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第8回 オトナの基本用語:その8 ■■■
届く多くのメールから感じることがある。
行間からにじみでる思いを感じることがある。
どうやら、毎日ここをご覧になっている
ビジネスマンのみなさんのなかには
悔しがっている人がいるようなのである。
「ああっ、それがあったか!」と。
楽しみながらもそこにわずかな勝ち負けを見いだす。
どんな些細な悔しさも明日への活力だ。
それでこそビジネスマンよ。
それでこそ企業戦士よ。
全国のオフィスでがんばる諸先輩方、
お世話になっております。
たとえあなたと私が初対面でも
お世話になっております。
たとえあなたが元気いっぱいでも
お疲れさまです。
社会に飛び交う謎めいたオトナ語を紹介する当コーナー、
お昼休みに極端なアクセス数を記録することで有名です。
あっという間の木曜日、
もうちょいがんばりゃ金曜日、
いえいえとんでもございません。
合い言葉は「なるはや? 朝イチ? ペンディング?」
謎めいたオトナ語を叡智の光で照らせ。
蒸し暑きビル街に吹き込む一陣の風、
それがすなわち「オトナ語の謎」
直帰直行および体調不良をぶっ飛ばしつつ、
フレキシブルに対応しながら
手前どものにんげんが参上いたします。
いただいた電話で恐縮ですが
おしりまでじっくりご笑覧くださいませ。
(提供者:コモロ)
■本来の価格の70パーセントで
買ったり仕入れたりすること。
むろん「ハチガケ」も「ロクガケ」もある。
「ニガケ」くらいになると
「ニガケ!?」となるのがふつうである。
(提供者:六花)
■がんばってもらうこと。
「ここはひとつ水谷クンにがんばってもらって」
「がんばっても20円以上はないですよ」
「むーーー。がんばってもらうしかないでしょうね」
(提供者:Q太郎)
■血がにじむくらい努力すること、ではなく、
やはりがんばること。冷静になると大げさな話である。
「善処する」の代わりに使うこともある。
(提供者:オーサマ)
■先行きの見えないまま計画を実行に移すこと。
無計画にもほどがある、と思うなかれ。
たいていの企画は多かれ少なかれ見切り発車である。
というか、関わる全員を納得させることが困難なのだ。
(提供者:ヘッカム)
■見切り発車したかと思うと今度は垂直立ち上げである。
オトナというのはいろんな比喩を使うものだと感心する。
意味としては、企画や事業を立ち上げの当初から
全速力で動かしていくこと。
見切り発車して垂直立ち上げなんてのもよくある話。
いったい私は何に乗っているのですか。
(提供者:ハロア)
■貧乏くじをひく、と同意。
やっかいな役目をやる羽目になること。
長い長い会議が終わって、
引き上げてきた同僚が頭をかきながら
「いやーーー、ババひいちゃったよー」
(提供者:副社長)
■どういう感じか探りを入れてみること。
あるいはそれとなくお願いしてみること。
たいてい「上のほう」や「先方」を
突っつくことになる。
(提供者:あふろん)
■口にするとなんとなく偉くなったような気がするので
ぜひ使いたいと思ってはいるのだが、
どういう場面で使うのかいまひとつ不安である。
ああ、「公認してもらう」ことだったんですか。
(提供者:SID)
■出た! 「○○選手」「○○先生」に続く
謎の肩書き第3弾! 「○○大明神」!!
トラブルがあった場合やピンチの場面でよく使われる。
「こりゃもう清水大明神にお出まし願うしかないな」
(提供者:m93)
■絶対にそうなのだが立場上断定できないときに使う。
「限りなくノーですね」「限りなく不可能かと」
「限りなくグレーだと思ってもらってかまいません」
「限りなく」がつくほど問題が曖昧になるから不思議。
(提供者:TSUYOSHI)
■こんな感じかな、というレベルまでつくること。
「とりあえず一度かたちにして、それからですね」
また、「とりあえずかたちにしたもの」が、
けっきょく本チャンになってしまうこともよくある。
(提供者:方白)
■当てはめる、予約する、の意。
「○○くんをアサインしておくから」
ここで例の疑問がまたしても脳裏によみがえる。
なんでまたそんなヨコモジを混ぜるのさ?
