オトナ語の謎。 オレ的にはアグリーできかねるんだよね。 |
■■■
第63回 オトナ語出版編:その2 ■■■ 午後の広い会議室にずらりと人が集まっている。 議題は、先日お伝えしたとおり、 『オトナ語の謎。』の書籍をどうやって宣伝するか? みなさまからいただいた投稿を交え、 会議の風景をお届けします。 文中、色のついているものが投稿された意見です。 それでは、どうぞ。 あ、もちろん、あなたも席についていますよ? □□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□ 長瀬雄一 「ええ、本日はみなさん、お忙しいなか、 お集まりいただきありがとうございます。 私、本日の議長をつとめさせていただきます、 企画制作室の長瀬雄一と申します。 それではさっそく、 『オトナ語の謎。』宣伝会議のほう 始めたいと思います。 本日、会議室は終日おさえてありますが、 渡辺本部長のほうが、 おしりが5時までということですので、 小一時間、集中していただければと思います」 渡辺本部長 「うむ」 長瀬雄一 「それではまず、jimmyさんのほうから ターゲットについての報告をお願いします」 jimmy 「『オトナ語の謎。』企画は、 TVでオンエアされるなど既に一定の認知度を得ており、 多くの出版社からのオファーをいただく人気企画です。 私ども企画屋の経験則で申しまして、 ある一定の売上は約束されたも同然です。 ついては、今後目標とすべきは、 いわゆる「大ベストセラー」と いわれるまでの売上数だと存知ます。 それにはまず、ターゲットのセグメント化が重要です。 性別、age、趣味、嗜好‥‥などといった セグメントが一般的ですが、 大ベストセラーとするという目標を掲げる以上、 あらゆる層の購買欲を喚起しなければなりません」 渡辺本部長 「まさに、そのとおりだな」 jimmy 「そこで「あらゆる層」とはなんぞや? ということになります。 (財)ほぼ日マーケティングリサーチによれば、 「書籍購入は年に1〜2冊程度」 「大ベストセラーとなるような書籍のみしか購入しない」 という層がかなりの数、存在することが分かっています。 逆に、ベストセラーは敬遠するという層もいますが、 割合としては極めて少ないといえます。 ここが書籍を購入するという 大前提ベースで「あらゆる層」です。 あらゆる層を取り込むことは、 即ち、過去のベストセラー書籍の 購買者を効率よく取り込むことにほかなりません。 『オトナ語の謎。』という企画から想起される、 以下に挙げる近年の ベストセラー書籍購入者をターゲットとし、 そこを確実につかむ広報宣伝企画が 重要であると考えます。 具体的には『日本語練習帳』、 『声に出して読みたい日本語』の購入者。 『バカの壁』購入者など、 もともと、言葉に対する知的好奇心をもつ層に、 「オトナ語」の内容を知的好奇心をくすぐるように 伝えることが重要かと」 長瀬雄一 「なるほど。ターゲット層に関して、 ほかにございませんか? あ、大橋さん、どうぞ」 大橋 「まずは『オトナ語の謎。』単行本の発売決定、 おめでとうございます。 さて、発売する限りは、できるだけ多くの方に購入、 読んで頂きたいというのが、人情であります。 微力ではありますが、力になれればと存じます。 マーケティングの基本は、 ターゲットセグメンテーションにあります。 果たして『オトナ語の謎。』の想定購買層は、 どこにあるのか? 「トリビアの泉」に代表される、 へぇへぇ的オドロキを感じる層なのか、 あるいは「クイズ百人に聞きました」の アルアル大合唱的共感層なのか? 私見を述べさせて頂くなら、 圧倒的に後者ではないかと考えます。 即ち、ビジネス界に身を置き、 日常的にオトナ語を駆使する人たちが、 やや自嘲的に楽しんでいるのではないかと推測します。 もちろん多少の例外はあるでしょうが、 セールスプロモーションを展開するターゲット層は、 ここに焦点を絞るべきと提案申し上げます」 長瀬雄一 「なるほど、的確な分析ですね」 渡辺本部長 「ふーむ。いや、分析はそのとおりだが、 問題はその先だろう。 その層へアピールするためにどうするかを 話し合ってもらわなきゃ」 わがし 「渡辺本部長、すみません、こんなのどうでしょうか? 