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第2回 オトナの基本用語:その2 ■■■
オフィスで奮闘する諸先輩方よ、
たくさんのメールをありがとう。
お昼の貴重なひとときに有意義なメール、
ほんとうにどうもありがとう。
上司の目を盗んでのこそこそメール、
まことにどうもありがとう。
やること山積みだけど現実逃避のメール、
まったくもってありがとう。
社会に飛び交うオトナ語を解説する当コーナー。
昨日の開始より驚くほどのアクセス数を記録している。
わけのわからぬ言葉をつづったメールが山ほど届く。
コンセンサス? マター? 先方に投げる?
謎めいている。ああ、ひどく謎めいている。
しかしながら、それらの謎めいた言葉に
いちいち詳細な解説が記しているあたり、
最前線で働くビジネスマンの気概を強く感じる。
つまり、「ほぼ日」スピリッツは職場にも生きていた。
全国津々浦々の諸先輩方、
お世話になっております。
さて、取り急ぎ用件に入らせていただきます。
直近の案件を以下にまとめました。
二の矢、三の矢と用意しております。
ネゴもアポもありませんが、もんでおいてください。
逆にいうと、マストであるといえなくもありません。
ありかなしかといわれればありかもしれません。
逆にいうと、なしかもしれません。
いずれにせよ、なくはない話です。
そのあたり、どうぞよろしくです。
お世話になっております。
(提供者:あらき、び、ほか多数)
■結果を報告する、などの意味。
「数字がそろいしだいフィードバックしますので」
などと言えるようになれば、オトナかもしれない。
そんなオトナにはなりたくない、と思うかもしれない。
(提供者:じゅん、ほか多数)
■オトナが何を折り返すかといえば、電話なのだ。
オトナは点線に沿って紙を折り返したりはしないのだ。
「折り返し、お電話いただけますか?」とかませ。
「折り返し、お電話いたします」が文法的に
正しいのかどうか、オトナは気にしないんだぜ。
(提供者:ゆめぎわ、ほか多数)
■オトナはつねに落とし込む。紙などに落とし込む。
話し合った結果を落とし込む。落とし込みどころを探す。
「落とし込みどころとしてはそのへんかと」
活用すればするほど上級者。さあ、落とし込め!
(提供者:おばQ)
■「現場の意見としてはノーです」
なぜ部分的に英語なのか。
不思議なことだが「イエスです」とはあまり言わない。
(提供者:ポリス、ほか多数)
■森羅万象、すべての納期や締切や終わりをケツと呼ぶ。
「ケツはいつですか?」
「ケツはどこですか」
「ケツがありますので」
「ケツが見えないな」
「ケツを見せてください」
(提供者:ku、む、ほか多数)
■森羅万象、すべての納期や締切や終わりをおしりと呼ぶ。
当たり前だが、ケツよりおしりのほうが丁寧である。
「おしりはどのへんでしょうか?」
「このへんがおしりになります」
「おしりが見えないですね」
「おしりが見えるまでやりましょう」
「おしりが見えたら電話します」
(提供者:なお、イ、ほか多数)
■固定するのだ。はっきりと決めるのだ。
それだけならわかるのだ。
けど、「いちおうフィックス」とはどういうことだ?
だから、「仮にフィックスしました」ってなんなのよ?
あと、何度も言うけど、なんで英語なのさ?
