「手前ミソになるかもしれませんが・・・」と
前置きをしつつ、お話を聞かせてくれたのは、
任天堂営業管理部の松田俊彦さんです。
松田さんはファミコン時代から、任天堂の発売する
ゴルフゲームの営業やイベントに関わってこられた方で、
歴代のゴルフゲームにはとても詳しいのだそうです。
「任天堂のあまたあるゲームのなかでも
指折りの歴史と伝統を誇るもの、
それがゴルフゲームなんですよ。」
歴史と伝統を誇るゲーム、ですか。
「ええ。
任天堂といえばゴルフ、
ゴルフといえば任天堂、でしょう!」
ええ!?そこまで言い切るってことは、
もう間違いなく太鼓判のソフトってことなわけで。
「それにはまず、任天堂のゴルフゲームの歴史から
ご説明をしたほうが良いでしょうね。」
「弊社はその昔からゴルフゲームには一言あるわけです。」
その昔からってのは、つまり、ファミコンの時代から、
ってことですか
「そうですよ。
そもそも1983年に『ファミリーコンピュータ』、
いわゆる『ファミコン』を世に送り出してから、
翌年の84年に最初のゴルフゲームを発売し、
その年だけでなんと200万本を販売しました。
いわゆる“ダブルプラチナプライズ”
というものです。」
それはすごいヒットですね。200万本!
「ええ。
当時のファミコンファンというのは、
主に10代の男性でしたからね、ほんとのゴルフは
未経験のひとがほとんどなんですよね。
だから、彼らにはこのゲームはあまり受け入れられない
のではないか、と予想したひとが多かったのですが、
見事にそれを裏切る結果となったんですね。」
実際にはゴルフをしたことのないティーンエイジャーにも
すごく受けがよかったというのは、
それだけゲームとしてよく出来ていた、ということに
尽きると言えますね。
「そうですね。
このファミコン版『ゴルフ』には、
<任天堂スタンダード・横軸メーターシステム>
という、新しいシステムが開発され、
組み込まれていました。
どういうものかと言いますと、
テークバックからインパクト、そしてフィニッシュを
キャラクターのビジュアルとともにメーターで
表現しながら、同時にスライス、フックを打ちわける、
というもので、当時は非常に画期的なシステムでした。
このソフトの後に出たゴルフゲームのほとんどが、
そのシステムを採用して作られていますし、それだけの
基をつくったのがうちの『ゴルフ』だったんです。」
そうなんですか。
「その後、ディスクファクスを使って
ゴルフイベントを開催したりもしました。
『ジャパンコース』『USコース』のイベントでは
応募総数がなんと30万人、
参加者数は16万人(!)という大イベントに
なりまして、大会ベストスコアの87アンダー(!)を
出したひとが、雑誌でその技を大公開して、
ファンの注目を集めた、なんてこともあったんですよ。」
わぁ!16万人も参加した大会とは、すごいですね!
「そのあと、『ゲームボーイ版ゴルフ』を89年に、
ファミコン版の『マリオオープンゴルフ』を91年に
出しました。
2本とも、しっかり根づいたゴルフゲームファンから
高い評価をいただいているヒット作品です。」
そして今回、満を持して『64版』が発売されるのですね。
「はい、そうです。
任天堂にとっては8年ぶりのゴルフゲームです。
実に8年ぶりですよ。
ずいぶん間があいてしまったけれど、それだけに、
このN64版『マリオゴルフ64』が、どれだけ
私たちにとっての自信作かということも、
わかっていただけるのではないか、と思います。
前作までに培ってきたゴルフゲームづくりの
ノウハウを、すべてこれにぶち込んでますしね、
さらにここ数年でのゴルフゲームの考え方の主流に
なっている<キャラゲット>の哲学までもを
いかんなく投入しておりまして、
これぞ新世代、のゴルフゲームが
この『マリオゴルフ64』というわけですよっ!」
いやぁ、力のこもった話をありがとうございました。
「いえいえ、とにかく今年の夏は
『マリオゴルフ64』で決まりです。
ご家族みんなで面白い、ゴルフをしない人にも
楽しめる、この夏イチオシの、あ、いや、
他にもいっぱいイチオシがあるんですけどね、
でもどうぞみなさん、『マリオゴルフ64』で
暑い夏をいっそう熱く過ごしてください。」
ほんとにそうですね。
松田さん、「任天堂とゴルフゲーム」の貴重な歴史を
聞かせていただき、ありがとうございました。
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