確認なんですけれども、オトナ語は世の中のオフィスで ものすごく流行ってるんですよね。 私が以前勤めていた商社(バイトですが)では 週に一回本屋さんが回ってきました。 机まで届けてくれるんです。 要するに読みたい本はあるけれども、 本屋に行く時間がないっていう人、 結構いると思うのです。 ゆえに、そんなことが可能かどうかわかりませんが、 「オトナ語は世の中の オフィスでものすごく流行っている」 というのを前提にすれば、 そのオフィスの前で売れば、売れるじゃないですか。 事前に「ほぼ日」のホームページ上で 「明日は○○商事前〜、○○商事前〜」のように宣伝して ○○商事前で売ることについて ○○商事の許可がいるのであれば、 またもとに戻りますが、 「オフィスでものすごく流行っている」という 前提に戻っていただければ、 ○○商事に「御贔屓」の方がいらっしゃるはずですから、 その方に、社内のその方面の方に ちょっと一声かけていただいておく。 そして当日、売るわけですよね。 オトナ語自体が口コミでひろがったのであれば、 その本を売るということについても 口コミでひろがるでしょう。 そして前提が真実であれば、 売れるという結論が導きだせると思うのは、 間違いでしょうか! 渡辺本部長!」 渡辺本部長 「わがしくん、意気込みはわかるが落ち着きたまえ。 いまいちよくわからんが、 知り合いを通じて会社の前で売るということか? もっと大きなスキームでとらえられんもんかね」 わがし 「渡辺本部長、こんなのどうでしょう? オトナ語は結構学生にも受けていましたよね? ってことは学生のほうが意外ととびつくかも知れません。 オトナは財布のひもが堅かったりします。 ということは、第一案の焼き直しなのですが、 大学の前で売るっていうのはどうでしょう? 就職活動の参考書として、 そして現実のオトナの世界を知ってもらうため、 ここはひとつ大学の構内で許可をもらって 売ってみるっていうのはどうでしょうか? 意外と大学の事務もですね、コネがあれば 許可がでなくもないという側面もあります」 渡辺本部長 「ふむ。さっきの意見よりはいいが、 どうもキミは出店路線から離れられんようだな」 長瀬雄一 「あ、しかし、同意見もあるようですよ。 茜空さん、お願いします」 茜空 「実は私は今年の4月に就職をした新入社員です。 だから、オトナ語のコーナーはすっごく為になったし、 笑いました。 だって、自分の目の前で同じような会話が とびかっているのですから。 そこで!! 大学生協や大学構内にある書店に 置いてもらうっていうのはどうですか? ターゲットは来春就職する学生。 「これを知らなきゃ、会社人にはなれない」とか、 「春までに学ぶオトナ語」とかいう キャッチフレーズをつけてみたりして‥‥。 激しく素人な意見ですみません」 渡辺本部長 「いやいやいや、茜空くん、 なかなかいい提案だぞ。 キミは早稲田だったか? お茶の水だったか? ああ、上智だったか。 キミのお父様は私の先輩にあたってね、 どうだね、ひとつ、飲みにでも‥‥」 長瀬雄一 「‥‥コホン。 たしかに、大学構内へ置いてもらうというのは 考えてみていいかもしれませんね。 本日は、大学関係の流通に明るい方が 出席されておりませんので、 そのへん各自持ち帰って、 次回に情報を提供していただければと思います。 ほかに‥‥あ、さとさとさん、どうぞ」 さとさと 「と言うわけで、中堅社会人のためのビジネス書として、 というのと新人・就職活動向けの指南書として、 という2つの位置づけの意見が出たところで、 こんどは視点を変えて主婦層にリーチしてみませんか」 渡辺本部長 「ほほう、主婦層かね。 しかし、主婦がオトナ語に興味を持つものかね?」 さとさと 「主婦と言えども年齢層はさまざまで、 家族の誰かは働いているわけです。 夫や子供たちが、 いままさにこの言葉を駆使してるわけですよね。 それをちょっと覗いてみようよ、っていう感じで。 社会科見学って言うか、参観日というか、 そういうニュアンスですね。 今回はブレストの段階なので 言いたいことだけ言っちゃうと、 具体的には、『はなまる』や『ジャスト』で 紹介してもらうわけです。 