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第8回 
アングルを意識しながら、撮ってみよう。


マサイ族の女の子。at KENYA
カメラを向けると照れながら、
何ともチャ−ミングなポーズ。
ぼくも彼女のポーズに合わせるように、
ちょっと中腰でシャッターを切る。
(クリックすると拡大します)


今までも、何度かものの見方について
お話ししてきましたが、
今回は、それをもう少し具体的に
特に「アングル」という
写真にとって不可欠なことについて
お話ししたいと思います。

他に思い当たる言葉がなかったので、
「アングル」という言葉を使いましたが、
決して難しく考える必要はありません。
確かに「ロー・アングル」であるとかの
専門用語もありますが、
(ちなみに、「ロー・アングル」とは
 低い位置にカメラを構えることです)
ここではもっと簡単に、
いわゆる「目線の高さ」と考えて下さい。

写真の場合、特にこの「目線の高さ」というものが
その結果に大きく関係していきます。
それといいますのも、被写体と向かい合った時に
人間には、“感覚”という
ものを感じる上で、とても便利な機能があります。
しかし残念ながら、カメラにはそれがありません。
そこで、その無機的なカメラに、
“感覚”というものをプラスしていくことが
必要になります。
その場合、まず最初にカメラのある高さを
少しだけ意識してみて下さい。

例えば、子供を撮る時には
子供と同じ目線に。
犬を撮る時には、
犬と同じ目線に。

たったそれだけのことで、
写真は大きく変わるはずです。
先程も、お話ししましたように、
皆さんが、何かと向かい合った時に
感じる印象というのは
実は、その多くはとても
感覚的なものなのではないでしょうか。

そしてそれは、子供や犬といった
明らかに、高さが異なるものと
向かい合う時はもちろんのこと、
実はすべてのものごとに対して
当てはまるのではないかと、ぼくは思っています。
もちろん、時には、偶然も重なって
その“感覚”が写る場合もありますが、
そういったことを、前もって普段から
少しでも意識しておくことで、
きっとその偶然が生まれる確率は
かなり向上するはずです。

まずは、カメラを構えてものを見る時に、
自分が、何をどのように感じているのかについて、
その“高さ”を意識しながら、
ファインダーをのぞいてみて下さい。
確かに、いざ写真を撮りながら
いちいちそんなことを考えていたら、
時には、決定的な瞬間を
逃してしまうこともあるでしょうから
そういった練習を、日々の日常の中で、
思いついた時に、ゲームのようにやってみるのも
いいかもしれませんね。

例えば、夕暮れ時の斜光の中で
街路樹の影が長くのびていたとします。
その時に、感じているあなたの気持ちの高さは
おそらく、ふつうの目線よりも
かなり低い“高さ”で、その影を感じているはずです。
そして、その高さに合わせてシャッターを切ると、
その時の“感覚”に近いものが写るはずです。

しかしそういった、ものごとの感じ方は
人によって様々です。
だからこそ、まずは自分なりの気持ちの
“高さ”を探してみて下さい。

そして今度は、何度も同じことを繰り返しながら
自分なりの「アングル」を
探していってほしいと思っています。
決して「こういうものは、こう撮れ」
みたいなことにはごまかされないで下さいね。

そして、不思議なもので、
その自分なりの「アングル」を見つけた瞬間に
それまで見えていなかった、
新しい何かが見えることがあります。
しかも、その瞬間は写真を撮っていて、
とても楽しいと感じることの出来る
瞬間のひとつでもあります。
それはきっと、自身の“感覚”と
カメラの“高さ”が重なって、
被写体とひとつになれる瞬間なのかもしれません。




カメラを構えたら、まずは、
相手の高さに合わせて
写真を撮ってみることから始めてみましょう。
そして、その後で今度は
自分の気持ちの高さを見つけてみましょう。


マサイ族の子供たち at KENYA
マサイ族の村を歩いていると
日陰に座り込んで、
戯れる子供たちの集団を見つける。
ぼくも一緒になってしゃがみ込んで、
シャッターを切る。
(クリックすると拡大します)


次回は、もう一歩進んで
「目に入ったものは、全部撮ってみよう」
というお話です。お楽しみに。


2006-02-03-FRI
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