オトナ語の謎。 オレ的にはアグリーできかねるんだよね。 |
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第41回 オトナ語発展編:その4 ■■■ いや、もう、ほんとうに、心底思う。 ビジネスマンの頭が固いなんて、うそっぱちだぜ。 出題しておきながらなんだけれども、 今回の問題は、そうとう難しいだろうと思っていた。 「男女の別れ編」でかなりの投稿があったとはいえ、 あまりに回答の拠り所がなさすぎるからである。 けれども、寄せられた投稿のクオリティーたるや 驚くほどに高かった。 率直にいって、メールが届くたびにげらげら笑った。 あ、ご挨拶が遅れました。 全国のオフィスでがんばる諸先輩方、 お世話になっております。 まずはその難題を振り返ってみよう。
こんな問題出されても、途方に暮れるのがふつうだと思う。 たしかに投稿数はいつもより少なかった。 けれど、届いた投稿の出来映えは、 見事というほかなかった。 本日は、その傑作選をお届けする。 まず最初は『桃太郎』の有名な一場面より。 桃太郎に向かって猿がなにやら言っているようです。 『桃太郎』 猿 「お世話になります。 唐突なお話で申し訳ございませんが、 お腰のきびだんごにあたるものを頂戴する、 というわけには参りませんでしょうか」 桃太郎「こちらこそお世話になります。 ええ、ええ。かまいません。 ただ、一点、ご説明申し上げておいたほうが スムーズかと存じますが、 こちらのきびだんごに関しましては、 当方で今後視野に入れております、 鬼退治という極秘プロジェクトの プロセスにおいて活用したいと考えております」 きじ 「と、おっしゃいますと?」 桃太郎「ええ、端的に申し上げますと、 プロジェクト参加に対するフィーと、 お考えいただいてよろしいかと存じます」 犬 「横から失礼いたします。 それは、退治完了時点での成功フィー、 とかんがえたほうがよろしいのでしょうか?」 桃太郎「ご質問ありがとうございます。 いえ、このプロジェクトに関しましては、 かなり時間的労力や物理的リスクが 見込まれますので、 参加時点でのフィーと考えております」 猿 「つっこんだ質問で恐縮ですが、 成功した折には、 きびだんごとは別途のフィーが 発生する可能性もある、ということでしょうか」 桃太郎「そう考えていただいて結構です」 きじ 「生々しい話で恐縮ですが、 具体的にはどのようなものが 見えてきますでしょうか」 桃太郎「現時点ではなかなか見えにくいのが実情ですが、 手前どもの古い人間にききましたところ、 鬼が島には、かなり金銭的価値のある 資産が存在するということでして、 また、その資産は法律的には どこにも属さずフリー案件ということですので、 確約はできないものの、 そのあたりの現物支給などが フィーとして考えられると思います。 あ、この件は、 くれぐれもオフレコでお願いいたします」 猿犬きじ「了解です」 (提供者:むらい) ■いや、もう、参ったよ、降参だよ。 「鬼退治という極秘プロジェクトのプロセス」って。 きじが「と、おっしゃいますと?」って。 犬が「横から失礼いたします」って。 猿が「きびだんごとは別途のフィー」って。 おじいさん、おばあさんを指して 「手前どもの古い人間」って。 もう、おもしろすぎなんだけど、 その一方で、犬と猿ときじが 桃太郎に向かってプレゼンしているという 投稿も来ているわけですよ。これです。 『桃太郎』 犬「え〜、ももたろう様。 本日は、私どもに提案の機会を賜り、 誠にありがとうございます。 早速、今回のゴブリンズ・アイランド・キャンペーン、 略してGIキャンペーンに対する、 私どもからの提案を説明させて頂きます。 今回のテーマは、鬼退治とお伺いしておりますが、 これは換言すれば鬼を対象にした狩猟と定義されます。 そこで、狩猟と言えば、 欠かせないのが、犬ということで、 まずこの私イヌがお供させて頂こうと考えました。 次が横におりますサルでございます。 イヌにサルというのは、 一見奇異に感じられるかもしれませんが、 そこが手前どもの狙いになっています。 