銀座や巣鴨の主婦を捕まえて「オトナ語クイズ」して、 いくつかの一般用語を紹介してですね、 いま、そうやってあなたがみかん食べながら テレビを見ているこの瞬間に、 あなたのご家族もこんなこと言ってるんですよ、 っていう臨場感をにおわせる。 一般的にくくってしまうと、主婦って言うのは なんとなくそういった「オトナ社会」から 離れてしまっているんじゃないか、って言うような 漠然とした不安があるわけですよね。 そういう人たちに、社会人一年生が 上司に向かってオトナ語をはじめて使ったときの 「通じた!」って言うような喜びを、 家族に向かって感じてもらいたいと思うんです。 家庭でも話題になるでしょうし、 話題になれば書店で見たときの購買決定や ほぼ日へのサイト誘導にもつながりますしね」 渡辺本部長 「なるほどなるほど、悪くないね。 『はなまる』や『ジャスト』への露出は 現実的にはどうなんだね?」 長瀬雄一 「そのあたりは、ほぼ日刊イトイ新聞で テレビ・ラジオ関連の業務を受け持っている AOR西本が詳しいかと思います。 にしもっちゃん、そのへん、どう?」 AOR西本 「えーと、ま、どちらも、 行く方向で進めましょう。 まず『ジャスト』ですが、 TBSへのルートとしては、 現在糸井のほうがTBSラジオで 番組を持っていることもあり、 同じ社屋だということで ラインが見えるかなと。 『はなまる』に関しては、 先日開催しました「智慧の実」イベントのときに 協力してもらった今泉清保アナウンサー経由で、 Pのほうへ打診する方向で、どうでしょうか」 渡辺本部長 「すばらしい。けど、「P」ってのはナニ?」 AOR西本 「あ、失礼しました。プロデューサーです」 長瀬雄一 「主婦層など、ビジネスマン以外へのアピールとして なにか意見ありますか? あ、鈴木さん」 鈴木 「わが家夫婦の最近の会話にも 「今日のオトナ語でさー、出てたじゃん」 とかとか、よく登場してますよ。 オットは職場で昼休みに、 私はシゴトから戻ってから読んでいます。 事務職のオットは、 やはり「基本用語」編が好きだったようです。 自分が日頃使用している言葉が登場すると、 嬉しいみたいですね。 私は、(役所的)事務職も 企業の営業職のどちらも経験があるので、 専門用語編も「そうそうそうそう!」 頷くこと多し。楽しんでいますよ。 『オトナ語』の本。 ほぼ日読者以外の方にこそ、読んでほしいですよね。 ネットとかしない人に。 「月刊食堂」を立ち読みに来た店長に。 「季刊基礎工」を定期購読しているおやじさんに。 夜勤明けの看護婦さんに。 デリカで天ぷら揚げてるおばちゃんに。 「昔は、あたしだって制服を着てオシゴトしてたのよ」 というお母さんに。 コンビニには行くけど、本屋には行かない人に。 オンラインショッピングなんて、怖くて出来ない人に」 長瀬雄一 「そうですねー、まさにそのへんですね、問題は。 ネットで「ほぼ日」を読んでいる人以外に アピールしたいけれども、 いまのところ我々が自由にできるメディアは ネットしかないわけで、 販売も現時点では「ほぼ日」のみで 受け付ける以外にないわけで‥‥」 ぬばたまの 「ネットでのお買い物って、 結構敷居が高い部分があるんですよ。 例えば大手のビデオショップなんかに チラシと振込用紙を置かせてもらって ネットを使わずに通信販売っていう形に持ち込めれば、 もう少し幅広く顧客層を開拓できるように 思うんですけれどね。 そのあたり、いかがでしょうか。 さらにつっこんで個人的な要求を述べさせてもらえれば、 大手フランチャイズ店舗で 店頭購入できるようにしていければいいんですけどねぇ。 別に店頭で立ち読みができなくてもいいんですよ。 カウンターの奥に置かせてもらって、 そこにそういうものがあるって、 現物をアピールできたら、いいと思うんですよ。 で、店舗で購入できたらいうことないんですけどね。 ああ、なんだか他所様に 協力してもらうことばっかりですね。 そのあたりはもうちょっと アレして考えなくてはいけないですね。 で、渡辺本部長としてはそのあたり、 いかがでしょうか」 渡辺本部長 「え? あ、うん、なるほど、うん、そうだな。 もうちょっとアレしていかなければ、ナニだな。 チラシね。店舗ね。 あ〜、MAMAMAくん、なにかないかな?」 