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第44回 あなたの“白”は、どんな色?



縁側から、ぼんやりながめた庭の中に、
いろんな色のはじまりを見つけることが出来ました。
それはとても白くて、あたたかい瞬間でした。
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みなさん、新年あけましておめでとうございます。
それぞれのお正月を過ごされたこと思いますが、
また新しい年が、いよいよはじまりましたね。

せっかく新しい一年のはじまりなのですから、
どうせだったら写真に対しても、
新たな気持ちではじめてみて欲しいと思ったので、
今回は、「写真における白という色」について
お話ししたいと思います。

みなさんは、このお正月に、
写真を撮ることが出来ましたでしょうか。
おそらく、ここぞとばかりに
撮りまくった人もいるでしょうし、
カメラを持たずに
ゆっくりとしたお正月を過ごした人も、
たくさんいると思います。
それでもきっと、お正月ならではの
いろいろなものを見ることが
出来たのではないでしょうか。
とくに“白い”ものを。
そう、実は、日本のお正月の中には、
白いものが、たくさんあるのです。

たとえば、鏡餅にしても白。
白木の三方に、白い半紙をのせ、
裏白の葉を、白を表にして置きますよね。
初詣に行けば、門松にも、しめ縄にも、
白を見つけることが出来ます。
そして、神官の方々の衣装だって、白が基調です。
もちろん、そういったものに限ったことでなくても、
北国に行っても、スキー場に行っても、
そこは、まっ白な雪。
ふだんは見過ごしがちな、
空にうかぶ雲だって、白です。
もうあげたらきりがないほどに、
みなさんのお正月にも、きっとたくさんの白が、
身近にあったのではないでしょうか。

そこで、そんなお正月が明けた今、
改めて、あなたが見た“白”を想像してみてください。
おそらく、同じ白でも、
微妙に、その色は違うのではないでしょうか。
すこし青っぽい“白”があったり、
すこし生成りっぽい“白”があったりしますよね。
空にうかぶ雲の“白”だって、
実は、毎日微妙に違う“白”です。

写真の“白”は、
絵の具の“白”とはちがいます。


ところが、この違いを、
いざ写真に写そうとすると、
それは、とても難しいことなのです。
なぜならば──そのからくりは実はシンプルなこと。
写真の中には“白”という“色”が、
もともと存在していないから、なのです。
プリントしかり、デジタル画像しかり。
たとえば、プリントの“白”は、
印画紙の“白”が、背景色としてのぞいているだけ。
世の中には、これほどたくさんの
“白”があるにもかかわらず、
写真においての“白”は、絵の具とはちがい、
それらが存在する場所にもともとあった“白”を利用して、
“白”という“色”を表現しているのです。

しかし、だからといって
写真で“白”を表現することは無理、
という話ではありません。
こうやって改めて、
写真における“白”という色について
考えてみることによって、
この世の中に存在している
ありとあらゆる種類の“色”を
発見することが出来るのだと、
ぼくは思っているからなのです。
色は、光があってこそ、生まれてくるものですから、
ある意味で“白”は、光の色でもあるのです。
“白”は、はっきりと認識できる“色”ではありませんが、
それでも、その中に色の原子みたいなものが
含まれていることを、
何となくでも、見つけることが出来るはずです。



“白”を意識しながら写真を撮ってみてください。
おなじ“白”でも、いろんな“白”があるのですが、
ぼくがいつも興味深く感じているのが、
そんないろいろな“白”という色は、
人によって、その感じ方はそれぞれだということです。
ですから、“白”を意識することで
あなたの写真の“色”もかわってきます。
あなたなりの、まっ白な“白”を意識して、
その中にひそむ小さな“色”を見つけてください。
たとえその写真が白黒であったとしても、
かならず、あなたならではの“色”が、
“白”の中に写っているはずです。
そしてそれこそが、あなたならではの
写真につながっていくのではないでしょうか。

今年は、そんなまっ白な気持ちで、
写真を一枚でも多く
撮ることが出来たらいいですね。




ちょっと高いところから観た雲。
それは太陽を受けて、
まっ白に光っているのがよくわかります。
そしてその”白”も刻々と変化していきます。
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2007-01-12-FRI
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