実は、サルというのは、女性誌のアンケートで、 敵に回したくない動物の密林部門で 堂々の2位に入っております。 僅差でワニが1位でしたが、 3位のピラニアには大差をつけています。 その魅力は、何と言っても卓越した知恵にあります。 必ずや、ももたろう様の貴重な戦力になれるものと、 確信致しております。 最後が、今回の一番の目玉、キジであります。 私どもの提案のキモと言っても過言ではありません。 ももたろう様が戦略を立案される際に、 キジによる空中からの情報収集力が、 間違いなくお役に立ちます。 ぜひ、イヌ、サル、キジの3名を、 今回プロジェクトにご採用賜りますよう お願い申し上げまして、 私どもからの提案にかえさせて頂きます。 本日は誠にありがとうございました」 (提供者:はっさん) ■も、もう、なにがなんだか。 かと思うとね、川から拾ってきた桃を前にして、 おじいさんとおばあさんが議論してるんだよ。 『桃太郎』 おばあさん「手前味噌に過ぎるかもしれませんが、 かように大きな桃を入手できましたのも、 やはり毎日かかさず 川に洗濯に行っていればこそ、と考えます」 おじいさん「あなたの実力のほどは 十分、評価しております。 ですが、やはり桃の本当の価値というのは、 大きさうんぬんよりも、 味にこそあるということは 申し上げるまでもないでしょう」 おばあさん「もちろん、その点を なおざりにするわけではなく、 味についても、この色、つや、匂いから 十分期待できる、と踏んでおります」 おじいさん「とにかく、早急に、食してみないことには、 まだ議論のスタート地点にも たっていないのではないでしょうか?」 おばあさん「言われるまでもありません、 とにかく割ってみます」 桃太郎 「ほぎゃー」 おじいさん「これは、 どう解釈すればよろしいのでしょうか?」 おばあさん「まったく予想外の事態と言わざるを得ません。 早急に帰社し、本部長の渡辺と 緊急対策会議を開催いたします」 (提供者:Inu) ■は、腹が痛い。なんだこりゃ。 「早急に帰社」って、どこ行くんだよ。 読み返してみてもおかしい。 桃太郎の「ほぎゃー」がなぜかおかしい。 そんでもって、こんなものまで届いてます。 『桃太郎』 Memo & Minutes To:桃太郎渉外部長 From:渉外部 猿 Date:2003.9.2(火) Subject: 鬼が島(株)との 金銀財宝に関する事業提携について Date & Time : 2003.8.29(金) 14:00 -16:00 Place: 鬼が島(株)会議室 Member : 鬼が島(株) 赤鬼金銀財宝事業本部長、 青鬼金銀財宝事業推進室主査 当社渉外部 桃太郎部長、犬主査、雉主任、猿 経緯: ・数度に亘り鬼が島(株)(以下O社)が来社し、 当社との金銀財宝に関する事業提携の提案がなされた。 ・その際、当社よりO社に対し、 当社の金銀財宝のサンプルを提供した。 ・O社に対し、当社として金銀財宝に関して 事業提携できない旨およびサンプルの返還を求める旨の 意思表示を行うべく、O社を訪問した。 結論: ・両社は金銀財宝に関する事業提携を 行わないことに基本的に合意した。 ・両社は、当社がO社に提供した当社の 金銀財宝のサンプルをO社が返還することに 合意した(当日受領済み)。 ・ただし両社は、引き続き友好関係を 維持することに合意した。 ・9月の1日の週中にO社が当日の議事録を作成する。 以上 配布先:おじいさん常務、おばあさん取締役 (提供者:JM) ■わーーー、議事録だ、議事録だ!! 赤鬼と青鬼がやってきて、宝物に関して、 桃太郎と犬とキジと猿と話し合ったんだ。 けっきょく物別れに終わったんだ。 それをおじいさんとおばあさんに報告してるんだ。 ……もう、発展型が来てるわけか。すげー。 あ、もちろん、『桃太郎』以外も来てますよ。 『かぐや姫』 〜かぐや姫が求婚する皇子たちに 無理難題を突きつけるシーン〜 姫「今回のコンペへのご参加、誠にありがとうございます。 