(第25回の3) ファイアーエムブレム〜封印の剣〜 そのCMを誰が作ったか? 倉恒良彰インタビュー その3 “母ちゃん達には内緒だぞ!”
「ファミコンウォーズ」のCM、当初は、 “あのCMは異端だ”なんて言われたんですよ。 ゲームのCMとしては、たしかに例がないものでしたから。 ゲーム画面のないCMの第一号じゃなかったかな。 シミュレーションゲームは面白さを伝えるのがむずかしい。 あの頃のゲームは2Dで、平面的なキャラがマップ上を動きます。 ですから、プレイしていても見えているのは見たままの世界です。 しかし、ゲームの作者やプレイヤーには イマジネーションが膨らんでいて、 たとえば「歩兵が戦車にバスーカを撃つ」ゲーム上のボタン操作が 頭の中の想像世界では戦争映画のように浮かび上がる。 そんな2Dゲームならではのプレイヤーの豊かなイメジネーションを ゲーム世界の実写化を行うことにより、 ゲームと世界観の一体化を図ることで ゲームに期待感が湧き、プレイにも熱が入る。 結果「のめりこめる」「はまる」となるのでした。 もちろん、ただ実写化するだけではなく 広告には当然その面白さを伝えようとする企画が必要で、 それが訓練のモチーフであり、 訓練歌にのって宣伝することだったのです。 ドンパチやるだけが戦争ゲームのイメージじゃない所が このCMのよさでもあります。 今、この部分は3Dになって ゲームムービーがその役割を果たす目的だと思いますが、 広告表現で機能していたものとは 根本的に違っていると僕は思っています。 しかし、こんな考えとは別に周りでは 「別の理由」で出来たCMとも言われました。 このCM企画にはディレクターやアートディレクターなども 企画参画しているのですが なぜか、倉恒色を強く受け取られたようです。 というのも、僕、実は自衛隊出身なものですから・・・(笑)。 ロケはアメリカに行き、 米軍の演習地を借りて行いました。 出演は全員本物の米国海兵隊員です。 本物の軍隊で表現したく、ダメもとでお願いしてみました。 軍隊を撮影に貸してくれると聞いた時は耳を疑いましたよ。 広報ととらえられているそうです。日本の自衛隊ではありえません。 オンエアされたCMは、日本人のアフレコになりましたが 実は現場では、彼らに歌唱指導をして、 「ふぁみこんうぉーずガで〜るゾ〜♪」 と歌ってもらったんです。これ大変だったですよ。 日本語の唄指導を自分がやったんですけど、相手が相手なんで そこ違うとか言って指導すると、なんか恐い。 ちらっと腕をみると普通の人のふとももくらい太い。 でも、やれっと・・・・(恐) それに字幕をつけてオンエアする、 という映画的表現が目論見だったのですが やっぱりわかりにくいということで、 最終的に入れ替えました。 いまでも元のバージョンが好きなんやけど。 それから、発売前のCMは 「ファミコンウォーズが“出るぞ”」なんですが 発売日以降は 「ファミコンウォーズが“出たぞ”」になっています。