BUSINESS
オトナ語の謎。
オレ的にはアグリーできかねるんだよね。

■■■  第6回 オトナの基本用語:その6  ■■■

ついに、「ほぼ日」編集部乗組員にも
おすすめメールが回ってきたのである。
知人からのメールを見ると、そこには、
「このページ、暇なときにでも見て!」
なんていうことが書いてあるのである。
恐れながら、それは弊社が請け負っている仕事なのである。

全国のオフィスでがんばる諸先輩方、
いつもお世話になっております。
たとえあなたと私が初対面でも、
いつもお世話になっております。

社会に飛び交う謎めいたオトナ語を紹介する当コーナー、
全国津々浦々に響く「言う言う!」のあいづちとともに
モニターの前のあなたをニヤけさせるべくお届けする。

合い言葉は「なるはや? 午後イチ? レスポンス?」
謎めいたオトナ語を叡智の光で照らせ!
昼休みのオフィスに吹き込む一陣の風、
それがすなわち「オトナ語の謎」
体調不良をぶっ飛ばしつつ、
ある意味、力ワザでお届けする。
火を噴く現場のことは忘れて、
おしりまでごゆっくりどうぞ。


ゴーする
(提供者:katsura)
■企画が現実的に動き始めること。
 「じゃあ、それでゴーしますのでよろしく」
 そのきっかけである「GOサイン」は
 なぜか「ゴー」が英文表記となる。
 「ゴーサイン」じゃピンとこないから不思議だ。

〜絡み
(提供者:Riko)
■ちょっとややこしい事情や関係がある様子。
 人やモノなどさまざまな言葉が前につく。
 「こんな時間になんでそんなことしてんの?」
 「いや、例の渡辺本部長の絡みでさあ」
 う〜ん、火曜日の昼からへこむ例文を書いちゃったな。

〜つながり
(提供者:okdt)
■あることとあることに共通項がある、
 ということをフランクに示すわけだが、
 しばしばそれは無理矢理な関係づけであり、
 つなげたもん勝ちであり、つなげられたほうは困惑。
 「銀行つながりってことで、お願いできる?」
 くらいはまだ許せるにしても、
 「ま、アメリカつながりってことでよろしく!」
 ってなことになると、つながってないとしか思えない。

宿題
(提供者:OKKO、しばぞう)
■学生諸君にとってのそれと大きな意味では変わらないが、
 明確な答えがない場合が多いことや、
 「忘れました」では済まないことが大きく異なる。

持ち帰る
(提供者:hsy、しばぞう、mocca)
■学生諸君にとっての宿題は「出される」ものだが、
 オトナにとっての宿題は「持ち帰る」ものなのである。
 「それは、宿題として持ち帰らせていただきます」
 持ち帰った宿題は持ち帰ったのち、
 社内で振られてほかの誰かの宿題となる。

アテンド
(提供者:のんちゃん)
■同行すること。立ち会うこと。
 「明日は午後から試写会アテンドです」
 例によって「なぜ英語?」は言わない約束で。

パイプ
(提供者:えっつ)
■太いのを持っておくと何かと有利である。
 変わったものを持っておくと重宝がられる。
 もちろん、ホームズが持っているやつではなくて
 よその会社などとの親密な関係を指す。
 パイプを使ってネゴしてアポとりつけたりするから
 オトナってばよくわからないよな。

キャパ
(提供者:南風)
■字面はなんだかカワイイが、
 語尾にハートマークをともなうようなものではない。
 キャパシティーの略であって、容量を指す。
 ある場所に入る人数の限界であったり、
 個人の請け負える仕事量の限界だったりする。

いっぱいいっぱい
(提供者:洋子)
■個人の請け負える仕事量の限界を超えてしまうと
 「いや、もう、いっぱいいっぱいです」
 ということになる。このへんはすでに日常会話か。

はたけ
(提供者:ゆきP)
■ある専門分野のこと。「〜畑」と使うことも。
 語られる場とは違った分野を指す場合が多い。
 「はたけが違いますので即答しにくいのですが」
 「あの人は、ほら、印刷畑の人だから」

シマ
(提供者:かなな)
■課ごと、部ごとの机のかたまりを指す。
 「渡辺本部長はいらっしゃいますか?」
 「さっき窓際のシマにいましたよ」

裏口
(提供者:でめちゃん)
■正規のルートを通るよりも優先してもらうこと。
 あるいはその方法。パイプ同様、
 いろんな裏口を知っていると重宝がられる。
 なにやら非合法めいた印象のある言葉だが、
 ぎりぎり合法である。そう信じたい。
 そうだと言ってくれ、渡辺本部長。

悪くないですね
(提供者:みけ)
■かなりのほめ言葉といっていい。
 いろんな関係者もいるので、
 私個人が即座にほめるのもどうかと思うけど、
 きっとこれはよいから、
 自分がよいという反応をしたことは伝えておきたい、
 という、じつにオトナな意味合いを含む言葉。
 ここは「恐縮です」とクールに答えておいて、
 ひとりになったときに小さくガッツポーズしよう。
 オトナって難しいなあ。

悪くはないですね
(提供者:みけ)
■「悪くないですね」に一文字加えられただけだが、
 これは「結果的にはダメだ」ということになる。
 いや、ほんと、オトナって難しいわ。
 けど、言うほうも言われるほうも
 誰に教わるでもなくこのへんの機微を感じ取っている。
 意外にオトナって楽しいかもよ。

架電の件
(提供者:キヨシ)
■こんなこと言うのかよ、と思っていたが、
 ぽつぽつ同じ投稿があったので紹介しよう。
 「さきほど電話された件」
 「メールで連絡のあった件」という意味。
 架電の件ですが、と使うらしいが、
 ATOKでも変換しないくらいの言葉だ。