MAMAMA 「オリジナル販促ポスター、チラシを 「ほぼ日」のサイト上からダウンロードできるようにし、 それを有志が自分のプリンタでプリントして、 家庭、職場などに貼ったり、 友達に配ったりするのはどうでしょうか。 タダでというのも何なので、たとえば、 この販促活動に参加した人は、 宣伝協力隊として本の末尾に 名前(ハンドルネーム)が載るという特典をつけます。 また、オリジナルポスターやチラシは、 メインとなるキャッチコピーを空欄にしておいて、 ダウンロードした人が、 そこに自分だけのオリジナルコピーを 書き込むということにしても面白いと思います。 傑作コピーができた人には「ほぼ日」に報告して 自慢してもらい、これはというものはサイトに掲載、 または本の末尾に作品まで載るという 豪華特典にしてもよいでしょう。 ただしせっかく傑作のコピーでも、 使用しなければ意味がないので、 ちゃんとポスターにしてここに貼ったぞ、 という証拠写真なんかを 送ってもらうようにするのも楽しいと思います」 渡辺本部長 「おお、そりゃいいな! ダウンロードだ! プリントアウトだな! にぎやかだな! ハイテクだな!」 長瀬雄一 「ゲリラ的なキャンペーンは、場所によっては 許可なく貼ると問題となることがありますので 開催するとしたら慎重にやらなければなりませんね」 わがし 「渡辺本部長、これはどうでしょう。 大学の、言語学専攻の先生、 それも日本語学専攻の先生に 教科書として採用していただくのです。 これぞ生きた日本語。 現在の日本の社会事情を反映しているリアルな教材。 副読本、というのでもいいと思いますが。 ちょっと高度な日本語ですが、 外国人留学生の日本語教材 としても活用できるかと‥‥」 渡辺本部長 「‥‥わがしくん、ノドが乾いたな」 わがし 「え? お茶入れてこいって? ‥‥はーい。 コーヒーでいいですよねー」 長瀬雄一 「‥‥ええと、ほかには」 らん 「ホームページつくってさ、なんか派手な感じで おねーちゃんのキャラクターとか アニメーションで動かしてみたり、 3Dでぐりぐり動いたり、バーって音がさ、 ドーンのジャーンのビャ〜〜〜って、 楽しくない? やってみてよ。 ちゃっちゃってつくれるでしょ、 簡単なものでいいからさ。 ホント、手間かけなくていいからね。 あさってぐらいには、見たいなあ。 え? そんなにかかんの? なんで? 簡単でいいんだよ? ちゃちゃって。ちょろって。さっき言ったでしょ? そんなに難しいこといってないじゃん」 渡辺本部長 「ああっと、キミもわがしくんといっしょに行って コーヒーを入れてきてくれたまえ」 長瀬雄一 「じゃあ、まあ、このへんで小休止にしましょうか。 まだまだ意見も紹介しきれないようですし」 □□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□ というわけで、まだまだみなさんからの アイデアを募集しています。 現実的なオファーも大歓迎ですよー! つぎの会議をお楽しみに。
■■■ アシスタントよりご報告申し上げます。 ■■■ こんにちは、関西生まれの美人アシスタントです。 今回からこのコーナーでは、 「オフィスでよく遭遇する読みまつがい」を 紹介していきますよー。
あんたも、えっらいまつがえかたしたもんやなあ。 まず、なんのキャンペーンかわっからへんやん。 意味がわからへん、意味が。 だいたい、響きが古くさいやんけ。 「新しくなりましたー! よろしくどうぞー!」 みたいなニュアンスっちゅーもんがないやん? しかし、最終校正の時に言うてくるとは、 印刷会社もなかなかブラックやなあ。 「わざとなわけないやろ! さっさと教えんかい!」て、 きっちりつっこんだらんかい。 ほんまに、みんなしっかり仕事してくれてんのかなあ。 美人アシスタントも、心配になってきたわ。
ほんまかいな! やっばー。やっばー。 テレビというメディアをなんやと心得とんねん。 そのぼんやりアナウンサーは! きみも何を信じとんねん。 「恥じかきましたとさ」ゆうて、 昔話みたいに落ちついてる場合やないで。 「あげば」て。「北斗の拳」の叫び声やないねんから。 美人アシスタントも、頭痛がしてきたわ。 ‥‥コホン、みなさまからの報告、 まだまだお待ちしておりまっせー。
|
2003-10-29-WED
戻る |