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(第25回の7
ファイアーエムブレム〜封印の剣〜
そのゲームを誰が作ったか?
任天堂・西村建太郎&インテリジェントシステムズ・成広通 インタビュー その4

“熱い思い”
    

 
イメージ 「ファイアーエムブレム〜封印の剣〜」の開発者、
任天堂の西村建太郎さんと
インテリジェントシステムズの成広通さんに
お話を聞く、最終回です。
 
 
イメージ ■西村建太郎【にしむら・けんたろう】
任天堂株式会社開発第一部所属。
ファイアーエムブレムシリーズの監修を行う。
穏やかながら、言うことはキビシイ、
頼れる人物である。
   
イメージ ■成広通 【なりひろ・とおる】
インテリジェントシステムズの開発部課長。
ファイアーエムブレムは
第一作からずっとかかわっている。
西村氏に負けず劣らず穏やかだが、
眼光はキラリと深くを見つめている。
   
イメージ ■武久豊【たけひさ・ゆたか】
任天堂株式会社広報室企画部所属。
ファイアーエムブレムの
宣伝全般を担当している。
   
ロゴ 西村:
去年スペースワールドに実際来てくれたお客さまにも
ずいぶんと教わりましたよ。
ユーザーさんが並んで試遊(しゆう)されてるところに
うちのスタッフから「どうですか?」と
声をかけせさせていただくんです。
こちらもアンケートをとるという意味もあって
ファイアーエムブレムが好きそうだ、という人に
積極的に意見を聞くのですが、
止まらないんですね! 話をはじめると。
ひとつの質問に、10以上の答えが返ってきます。
前作ではどうだった、キャラクターは何が好きだ、
など、思いのたけを話してくださる。
自作の設定資料集を持っている方もいて
「見てください!」っておっしゃられたり。

 
イメージ 成広:
熱かったですね!

 
──:
こうして創作したものを核にして
いろんな人たちがじっさいに「動く」というのが
ほんとうにすごいですね。
 
西村:
ほかのソフトを担当したときとくらべて
ここまでユーザーが熱い思いをぶつけてくれるソフトは
ないのではないかって思いますよ。

 
武久:
ホームページでQ&Aをやっているんですが
質問がものすごいんですよ。
長いんです!
質問はエクセルのデータで管理していますけど、
欄からはみ出す勢いの質問ばかりだったんです。
そして、それを載せると、さらなる反響があって
ものすごい勢いで増えたんですよ。
しかも、ひとり一問じゃないんですよ。
 
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──:
ラブレターのようです。
 
成広:
一作目からそうだったんですけれど
口コミで広めてくれた人が多かったんです。

 
武久:
ユーザーの想像力ってすごいんですよ。
むかしのファミコンは表現力がチープでしたから
そこを補完していく想像力が
みなさんの間で、育ったと思うんです。
それは作り手の僕らも、同じですけれど。

 
──:
作り手としては嬉しいことですね。
 
イメージ 成広:
そうですね。
ハードが進化して、ビジュアルで表現できることが
増えて、至れり尽くせりというソフトが増えました。
けれども、それをやってしまうと、
また違うものになってしまうのが
「ファイアーエムブレム」だと思うんです。
そのあたりの匂いというのが
エムブレムの特徴でもあると思うんです。
メッセージが少ない、というのも
遊びやすさを追求した結果、
そういうふうにしているんですね。
遊んでいる途中であんまり長いメッセージを
延々読ませてしまったら、
ゲームが進まなくなったり、面倒になったりする人が
出てくると思うんです。
すこし表現がたりなくても、
ユーザーの方が補完してくださることで広がると思うし
結果として、とてもよい状態になっているんです。

 
──:
GBAというメディアは、
ファイアーエムブレムには、正解だったのでしょうね。
 
イメージ 成広:
そうかもしれませんね。
テレビの前で構えて遊ぶというよりも
ちょっと時間ができたときに始めて
途中でやめて、またやって、というふうに
コマギレの時間をうまく使って遊べるように
できているので。
やっぱり、携帯機とテレビゲームは違う感覚ですよね。
携帯機のよいところは、いままでと違う場所ですることで
違った感覚で遊んでもらえる。
たぶん、友達にも自慢しやすくなると思うんですよ。
同じキャラクターを主人公にしていても、
「私のロイよ」「ぼくのルーだ」というふうに
やっぱり、育っていきますよね。
それが、携帯機だと、もっと見せやすくなる。
いっしょに遊んだり、イベントがあったときなどに、
すごく楽しんでもらえるんじゃないかなと思うんです。
そういう意味でもGBAでつくったのは
正解だったと思っています。

 
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西村:
なかには、「このキャラクターをここまで使うか!?」
というような遊び方もあるんですよ。
通信対戦という形でも、ゲームとして4人まで
遊んでもらうことができますし。
友達と遊んだり、イベントで、対戦して遊ぶときに
「このキャラクターで来るか!?」という驚きとともに
楽しんでもらえたらな、と思います。

 
──:
ここだけは見逃さないでね、という
見どころは?
 
成広:
さっきのバトルの話もそうなんですが
止まっているとそこまでわからないかもしれませんが
アニメーションがすごくよくできています。
それぞれのキャラクターの特徴を、
担当のデザイナーが考えてつくっていますが
たまたま、12年前に、一番最初にバトルのアニメーションを
つくっていたデザイナーが、今回も参加しているんです。
そういう意味でも、とても熱がこもっているんです。
……「もう、ええやろ!」っていうところまで
作り込んでいますから(笑)。
容量は足りなくなるし、時間はかかるし、
ぼくとしては、たいへん心配だったんですが(笑)
結果的に、すばらしい出来上がりになりましたよ。

 
──:
ユーザーの熱に負けない熱が、
作り手の皆さんの間にもあるから
こうしてアツいゲームができたんですね。
互角、以上にいいものが出せるわけですね。
作り終わったら寂しいんじゃないですか?(笑)
 
武久:
いいえ、次が待っていますから!(笑)

 
成広:
これはね、あえて「狙っている」というところが
ゲームの中に、隠してあるんです。それは、
これから先の作品を見ればわかってもらえるように
なっていたりも、しますよ。
それから、キャラクターが
ちょっとかわいい感じはしますけれど
じつはすごく本ものというか、
動きひとつとっても、たとえば
甲冑の動きひとつまですごく本ものっぽくつくっています。

 
──:
この大きさで!
 
成広:
剣を振り回したりするのをビデオに撮って
研究しながらつくりましたから(笑)ね。
遊べば遊んでもらうほどに奥の深さを体験してもらえる
ゲームになったと思いますよ。
どうぞみなさん、じっくり遊んでくださいね!

 

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今回で「ファイアーエムブレム」の特集はおしまいです。
また次のゲームでお会いしましょう!
 
  2002-04-26
 
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