オンスケ
(提供者:きり)
■「リスケ」がリスケジュール(日程再調整)なら、
 「オンスケ」はオンスケジュールであり、
 予定通りに進行中、という意味である。
 しかしなんともマヌケな響きだなあ。
 意味もなく「このオンスケ野郎!」とか言いたくなるなあ。

寝ワザ
(提供者:マナ)
■昨日紹介した「力ワザ」に続いて、
 本日紹介するのは「寝ワザ」でございます。
 こじれた交渉などを、酒の席などを利用して、
 なし崩し的に解決する方法であり、
 根本的な解決には至らないのがやっかいなところ。
 渡辺本部長の得意技である。
 ところでさっきから出てくる渡辺本部長は誰ですか?

ご査収ください
(提供者:とてか)
■要するに「あげるから受け取ってね!」という意味である。
 オトナはもってまわった言い回しが大好きだ。

ご笑覧ください
(提供者:とてか)
■要するに「まあ、あんまり必要ないものかもしれないけど、
 なんか、あげたくなったからあげるので、
 いらないかもしれないけど
 とりあえず受け取ってね! なんなら捨ててもいいよ!」
 という意味である。「笑いながら読め!」ではない。
 オトナはほんとに、もってまわった言い回しが大好きだ。

コミット
(提供者:はなこっち)
■関係すること。関わり合うこと。参加すること。
 「御社のキャンペーンにもコミットしつつ」
 混同しがちな言葉だからきちんと覚えておこう。
 コミットコミットコミット! 覚えましたか?

オミット
(提供者:こりん)
■除外すること。いったん取り除くこと。
 「B社の提案はオミットする方向で」
 混同しがちな言葉だからきちんと覚えておこう。
 オミットオミットオミット! 混乱しましたか?

メリット
(提供者:はなこっち)
■これは覚えやすいですね。利益です。
 メリットメリットメリット!
 繰り返すまでもなく、覚えましたね?

ベネフィット
(提供者:かとちゃ)
■ところが最近は「メリット」ではなく
 「ベネフィット」とかいうそうですよ、利益。
 なので、メリットは忘れてください。
 ところでオミットってどういう意味でしたっけ?

えーとですね
(提供者:まらきち)
■オトナは「えーと」すら丁寧に言うのだ!

でですね
(提供者:うず)
■「あのですねー」に続く、謎の切り出し文句。
 「……ということでした。でですね、じつは」
 それでですね、なんて長くて言ってらんねえ。
 でですね、でですね、デデスネ!

いい感じにしておいて
(提供者:ももこぶた)
■いろいろ注文つけてるうちに
 わけわかんなくなってきちゃった。
 あれれ? けっきょくおれは
 どういうふうにしてほしいんだっけな?
 「まあ、いい感じにしといてよ」

左手で書いてよ
(提供者:コピーライター)
■原材料を使わない職種の人に対して、
 顔見知りが顔見知りであることを利用して
 ちょっとしたことをお願いするときに使う言葉。
 「ごめん、ちょっとこれ急ぎでさ、
  ね? ちゃちゃっと左手で書いてよ」
 ほんとに左手で書いたろか、とは思ってもできない。

ウレシイ
(提供者:JIN)
■「きゃあ、うれしい!」と喜ぶことではなくて、
 利益や効果があることを意味する。
 「それはユーザーにとってなにがウレシイの?」
 「それじゃウチはウレシくないなあ」

おてすき
(提供者:みわ、ムキラッチ)
■まず、「手」に「お」をつけて上品にします。
 そして、「混む」の反対の意味である
 「空く(すく)」を持ち出してきて、
 「お手が空く」というふうに考えてみましょう。
 それを活用させたうえでギュッと縮めると、
 「おてすき」になります。
 「おてすきのときにご覧ください」と簡単に言いますが、
 成り立ちを分析すると意外にややこしいのです。
 なんでそんなややこしいことをしてるんですか。

〜させていただく
(提供者:みるみる、ender)
■武士道とは、死ぬことと見つけたり!
 オトナとは、へりくだることと見つけたり!
 「喜んで尻ぬぐいさせていただきます」
 ほんとのオトナはそんなことくらい
 恥ずかしく思ったりしないんだぜ。

わっかりました
(提供者:ながせ)
■おいおい、ずいぶん元気だな。
 けど、それくらいでよろしい。


そんなわけで、本日はこのへんで失礼させていただく。
例によって、みなさまからのメールを
24時間募集しているのでどしどしご応募を。
さて、当コーナーでは、
ある特有の会社でしか使わないような言葉は
基本的に掲載しない方針であるが、
ここで例外的に1通のメールを紹介させていただく。
メールの文面をそのまま掲載するのも異例であるが
そのメールに書かれた一部分がとても印象的であるので
最後に、ぺろっと載せておく。


余談ですが、
お風呂の壁の溝などに使用されている柔らかい目地剤を
「コーキング剤」といいます。
「コーキングする」とも使います。
外壁の隙間を塞いだりする場合にも使う材料です。

コーキングの幅が異常に広かったり、
ぐちゃぐちゃに施工されてるような場合、
以前の上司は「うんこコーキング」と言ってました。

会議とか普通に、
「あそこ、うんこになってただろ?」
「結局うんこしか方法がないんだろーなー」
現場では、
「うんこだ、うんこ。うんこで収めるしかないだろー。」

実際にうんこを使う訳では
ありませんので安心してください。
 (Satoko)


次回もよろしくどうぞ。

2003-06-17-TUE

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