:
秀五さんは?
 
宏之:
今回の場合で言うと、
彼の一番大きな役割はディレクションかな。

 
秀五:
システムとしてまとめていく係、
ってことでしょうね。

 
──:
お二人のなかで分かりあっている
強いものがあるとして、
でもゲームって二人だけじゃ
できないわけですよね。
今回のスタッフは何人くらいいらっしゃるんですか。
 
宏之:
キャメロットの30人、総掛かりだよね。

 
──:
その人たちに対して、
今話して下さったような核の部分、
思いの部分をきっちり伝えなければ、
それがベースにならないと、
どんなものも歪んできますよね。
 
イメージ 宏之:
例えば“ムーブ”っていうのを作りましょう、
って言ったときに、僕らの思っている
“ムーブ”っていうのは
言ってみれば念動力なんだけど、
それを絵的に表現して欲しいと思うわけです。
ところが、表現するスタッフは、最初は、
魔法の延長線上だと思っちゃうんですよ。
それだと違っちゃうんですよね。
念動力っていうのを絵的に見せるとどう見えるか、
そういうのを伝えていったり作らせたりとか、
それはけっこう根気の要る作業ではあるんです。

 
秀五:
実際相当作り直してるからね。

 
──:
そういうディレクションは秀五さんが受け持って?
 
秀五:
そうですね。
各スタッフと打ち合わせしたりっていうのは僕の方で。
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●兄弟間の意志疎通
 
──:
宏之さんのそういう世界観は
秀五さんにはすぐ伝わるんですか?
 
宏之:
やっぱりね、小さいときから同じ環境で育っているので。
あとは、五つ離れて同じものを見てきたから、
ある意味では僕がリーダーシップも
取ってたんじゃないんでしょうかね。
影響力はそれなりに持っていたと思うんですよ。
結果的に言うと、趣向としては非常に似ている。

 
秀五:
まあ、普通ねえ、兄弟で上にアニキがいない限り
小学生の時に『レンズマン』のシリーズとか
読んだりしないですもんねえ。
(レンズマン:E・E・スミス作のスペースオペラ)

 
イメージ ──:
プログレ(プログレッシブ・ミュージック)も
影響しているんですか?
ホームページhttp://www.camelot.co.jp/
member/takahashi/index.html
拝見したら出ていたので。
お二人とも好きなんですね。
 
宏之:
(笑)あるでしょうね。
もともと始まりは僕がそういうのを聴き始めた
みたいなのがありましたから。

 
秀五:
でもそのあと、あとあとまで
聴き続けてたのは僕なんですね。(笑)

 
宏之:
ちっちゃいとき、学校で遊んでるときも、
近所の腕白どもを集めて遊ぶっていう
シチュエーションでも、
僕は割と主導的立場というか。
だから、鬼ごっこをやろうとか言っても、
ああいうのにこういうのを加えて遊ぼうみたいな、
そういうのが好きなタイプだったですからね。
その延長線上にゲーム作りもあるのかもしれないですね。

 

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●粘れ、粘れ、粘れ。
 
──:
今回、一番やり直しをしなくちゃ
いけなかった部分というのはどのあたりですか。
伝わりにくかった部分ていうのは。
 
宏之:
伝わりにくかった部分ていうのは、
やっぱり演出的な表現……。

 
秀五:
要所要所ありますけどね。
自分達が作りだす新しい世界の、まったく新しいRPG。
で、それを初めて任天堂のハードで出すにあたって、
どういう街だとか、
世界がどういうものなのかってところは、
やっぱりRPG作りなれてるメンバーが多いんで、
まずは自分達の今までの流れで作ってはみるんですけど、
それじゃないんですよね。
自分達が目指してる新しいってものは
なにかっていうところで。
だから街だけで何回作り直したかな。

 
宏之:
半年くらいは試行錯誤したかな。

 
秀五:
この部分、この絵のほんのちょっとのこの場所だけは
イメージ通りなんだけど、ほかはまだ全然ダメだ、
っていう状態から少しずつ部分部分、パーツパーツからね。

 
──:
世界観が共有できた人たちでも、
それはすぐには出てこないものなんですね。
 
イメージ 秀五:
出てこないですね。
絵って、僕たちのイメージを言葉で伝えても、
それは本当の意味での絵じゃないですから。
それを絵に落とす段階でまたフィルター通っちゃうんで
近いんだけどそうじゃないものが出てくることが
多いんですよね。

 
──:
もうちょっと、もうちょっとってとこで粘るわけですね。
 
秀五:
そうですね。スポーツゲームが面白いって
言っていただいてるし、
「そういうゲームを作るキャメロットだったら
 RPGも面白いんじゃないか」
って思って初めて触るユーザーの方も
たくさんいらっしゃると思うんです。
そのほうがたぶん多いと思うんですよね。
今回は最初の一本なんで、
ここで自分達のイメージっていうのは決まっちゃうと思う。
だからすごくそういう部分では納得いくまでっていうか、
あきらめずに行こうよっていう。
それで今までのなかでは一番、
準備期間が長いゲームになったんだと思いますね。

 
──:
同時期に作っていたのは?
 
秀五:
「マリオテニス64」もかぶってるかな。
「マリオテニスGB」も当然かぶってますし、
「モバイルゴルフ」もかぶってますし。

 
イメージ ──:
それ、同じスタッフですか?
 
