SHIRU
まっ白いカミ。

66枚目: 「インド見物」

 

悠久の時が流れる国はここですか?

10億人の国の首都に到着
いったいぜんたい
どうしてインド人はこんなにこわいのか
ヒゲがあるからこわいのか
男ばかりがいるからこわいのか
みんな油断ならない顔してる
空港で早々、お札をすり替えられた

言った所に連れていってくれない
そんなあの人、リクシャーワーラー
5ルピーに値切ったはいいけれど
そうして行き着く先はスラムな裏路地
スモークガラスの旅行代理店

どうして道に牛がいるのかな
車線の前からくるのかな
横じゃラクダが実用されてるもんな
振り向けばクマがいる
サファリパークじゃもう楽しめない
その生物を食べれば美味しいのに…
餓死する前に肉がたくさん歩いてる!

駅に入るのにボディーチェック
宝石屋の前にはライフルを持った警備員
道を歩くとたちまち寄ってくる物売り・物乞い
体の下半分がスケボーの男が高速移動
近寄ってきて太鼓を2回叩いて金をせびる男
薬缶とコップを握って炎天下を歩くコーヒー売り
みんなどこまでが本気なのか分からない

ナマステーより多く聞く言葉はコニチワー
嘘つきばかり!と怒ったところで
返事は決まってノープロブレム!
ようやく定価で表示されているものを発見
マクドナルドのラム100%ハンバーガー
マハラジャマック455Kcalを安宿にテイクアウト
停電の部屋じゃカロリーより気力が欲しい

駱駝や象を交わして25年間、安全運転
「近頃の若い者は肉を食う!」と怒るおっちゃん(42才)
奥さん手製のダル豆カレーは絶品で
豆だけでどうしてこのコクが出るのか、スパイスマジック!
インド産ウイスキー、バグパイプを傾けて
家賃と子供の教育費30+20ドル/月の愚痴を聞けば
養老の滝にでもいるような錯覚気分が一瞬
この酔っぱらいに深夜の空港まで
無事に送ってもらえるのか不安気分も一瞬
日本より3時間30分遅れて更けるニューデリーの夜

 

 

シル (shylph@ma4.justnet.ne.jp)

from 『深夜特急ヒンデンブルク号』

1999-08-21-SAT

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