オトナ語の謎。 オレ的にはアグリーできかねるんだよね。 |
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第58回 オトナ語専門用語編:その8 ■■■ 「こんなコーナーがあったんですね。 バックナンバーを全部読み返しました!」 という声が最近またよく届くようになってきた。 ありがたい話である。 まったく違った仕事で会った社外の方から、 「オトナ語、みんなで読んでますよ」 という声もときどき聞いたりする。 ありがたい話である。 そして何より、 「我慢しきれず、ついに投稿します!」 というメールが専門用語編になってまた増えてきた。 ありがたい話である。 全国のオフィスと現場でがんばる諸先輩方、 お世話になっております。 本日もさまざまな専門用語をお伝えする。 それが現実的な知識として 人生に役立つかどうかはどうでもよろしい。 どうやら人はいろんなことを知りたがる生物なのだ。 まずはテーマを振り返ろう。
まずは、みなさんが日ごろよく 利用しているはずの業界からいってみましょう。 お馴染みのあの場所では、 こんな会話がくり広げられているのです。 【歯科医院:医師がアシスタントに対して】 「よし、バツイトします!」 ▼現代語訳▼ 「傷が回復したようなので、抜糸します。 ハサミを持ってきてください」 (提供者:れれれ) ■ん? これのどこがオトナ語? 説明しましょう。 なんでまたわざわざ「抜糸(ばっし)」を 「バツイト」と発音しているかというと、 歯医者さんにおいて「バッシ」というと 「抜歯」と「抜糸」を混乱してしまう恐れがあるのです。 なので、「抜歯」は「バッシ」と、 「抜糸」は「バツイト」と言うのだそうです。 なるほどなあ。役には立たんが、 つい覚えておきたくなるなあ。 【銀行:行員どうしの会話】 「このレシートどうするの? 現払い?」 「こっちは万券の新券で現払い、 こっちは落として別段振っといて」 「印相なんですけどー」 「丸じゃなくて俵の方かー」 「(印鑑をもらい直して) じゃあこれお持ち帰りだからよろしく」 「代弁ですけどいいんですかー?」 ▼現代語訳▼ 「この出金伝票どうするんですか? 現金出金ですか?」 「こっちは一万円札の新券で現金出金、 こっちは引き落として別段預金に振替入金して下さい」 「印鑑相違なんですけど」 「丸い印鑑じゃなくて俵型の方でしたか」 「ではお客さまが待っておられますので よろしくお願いします」 「代位弁済された人ですけどいいんですか?」 (提供者:アリス) ■なにやらずいぶん待たせるなあ、と、 銀行の窓口でソファに座りながら 思った方も多いだろう。 カウンターの向こうでは、 そんなような会話がくり広げられていたのだ。 【映画の字幕翻訳業界:先生と弟子の会話】 弟子「先生、扉をひらいた方がいいですか?」 先生「扉はひらく必要ないよ」 弟子「じゃ、鰺はひらきます?」 先生「アジねぇ‥‥。一応ひらきにするか」 弟子「股はひらいておいた方がいいですよね?」 先生「もちろん。股はひらかないと。 股は絶対ひらいておいてよ」 ▼現代語訳▼ 弟子「先生、『扉』という字は、 ひらがなで表記した方がよろしいでしょうか?」 先生「扉は漢字で結構です」 弟子「では、『鰺』という字は ひらがなで表記すべきですか?」 先生「鰺ですね、読めないといけませんので 念のためひらがなにしておきましょう」 弟子「『股』はひらがなで表記するのが ベターだと思われますが」 先生「『股』は常用漢字ではありませんから、 ひらがなでなければなりません。 従ってどんな場合も必ず 『股』という字はひらがなで表記してください」 (提供者:たんす) ■んまあ、なんてはしたない! 「股をひらく」だなんて! いえいえ、お母さん、そういう話ではないのです。 「股」という字を「ひらがなにする」という話なのです。 それにしたってアナタ! 「股を絶対ひらく」だなんて! まあまあ、お母さん、落ち着いてください。 娘さんはよくやってくださってますよ。 【バイオ研究業界:教授と生徒の会話】 「うーん、今のままだと、やっぱりデータが足りないね。 まぁ、セクシーとまでは言わないけど」 「えー! セクシーにはほど遠いですよ〜、 それは無理ですー」 「でもせめて、やっぱりもう少し何とかして、 ‥‥ティーンくらいに」 ▼現代語訳▼ 「うーん、今のままだと、 やっぱり論文として投稿するにはデータが足りないね。 まぁ、一流雑誌に発表できるレベルの データを足せとは言わないけど」 「えー! 一流誌にはほど遠いですよ〜、 それは無理ですー」 「でもせめて、やっぱりもう少し何とかして、 ‥‥そこそこの雑誌に投稿したいね」 (提供者:おみず。) ■んまあ、なんてふしだらな! セセセ、「セクシー」だなんて! まあまあ、落ち着いてください、お母さん。 教授が話しているのは 「雑誌のインパクトファクター」の数値なのです。 つまり、雑誌には「インパクトファクター」という 点数がつけられていて、多くの学者に引用文献として 読まれている雑誌ほど点数が高いのです。 「セクシー」というのは「セクシーな年頃」を指し、 要するに「インパクトファクターが25〜30の雑誌」 を意味するということなのです。