宏之:
クロスはしてますね。

 
──:
凄まじいですねえ。
 
秀五:
だからそれをうまくチーム編成して、
この時期に彼は「モバイルゴルフ」に必要だから
こっちをメインにやってもらって、
それ以外のメンバーのなかで、
「黄金の太陽」にこの人たちが必要だからって
主要なメンバーをあげて、
それに肉付けしていくみたいなことでしたね。
で、こっちの方が少し余裕が出てきたってことになったら、
少しそっちにまわそうっていうのを
全体を見ながら絶えずやってました。

 
──:
相当大変だったでしょうね
 
秀五:
作戦的にはイメージがあるんですけど、
そのときになってみると思ったとおりになっていないから、
どうしようっていうのはありましたね。

 

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●高橋家のヒミツ。
 
──:
ヒロユキさんの世界をもうちょっとお聞きしたいな
と思うんですけど。やっぱり大事なのはストーリー、
というか世界ですよね。
そういうものの根っこにあるものってどんなものなんですか。
僕が知ってるお二人は
やっぱりスポーツっていう印象がすごく強いんで
不思議なんですけど、
でも、プログレが好きっていう一面を発見して、
これは「黄金の太陽」の世界に近いかもしれないと思ったり。
例えばどういうものに影響されてきたんですか?
 
宏之:
小さいときは父親が
とにかく映画に連れてってくれましたよ。

 
秀五:
今思うとね、映画って子供を連れていくには
すごく高い娯楽ですよね。それをね、休みのたんびに。

 
──:
お父さんは映画がお好きだったんですね。
 
宏之:
あのー、変わった人で、
大学の研究室にいながらにして劇団にも所属して、
演劇の道を志していたりしてたみたいですから。

 
イメージ ──:
ははあ……学者でありながら。
なんの学者だったんですか。
 
秀五:
化学ですね。でもほんとに好きだったのは
化学じゃなかったみたいですけど。

 
宏之:
やっぱりお祖父さんの影響というか、
ある意味では強制みたいなものだったようで。
お祖父さんはもともと工大〔東京工業大学)を
つくった人だったんで、
工大の敷地の中に住んでたんですよ。
だから必然的にお前は工大の跡を継げ、みたいな。

 
──:
気の毒ですが……しょうがないんでしょうね。
じゃ、お父さんという方は、
逆にお二人にはそういうことを強制したくなかった?
 
宏之:
とんでもない、されまくりました(笑)

 
秀五:
(笑)

 
宏之:
いまこうやって、いろんなものを分析したりとか、
そういう力っていうのは
嫌々ながら叩き込まれたものだと思います。
そういう子供の頃の経験っていうのは生きてますね。

 
──:
でも、その一方で映画に連れてってくれる
映画・演劇好きのお父さんでもあったわけなんですね。
 
イメージ 宏之:
そっちはもう手放しで嬉しかったんですけどね。
ただ、ねえ。学者側の父親はとってもイヤだったですね。

 
──:
今お二人がこういう表現に携わるお仕事を
されてることについては、お父さんはどうですか?
 
宏之:
いまは誇りに思ってくれてるみたいです。

 
──:
最初の頃は葛藤とかあったんですか?
 
宏之:
表現者になるっていうのは父親の夢だったんで、
それについてはあまりなかったですね。
むしろ、「ドラゴンクエスト」とかをやり始めてからは、
僕がやめるとかそういうときに
「お前そんなことやっててどうするんだ」
なんて言われたりってことはありましたけどね。

 
──:
映画はあらゆるものを観たんですか?
 
宏之:
とくに父親に連れてってもらったのは、
ディズニーとチャップリンだったですね。

 

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●ディズニーの影響
 
──:
ディズニーの影響は大きいですか?
 
秀五・宏之:
もう、めちゃめちゃ大きいですね。
 
──:
どういうところが?
 
宏之:
ディズニーはちっちゃいときから観てるんで、
一番印象に残っているのは色彩なんですよ。

 
秀五:
日本人にはないんですよね。あの色彩感覚は。

 
宏之:
僕ね、忘れられないのは「眠れる森の美女」の1シーンで、
王子様がイバラの森の中を進んでいく
深いブルーの情景があるんですよ。

 
秀五:
うんうん。

 
宏之:
そのブルーの色はいまだに忘れられない。
結構そういうふうに場面の記憶って、
ここはディープブルーであるとか、
この場面は淡いオレンジであるとか、
色彩のイメージで残ってるんですよね。

 
秀五:
よーく見るといろんな色を置いているんだよね。

 
宏之:
その情景を僕はね、色でイメージしちゃう。
日本のアニメとかではそういう色彩はあんまりない。
なんでああいう色を
日本のアニメでは使わないんだろうってな感じ。
ものすごく小学生くらいのときから洋画かぶれだったし、
小説も日本ものは、もうほとんど読まなかったですね。

 
イメージ ──:
例えばどういうのを読んだんですか。
 
宏之:
ご多分に漏れずバロウズ(エドガー・ライス・
バロウズ)だとか、ジューヌ・ベルヌだとか。
そういうの小学校時代から読みましたね。
中学生くらいになるとペリー・ローダン・シリーズとか
読んでましたからね。

 
──:
早いですね。
 
宏之:
らしいですね。

 
──:
まわりにいなかったでしょう。
 
宏之:
まったく話は合わなかったですよね。

 
──:
高橋家、すごいなあ。
 
秀五:
(笑)

 

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ちょっと脱線気味の展開ですが、
そのまま次回も突っ走ります。
ディズニーについて、チャップリンについて、
表現ということについて、
もっと話していただきますよ!
お楽しみに!
 
  2001-10−03
 
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