宮本茂が語る。 |
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みなさん、長らくお待たせしました。 「樹の上の秘密基地」は今日から新連載のスタートです。 よく晴れてまだ暑い9月のある日、京都の任天堂に行って、 宮本茂プロデューサーに会いました。 『ゼルダの伝説 時のオカリナ』発売以来1年ぶりの、 そして1999年では最初で最後の、独占インタビュー! 京都から世界に向けてメッセージを発信し続けている 宮本さんの話を、今回はたっぷりとお届けします。 まずは意外にも巨人ファンだという話から・・・。 |
ごぶさたやね。半年ほど前に事務所に行って以来やね。 お元気でしたか? 途中30分くらい、ちょっと抜けちゃいますけども、 いいですか? 社長に呼ばれたわけやないんですけど、 「恐いからついてきてくれ」っていうひとがあって。 すんません。 |
あ、こないだは1101.comのTシャツをありがとうございました。 そうか、今日着てくればよかったね。 |
糸井さん、お元気ですか? 巨人のことはなんて言ってはります?がっかりしてはる? |
だから、自分が現場を離れられへんのは、 |
長嶋さんの野球を見てると、 「事故を防ぐ」ということに関しては ほとんど無配慮なんで、昨日なんかももう、 ひっくりかえっていたんです。 「勝つ気はないのか」って(笑)。 最後のがんばりなんで、応援したいんやけれども。 土壇場になって盛りあがってきてね、 逆転優勝とか、もし万が一にもあって、 「奇蹟の!!」とかって大騒ぎしてもね、 もともと勝つはずのチームが最後に勝って、 それを「奇蹟や」言うても、 そんなん今までがどんくさかっただけで、 作られたドラマ以前の問題や、と思ってしまいますよね。 昨日なんか久しぶりに最初からちゃんと見たのに。 もう、がっくりしてしまって(笑)。 おとついの試合かて、勝つには勝ったけども、 指揮官っていうことからみたら、ぜんぜんだめですよねぇ。 |
このまえ8人投げたときがあるでしょ。 あのとき、うちの子供に一生懸命説明をしてたんですよ。 「世の中っていうのは、確率の連続で動いてるもんや」と。 中学校2年になったので(笑)。 |
「何かひとつ手を打ったときに、 野球の打率でいえば、3回に1回しか成功せいへん。 3回に1回しか成功せいへんということは、 新しい手を打てば打つほどいいわけじゃなくて、 新しい手を打つということは、 それだけ失敗する確率が高くなるわけよね。 だから、手を打つときには、予め失敗したときの ダメージをどれくらいに抑えるかということを 考えたうえで、次の手を打たなくてはいかん」って。 長嶋さんの野球を見ながら、ぼくずっと言ってたの(笑)。 |
何点取った取られたとかじゃなくて、 選手の心理的なダメージに対しての、 配慮がないんですよ。 単純に、ピッチャーをぼんぼん替える。 ぼんぼん替えたほうが面白い、ということではなしに、 先発させたピッチャーがうまくいくかどうかの確率は 5割、と。 そうすると、うまくいってるひとは いじったらだめなんですよ、基本的には。 うちの社長もそうですね。 「うまくいってるものはいじるな」って言います。 でも、うまくいってようがいってまいが、 選手をいじり回してしまう。 で、いじらないときは、ほんとにせなあかんことを ぜんぜんしない。 ほとんどそれの繰り返しなんですよ。 |
「どうしてあそこでセカンドランナーを 替えとかなかったか」とかね。 まだまだ打順が回ってくるのに、 大事な4番バッターを簡単に替えてしまったり、 いくら当たってへんとはいえ、もしかしてここで 一発出るかもわからん選手にスクイズさせたり。 肝心なところで、「そこでうまくいったらいいけど、 いかへんかったらぶちこわしやぞ」みたいなこと ばっかりでしょう。 ま、ジャイアンツの話ばっかりしててもしょうがないね。 |
2000年かぁ。 |
こないだ、イギリスから帰ってきたんですけど、 |
岩田さん(※編集部註:秘密基地ではおなじみの |
それはともかく、ヨーロッパ、行ってきました。 |
会場がすごい狭くってね。 |
でもね、取材はほんとにとても好意的でした。 |
ぼくは、ヨーロッパのショウに出席したのが、 |
ほとんどのひとに会うのが初めてだったんで、 会うだけで喜んでくれはって。 質問とかも、すごい優しかったですよ。 話がとぎれると、あちらから 「業界がこのように育った現状をみてどう思いますか? 20年間ゲームをつくってきて、どうですか?」みたいな、ね。 表敬訪問してるみたいで、楽しい取材でしたね。 |
お騒がせな1999年もあと3ヶ月足らずです。 |
1999-10-13-WED