(提供者:山田、キング、ほか多数)
■〜を基本に、という意味だが応用例多数。
「商業ベースだと割に合わない」
「正直ベースで行きましょう」は理解するが、
基本的なものをベースにする
「基本ベース」はいかがなものか。
(提供者:K、たらお、ほか多数)
■オトナが焼くのは肉ではない。
オトナが焼くのは餅でもない。
それは何かと尋ねたら、
ずばり「コピー」を焼くのである。
書類を手渡され、「焼いといて」と言われた場合、
決してそれをメラメラと燃やしてはいけませんよ。
なお、技術の進んだ昨今の職場では、
データをCD化することも「焼く」と呼びます。
オトナの豆知識でした。
(提供者:mocha、ほか多数)
■「要は、」と言うやつに限って要領を得ない、
との声が全国から届いています。
先方からの突然の質問に慌てふためき、
しどろもどろになったあげく、「要は……」。
いけませんいけません。バレバレですよ。
(提供者:さいこ)
■極論するなら、最初から極論してくれないだろうか。
長々話したこれまでの時間はなんだったのだろうか。
しかも、「極論すると、どっちでもいいです」というのは
はたして意味があるのだろうか。オトナって不思議だ。
(提供者:Tim Tam)
■開口一番、「あのですねー」。
オトナにはオトナの切り出し方があるのだ。
(提供者:ぐみ)
■なにかと「それとなく」振る舞うのがオトナである。
「それとなく聞いておいてもらえますか?」
「それとなく投げてみますよ」
隠密行動に潜むオトナの機微を感じ取れ。
(提供者:hiro、ほか多数)
■逆になること。入れ違うこと。
「どうやら、てれこになっちゃったみたいで」
「こことここは、てれこじゃない?」
また、「てれこ」になっていたものを直す過程で
さらに「てれこ」が生じる場合、あるいは、
一個の「てれこ」に対応する「てれこ」が
ほかにある場合などは「てれこてれこ」となるのだが、
私はいったいなにを書いているんでしょうか?
(提供者:saito)
■社会人はなにかと「バタバタしている」のだ。
「いまちょっとバタバタしておりまして」
「バタバタしていてお返事できませんでした」
とはいっても、床の上に大の字になって
手足をバタバタさせているわけではないぞ、若人よ。
(提供者:もどき)
■短時間で。簡単に。深い考えもなしに。
「さくっとお願いしますよ、ひとつ」
「そのまえにさくっとメシでも食いに行きますか?」
「いや、さくっとやっちゃいましょうよ」
「さくさくっとメシ食おうよ〜」
オトナはなんでも、さくっと、さくっと。
そういう音が聞こえた試しはないのだけれど。
(提供者:オチャム)
■だいたいの感じで。大ざっぱに。深い考えもなしに。
「ざっくりどのくらいになりますか?」
「ざっくり見積もって4千万ですね」
「それはざっくりすぎやしませんか?」
「いや、もう、ざっくりざっくりですけどね」
オトナはなんでも、ざっくり、ざっくり。
そういう音が聞こえた試しはないのだけれど。
(提供者:もっちー)
■困ったとき、オトナはアレするのだ!
「まあ、そのことについては、アレしますから」
「最悪、あとで、アレしときますから」
たとえ、のちに自分が苦しもうと、アレするのだ!
ところで、アレってどれなのよ!
(提供者:ら・まんちゃ)
■先方が不機嫌な感じで黙ってしまったとき、
オトナはアレを持ち出すのだ!
「もしアレなら、午後からうかがいましょうか?」
「もしアレなら、見積もりだけでも出しときましょうか?」
ところで、アレってどれなのよ!
(提供者:U1)
■おいおい、それをべつにしちゃイカンだろう!
けれどオトナはべつにするのだ。
「良いか悪いかはべつにして、僕は好きですよコレ」
などと言われても、喜んではいけない。
なんせ、良いか悪いかはべつなのだから……。
(提供者:ノバうさぎを描いてるちゃん)
■結果的にオッケーじゃない場合、オトナはそう言う。
「基本的にはオッケーなんですけどね」
「僕的にはオッケーなんですけどね」も同様。
このフレーズを聞いた瞬間、
あちゃあ! と思えたら、あなたはオトナです。
(提供者:minako)
■プリーズ・コール・バック!!
デンワ・シテ・アゲテ・クダサーイ!!
予防注射でもカード会社でもありません。
というわけで、みなさんからのオトナ語を
まだまだ募集している。
もしアレなら 、あなたの知識を
届けてはいただけないだろうか?
良いか悪いかはべつにして 、
どんどん気軽にメールしていただきたい。 |