ほぼ日刊イトイ新聞

 鶴見の糠漬け。

 

さてさて、先週は、「一から作るぬか床」の巻でした。
みなさんのぬか床、調子はいかがですか?
一からの方はまだ捨て漬け中でしょうか?

ぬか漬け何だか面倒〜という人が多いのは、
お世話が大変だから。
私だってもちろんそう思っていましたよ!
毎日かき混ぜないと……と考えたらもうダメでした。
だって、毎日朝夕は保育園の送り迎えがあり、
大急ぎで買い物、食事の支度、そして後片付け。
一日おきに洗濯もあったし。
そこにぬか床のお世話なんて入る余地なし!
毎日面倒みるなんて無理無理!!と思ってました。

で、ぬか漬けをスーパーで買っては、
あーー、今いちだわ〜とがっくりの日々。
やっぱりぬか漬けやってみた〜い。
じゃどうする??

キュウリ

そもそも、なぜ毎日かき混ぜないといけないのか?
それは、常温でかき混ぜずに放っておけば、
腐敗菌やらカビがどんどこ繁殖して
あっという間に(真夏なら1、2日放置すれば確実)
腐ってしまうから。
温かくて水分の多いところは菌には天国!
腐敗菌を抑制して、
ぬか床の乳酸菌や酵母のバランスをよく保つためには
かき混ぜは必須。
でも、菌が活発でない環境でなら、
時々かき混ぜるでもいいんじゃないか??
つまり、温度を下げるという方法がある!
ものすごく(零下とかね)下げてしまうと
「休眠中」になっちゃうからそこそこ寒いくらいに。
(乳酸菌と温度についてはこちらの「注」を見てね!)
……ってことは。

じゃーーん、それはもちろん文明の利器、
冷蔵庫様に助けてもらえばいい!

昔みたいに日陰で風通しのいい涼しいところなんて
我が家の台所にありゃしません。
働いているから、昼間は誰も家にいない。
つまり、昼間は換気もされず、密閉された箱なわけですね。
当然夏場は蒸し風呂です。
今年の夏のようにあっちっちだったら、
ぬか床は朝晩とかき混ぜないと
かなりの確率で腐ることでしょう。
キュウリなら朝漬けて夜には
すでに漬かりすぎというくらいに醗酵が進むはず。

だいこん

毎日かき混ぜは難しいなぁとお考えのあなたは、
冷蔵庫へGO!
私は「毎日じゃなくていい」と知った瞬間に、
じゃ、ぬか漬けやろう! と決めました。
週に何回か、我が家の漬け物があるなんて素敵〜と思って。

冷蔵庫に入れれば、温度が低いから、
醗酵速度はゆっくりになります。
なので、真夏でも、2〜3日に1度かき混ぜれば十分。
野菜の漬かり具合もゆっくりなので、
漬かりやすいキュウリでも2日ほどかかります。
自分好みの漬かり方は何日くらいか?
他の野菜はどのくらいで漬かるか?
いろいろ試しながら、我が家の味を作っていってください。

ちなみに、我が家では、夏場、キュウリは丸2日。
カブや大根、山芋は3日。
キャベツは2日で漬かるけど、
しっかり漬かった味が好きと家のものが言うので
丸々3日漬け込みます。
野菜の漬かり具合は、
切り方、大きさによってももちろん変わってきます。
(その辺はまた改めてお話しますね)
という風に、2〜3日で
ちょうど漬かるくらいの量をぬか床に入れているので、
漬け物を出すタイミングで、
下から上へよくかき混ぜます。

最後に上を平らにして、
容器の回りについたぬかを
ペーパータオルで拭きとって(雑菌が繁殖しますからね)、
蓋をして冷蔵庫へ。

いね

ぬか床は、風通しのいい涼しいところに常温で!
冷蔵庫に入れるなんてもってのほか!
と仰る方もいるでしょう。
常温のぬか床ほどいい味のものはないのよ!
と仰せの先輩方もいらっしゃるでしょう。

ですから……頑張れる人は、常温で、ね。
常温なら、醗酵も進んでどんどん漬かりますから、
ぬか床が早くいい具合に熟成することは
間違いありません!

* あ、だから始めたばっかりで、
どんどん捨て漬け中なんて人は、
常温にして1週間だけは毎日せっせとかき混ぜ、
野菜を入れ替え……
とすると見違えるようにいいぬか床になるはず。


猛暑の夏場だけ冷蔵庫、秋になって涼しくなってから、
冬場になったら、キッチンでというのもありですよ。

毎日の食生活や、家族構成、時間のあるなし、
住まいの状況などを考慮して、
自分にあった方法でやってみましょう。

ぬか床と長く付き合うには、無理をしないこと。
1ヶ月や2ヶ月のお付き合いではなく、
2年3年いえ、もっと長〜いお付き合いになるのですから。

次回は隠し味について。

 

「鶴見の糠漬け。」は、毎週火曜日に更新予定です。どうぞお楽しみに。

糠漬け参考図書

『東京タワー』
出版社: 扶桑社 SBN: 4594049664 
価格: 1,575円 (税込)

糠漬けが登場するのは、ほんの一部です。
でも、確かに登場します。
「オカン」が夜中に糠床をかきまぜるのです。

2007-09-25-TUE