どのプレゼンも非常に甲乙つけがたく、 上でも意見が分かれてしまいましたので、 再度のプレゼンにてよーいドンで仕切りなおし、 つまり話をフラットにした状態で それぞれにテーマを設け、 最終段階のすり合わせを行なってゆければ、 ということで。 えー、そのテーマは佛の御石の鉢、 蓬莱の玉の枝、火鼠の皮衣、龍の頸の玉、燕の子安貝、 以上となっております。 テーマがテーマだけに明確な納期は申し上げません。 ですが、ASAP、とだけ申しておきましょうか。 では、それぞれ独自のカラーを生かしたものを 期待しておりますので、 よろしくお願いいたします!」 (提供者:ユキ) ■よろしくお願いします、じゃねえだろ、姫! まあ、たしかに実際の姫もムチャ言ってんだけどさ。 もちろん、海外の物語からも来てますよー。 『七匹のこやぎ』 トン、トン、トン。 子ヤギ達「どちらさまでしょうか」 オオカミ「私、母と申します。 扉を開けていただけないでしょうか」 子ヤギ達「あの、失礼とは存じますが、 どちらの母さまでしょうか」 オオカミ「当家の、ということでご了解頂ければ幸いです」 子ヤギ達「左様でございますか。然しながら当家の母は いま少し高い声を持っております。 そちら様の声とは 少々異なるようにお見受けいたします。 もしや、オオカミさまでは いらっしゃいませんか?」 オオカミ「その件に関しまして 私から申し上げることは何もございません」 子ヤギ達「はあ。実を申しますと、当家の母から、 近々にオオカミさまが いらっしゃるかもしれない旨、 申し受けております。 諸般の事情により残念ながら オオカミさまを当家にお迎えすることは 大変難しいこととなっております。 そのあたりお察しいただけると嬉しく思います」 オオカミ「なるほど。 当方も声に関しては失念しておりました。 ではこの場はこれで失礼させていただきます。 また後ほど改めて参上いたしたく思いますので よろしくお願いいたします」 (提供者:ぬばたまの) ■ひ〜ひ〜、もー勘弁してくれ〜。 「当方も声に関しては失念しておりました」 じゃないだろうよ。「改めて参上」するって 言っちゃダメだろうよ、オオカミさん! そして、つぎもいろんな意味でぶっ飛んでいる。 『おお、ブレネリ』 〜異種業種交流会にて〜 男「あっ、ブレネリさん。こんばんは」 女「あ、どうも、こんばんは。 いつもお世話になっております」 男「ブレネリさんは、どちらにお住まいですか」 女「私、スイッスランドに住んでいるんですよ」 男「ああ、いいところにお住まいですね〜」 女「実家なんですけどね。 ウサギ小屋みたいな家なんですけど、 綺麗な湖のほとりなところだけが、取り柄で」 男「いやー、ブレネリさんって、お嬢様なんですねぇ」 女「いえ、いえ、そんなことないんですよ」 男「ところで、ブレネリさん、 ご職業はなにをされているんですか」 女「いまどき、ちょっと、アレなんですけど、 羊飼いなんですよ。」 男「あ、羊飼いをされているんですか。 ブレネリさんって、お嬢様に見えて、 意外にガテン系なんですね。 外回りも多いでしょうから、色々、大変でしょう」 女「いえ、私、これでも、結構、 体力はある方なんで、大丈夫なんですよ。 仕事としても、好きですし。 でも、狼出るのが、ちょっと、恐いですね」 (提供者:みけ) ■ていうか、昔話じゃないじゃん! 童謡だろ、これ! おもしろいからよし! というわけで、まだまだおもしろいのがあるんですが、 今回の掲載は、あえてここまでにします! と、いうのも、ですね……。
いまのところ、『浦島太郎』『鶴の恩返し』 『したきりすずめ』などが来てますよー。 とくに、『浦島太郎』の後日談が最高なんですけど、 そのへんは次回に掲載! ぜひ、いっしょに遊びましょう。 初投稿の人も増えてきてますよー。 カモンジョイナス。
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2003-09-03-WED
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