(提供者:みー)
■近年、急速に普及した感のあるオトナ語。
上期や下期が始まるとき、あるいは
何かの事業が始まるときなどに、
どこかに集まってワーワーやること。
バカバカしいので出たくはないのだが
「仕事だから、出ないやつは休日扱い」
などと言われて渋々出ることになる。
(提供者:わがし)
■そういったことに厳しい人なら
「日本語が乱れておる!」と嘆くことうけあいの言葉。
一般的には「性的にグッとくる」みたいな意味だが
オトナはたいてい「悩むなあ」という意味で使う。
ところでいま念のために辞書で調べたら
「気持ちがはれない」「悩みが多い」との説明もあり、
じつは大人たちは間違っていないのかもしれない。
でもまあ、いい歳したオッサンが
「う〜ん悩ましいねえ」を連発するのは
やっぱり間違っているかも、と思う。
(提供者:Cazy3)
■「えいやっ」に続く第2弾。それが「せーので」。
「じゃあ、営業と制作にも加わってもらって、
せーので始めましょうよ」などと使ったりする。
(提供者:高澤@華道家)
■なぜだかわからないが、
たいてい「3つある」のである。
「その原因としては3つあります」
「この問題を回避する方法は3つあります」
「お見せしたい案は3つあります」
3以外の数字はありえないのだろうか?
(提供者:luke)
■驚いたことに、深夜0時のことを指す。
「てっぺんめどに仕上げていきます」
なんでまたこういう言い回しが生まれるんでしょうか。
(提供者:秘書、山田)
■電話したところ先方は不在。
そんなときは、応対してくれた方に伝言を頼みつつ、
謎のメッセージを残しておこう。
「B社の谷川と言えばわかると思います」
「六本木の件と言えばわかると思います」
「平賀源内とエレキテルと言えばわかると思います」
「あの夏は素敵だったぜ、と言えばわかると思います」
「リンゴが4個あります、と言えばわかると思います」
「借金返せ、と言えばわかると思います」
(提供者:理、kintheworld)
■電話口のお姉さんはボクのことを
なんでも知っているのだ。
「コバヤシトモヒデさんでよろしかったでしょうか?」
「レンタル期間は2週間でよろしかったでしょうか?」
「不在の場合は携帯へ連絡でよろしかったでしょうか?」
「175センチ、中肉中背、でよろしかったでしょうか?」
「尊敬する人物は平賀源内でよろしかったでしょうか?」
(提供者:ジキルとハイド)
■どうしても連絡を取りたい場合、
オトナはあらゆる手を尽くして
どこにいようとその人の居場所を突き止める。
そしてついにその人をつかまえて言うのだ。
「出先まで追いかけましてすいません!」
(提供者:Angela)
■おもに、出先からの直帰を企てる人が使う。
すべての職務が終わったからこそ直帰するのであり、
しかもいつでも職場に戻る準備がありますよという
意味が込められている。
いわば直帰者の完全理論武装。
(提供者:あら)
■電話を取り次ごうとして、その人の名前を呼ぶと、
その人は非常に忙しいらしく、こちらをキッとにらんで、
まるで私が悪いかのようにこう叫ぶ。「折り返す!」
(提供者:ちどり)
■電話を取り次ごうとして、その人の名前を呼ぶと、
その人は非常に忙しいらしく、こちらをキッとにらんで、
まるで私が悪いかのようにこう叫ぶ。「いまいない!」
(提供者:lake)
■なにかを人に向かってお願いするわけではなく、
むしろ対象となる人がいないような場面で、
「おいおいしっかりしてくれよ」という意味で使う。
たとえば、ちっとも要領を得ない得意先との電話。
さんざんいろんな説明を繰り返したあと、
ようやく電話を切ってひとこと。
「た・の・む・よ〜!」
あるいは重要なプレゼンを控えた場面。
必死で資料をまとめていたらパソコンがフリーズ。
いろいろやるがまったく動かず再起動する以外ない。
うつろな目で画面を見つめながらひとこと。
「た・の・む・よ〜!」
(提供者:あんこちゃん)
■火消し部隊が到着する以前の現場は
火を噴いており、爆弾を抱えており、
担当者のケツには火がついている。
本日はこのへんで失礼させていただきます。
例によって、オトナ語の投稿、
当コーナーへの感想など、お待ちしております。
どなた様もふるってご応募くださいませ。
宛先はやや下のほうに書いてございます。
いえいえとんでもございません。
なにをおっしゃいますやら。 |