おわかりですか? んまあ、何を言っているのかわからないわ! まあまあ、落ち着いてください、お母さん。 それにしたってアナタ! 「ティーン」だなんて! いえいえ、それは、同じ意味で、 「インパクトファクターが10代の雑誌」を指し‥‥。 んまあ、何を言っているのかわからないわッ! お母さん、落ち着いてください! 【特許事務所:上司と部下の会話】 弁理士「これ子供二人つくることになったから。 お金すごい事になるんだけどいいみたい」 事務員「親どうしましょう?? あと兄弟がいるようですが」 弁理士「あー親はもういらない。殺しちゃって。 ファミリーもみんな死んじゃってるし。 兄弟はイケそうだし生かしとくけど。 ひょっとしたらどれか孫イクな」 事務員「じゃあとりあえずいつもの感じで」 ▼現代語訳▼ 弁理士「この出願から、分割出願(継続中の出願の 一部を切り離して別出願にすること) 2つ出す事になりました。 費用がかなりかかりますが、 クライアントは気にしないということです」 事務員「わかりました。 それではこの継続中の出願はどうしますか。 あと、以前にも分割出願しております」 弁理士「継続中の出願は、権利化の必要がなくなったので、 権利放棄の手続きを取ってください。 対応する外国出願も 出願放棄の状態になっていますし。 先の分割出願については、特許になりそうなので このまま状況をみましょう。 進み方によっては、分割出願のどれかから、 さらに分割出願する可能性がありますね」 事務員「今のところは通常処理で十分のようですので、 それで処理しておきます」 (提供者:岩木文美) ■んまあ! 物騒な! 物騒な! いえいえ、だから、お母さん、落ち着いてください。 「子どもをふたりつくる」だなんて! 物騒な! ちっとも物騒じゃないですよ、お母さん。 それにしたってアナタ! 「親を殺す」だなんて! ですからそれは、継続中の出願の話で‥‥。 ファファ、ファミリーも、ファミリーも、 死んじゃってるだなんて! うーん、マフィア! お母さん、お母さん、どうか落ち着いてください。 娘さんはよくやってくださって‥‥。 【テレビ業界:指示】 「いくよ、いくよ、いくよ、1カメ。 あー、ピンあってないよ。 仕方ない、じゃ、あとで ケツに一発インサートするから」 ▼現代語訳▼ 「用意はできましたか、第1カメラさん。 間に合いますか。よろしいですか。 残念ながらピントがあっていないので、使えませんね。 それでは、後ほど、収録したVTRの映像に、 画像を挿入しますので」 (提供者:はな) ■んまあっ! んまあっ! なんてことでしょう! ‥‥お母さん、どうか、落ち着いて。 ケ、ケ、ケ、「ケツに一発インサート」! ‥‥お母さん、大きな声を出さないでください。 ケ、ケ、ケ、「ケツに一発インサート」! ‥‥お母さん、くり返さないでください。 ケ、ケ、うーーーん、バターーーン! あっ、お母さん! お母さん! 娘さんはよくやってくださってますよ! 【百貨店業界:店員と主任の会話】 店員「主任、ちょっと遠方に行って参ります。 5分ばかり売場をお願いします」 主任「わかった。行ってらっしゃい。 どうも、あの前主は金印くさいから さっきから見てるところだし。 もうお昼だし、 そのままキザエモンに行ってきたら?」 ▼現代語訳▼ 店員「主任、ちょっとお手洗いに行ってきたいので、 5分ばかり売場を見ていていただけますか?」 主任「わかった。行ってらっしゃい。 どうもあのお客様は万引きしてる雰囲気だから、 注目してるところだし。 ちょうどお昼だから そのまま食事に行って来たら?」 (提供者:元デパガ) ■お、百貨店の隠語シリーズですね。 ちなみにこれは某老舗百貨店の隠語だそうです。 こういうのも待ってますよー。 さまざまな業界からの専門用語、 まだまだお待ちしております! ひとつ気軽にご投稿ください!
■■■ アシスタントよりご報告申し上げます。 ■■■ こんにちは、関西生まれの美人アシスタントです。 こちらはオフィスからの自由なメールを 募集、掲載していくコーナーです。
「美人アシスタント様」で始めるとは、 まなちゃん、きみはなかなかかわいい子やな。 「ぶんぶん」だけはなんでかわからんけど、 いや、でも、よう考えたらなかなかセンスええな。うん。 いや、ヤスリの部分は、 「ぶんぶん」以外はありえへんわ! あの、ヤスリのぶんぶんした感じがもう、そのものやな。 あと、「みーちゃい」的な、 恋人語もあんなあと思った。 恋人同士だけに通じる言葉。 ちなみに、あたしの友だちは、電話切るときに、 どっちかが「みー(おやすみ)」言うたら、 どっちがか「るー(愛してる)」言うらしい。すごいやろ。 そんな甘酸っぱいのも待ってるで〜。 ‥‥コホン、あ、今回はそんなに失礼してへんな。 みなさまからのメール、お待ちしております!
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2003-10-17-FRI
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