ほぼ日 |
番組の企画は諏訪さんという
プロデューサーが現れたことで
大きく動きだしたという印象があります。
この番組にかかわるきっかけというのは
どういうことだったのですか。 |
諏訪 |
元々、10年以上前から
趣味で家庭菜園をずっとやってたんです。
永田先生の本は1年くらい前に本屋でみつけて
それ以来、知識として
「永田農法は面白そうだな」というくらいの
イメージだったのですが
たまたま社内の企画提案会議の場で
部長から
「糸井重里さんと
永田農法の野菜の育て方を
収録した番組を製作する」
という企画があるということを聞いて
それはぜひ、自分がやりたいと思ったんです。
実は会社でも家庭菜園を
やっているということは言ってなかったし
部長も知らなかったので
すぐに部長宛にメールを書いて
「実は家庭菜園もやってます
ホームページも作るほど入れ込んでます」
と書いたんです。 |
ほぼ日 |
家庭菜園のホームページまで
作っているんですか? |
諏訪 |
ええ、この番組に関わり始めてからは
更新は滞ってますけどね。
高尾山の山麓に
テニスコート大の家庭菜園があります。
畑仕事をしながら
都心の会社まで1時間半かけて
通勤していたわけです。
永田先生の農法を自分でも
一度試してみたいと思っていた所であること、
まさに千載一遇のチャンスというか
「ぜひ、自分にもこの番組を
いずれやらせてください」
ということをメールしたんです。
すでにこの番組には担当者がいましたし
『地球大進化』という番組もやってましたし、
編集部註:『地球大進化』
地球46億年の大変動の歴史を
最新の科学と映像技術を駆使して描く
超骨太な番組。諏訪さんはこの番組の
プロデューサでもある。
次回は9月25日(土)放送。 |
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そうしたら部長から
「いずれどころか、すぐに専任にする」
という話になって
ぼくが担当することになったんです。 |
ほぼ日 |
そこから一気に番組収録に
突入していったわけですが
永田農法については本の知識だけだったんですか? |
諏訪 |
ええ。
今、●●農法という名前で
いろんな農法があるんですね。
完全有機でやる農法だとか
いろんな本があるので
いろんな農法の中のひとつだな
というとらえ方でした。
いろんな農法については勉強をしてたんで
特別に永田農法を知ってた
ということではなかったです。
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ほぼ日 |
もしかして、
永田農法については知識はもたれてたけど
永田農法で作られた野菜は
食べたことが無かったとか? |
諏訪 |
ええ。正直言うと、
番組の打合せをしている時も
みなさんから
「永田農法の野菜はおいしい、おいしい」
と、聞かされて、
うちの部長からも
「諏訪、とにかく
タマネギとかピーマンとか
全然、味が違うんだよ」
とは言われてたけど
自分で10年間畑を作ってましたし
新鮮な野菜も食べてたし、
人にあげてもすごく喜ばれてたわけですよ。 |
ほぼ日 |
自分が作るものには
それなりに自信があったんですね。 |
諏訪 |
ええ。自信がありました。
間違いなく、
とりたて新鮮な野菜はおいしさが違いますから。
「永田先生の野菜はおいしい、おいしい」
というけど、
それは新鮮な野菜だからおいしいのであって
それにちょっと毛が生えたといえば
言いすぎだけど
「糖度が高いとか」「甘味がある」
という程度かなと思ってました。
だから番組制作者というより
野菜の作り手としても
自分の舌でも確かめたかった。
だから初めて永田先生の野菜を食べたのは
番組の打合せのために
永田先生の浜松にあるご自宅に
伺ったときなんです。
バジルを植えるこぐれさんと小泉今日子さん |
ほぼ日 |
2ヶ月前ですね。
確か、遅刻して来られましたよね。 |
諏訪 |
初めて永田先生のお会いするという時に
新幹線に乗り遅れたんですよ。
他のスタッフは
すでにご自宅から離れた所にある
タマネギ畑を視察されてて
そこに遅れて合流したんです。
そこで永田先生が
「タマネギの葉っぱを食べてください」
と渡されたときに
匂いに全然タマネギ特有の辛さがないじゃないですか。
ネギなのにむしろ甘い香りがして。
タマネギを剥いたらてかてかの紫色の
甘味がありそうで
かぶりつきたくなるようなタマネギだったんで
自然とかぶりついちゃったんですね。 |
ほぼ日 |
諏訪さんが遅れて現場にくるなりに
タマネギを剥きだして、
生でかぶりついた時には
スタッフ全員びっくりしました。
編集部註:
darlingは諏訪さんが
生タマネギをかじり終わった頃に
ようやく永田先生に
「この人が今回の番組のプロデューサーです」
と紹介したのでした。 |
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諏訪 |
ホントに梨みたいなタマネギでした。
水分といいシャキシャキ感といい。
辛みもなくてほのかな甘味がある。
それが衝撃的な出会いだったんです。
その後に飲んだトマトジュースは
飲んだ瞬間に
「なんだこれは!」と
怒りたくなるくらいに衝撃的でした。
葉物もいろいろ食べさせていただきましたけど
自分が今まで作ってきた自負があったんですが
どれを食べても
とにかく衝撃的だったんですね。
今でも覚えてるんですけど
家庭菜園を始めた頃、
インゲンを一番最初に収穫したんです。
収穫してすぐに茹でて食べたら
「何これ!」っていうくらいに旨かった。
これがショックで。
つまり、自分が今まで食べてたものって
なんだったんだろうって思うくらいに
新鮮な野菜の味というものにショックをうけて。
その時に
「野菜ほど、うまいものとまずいものの
差がある食品はないんじゃないか」
と思ったんですね。
それから10年間自分でいろんなやり方を試してみて
自分なりにおいしい野菜が作れるようになった時に
永田先生と出会ったんですね。 |
ほぼ日 |
諏訪さんが永田先生から受けた
その衝撃はオープニングで
小学生がタマネギをまるかじりするシーンにも
象徴されてますよね。
みんなでタマネギを丸かじりしてみました |
諏訪 |
そうですね。
子供はタマネギとかピーマンとか
嫌いじゃないですか。
その子供達が「旨い!」とかいいながら
生かじりしている姿は衝撃的ですよ。
さらに衝撃的なのは
その育て方のほうなんです。
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つづきます! |