SHIRU
まっ白いカミ。

no.86

詩・シル(カレー好きの御隠居。)
画・山川あつもん(イラストの仕事承ります!)
都内カレー情報及び感想、イラストの仕事募集中。


太陽があって
地球が回っているとき
朝はカーテンの隙間から束で届く。


湖の底で
昔、投げた時計が鳴っている
このまま毛布の下でいつまでも
腐葉土になるまで眠っていたい
インド象の軍隊がやってきて
赤い敷物になるまで
踏みつけていって欲しい
きっと心模様のままの織物は
割れた果実でにじんでる
鏡にうつった腫れた顔
バカみたい
死をちらつかせて
顔をふりむかせたって
心はここにないのに
鏡のブスの瞳を
口紅で塗りつぶす私はブス
冷蔵庫から釘を引き抜いて扉をあける
生肉をまぶたにあてて冷やす
その死体と私の温度差に
生きているなんて
それだけで熱病みたいだと思った。
発熱してふわふわ地面が溶けるみたいに
死体になったらきっと現実感が湧いてくる
いつまでも覚めない夢のようないま、
私はきっと生きている
大丈夫、ほら
コーヒー豆をミルに放り込む
ヴォルビックを注いで
フィルターを折り
粉を入れ
スイッチを押す
何も考えないでもコーヒーはできてる。
朝が来るとポストの底に届いている赤紙
鳥の形に折って飛ばそう
私の手はまだ温かい
だから紙ヒコーキは
太陽を求めて雲をこえる

 

1999-10-28-THU

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