「ほぼ日公式ラーメン」を
作ったぞー。

今度のコラボレーションは日清食品と、だよ。

第一回 直通ってすごいなぁ!

ほぼにちわ。
ご無沙汰しております、高田馬場サガコです。

『イナカモン座談会』以来ですね。
少しでも懐かしがっていただけたら幸いです。
実は、この企画を内密で内密で準備していたんです。

ラーメン担当として生きてきた私。
我慢はけっして3分間じゃなかった。
最初に呼んでもらってから早や半年が過ぎ去り、
今日、ようやく
こうして読者の皆様に発表できることになりました。
小さくばんざい。

これからしばらく、発売日に向かって
この連載は続いていきます。
(発売日はまだヒミツなのだ)

私たちが「ほぼ日ラーメン」を
完成させるまでに歩んできた舗装してない道を、
お読みくださる方と共に、
もういちど、たどってみたいと思います。

まずは、最初の夜・・・ってヘンな言い方だけど、
どうして「ほぼ日オフィシャルラーメン」を
作ることになったのか?
その発端から、お話ししましょう。


■なんでも一通のメールからだよなぁ。

2001年、ゴールデンウィークを目前に控えたある日。
いつものように届くたくさんのメールの中に、
スタッフ全員の目に止まる内容のものが
あったのでした。
タイトルからして、気になっちゃった。

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>Subject: 糸井重里編集長様へ
>    「サイトラーメン共同開発のご提案」
>Date: Tue, 24 Apr 2001

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さ、サイトラーメンって??
初めて聞く言葉だぞ〜。

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>糸井重里様。
>ほぼ日の玄関口からメールで
>ダイレクトアクセスさせていただきます。
>私は、日清食品株式会社取締役広報部長をしています、
>筒井之隆と申します。
>インスタントラーメンの会社です。
>カップヌードル、ラ王、どん兵衛、UFOなどの
>NB(ナショナルブランド)を売っています。
>昨年はセブンイレブン様との共同開発で
>「すみれ」「一風堂」など、
>PB(プライベートブランド)を売りました。
>今年はSB(サイトブランド)に
>取り組みたいと考えています。
>サイトといえばやはり「ほぼ日」です。
>当社も「e−めんSHOP」という通販のサイトを
>持っていますがまだまだ力が足りません。
>しかし、昨年は10年保存のカップ麺
>「タイム缶セット」というのを企画して、
>少しいい感触をつかみました。
>ぜひ、ほぼ日様と当社技術開発および
>マーケティングスタッフと力を合わせて、
>サイトラーメンの共同開発に取り組みたいと
>考えています。
>いろいろ面白い仕組みが可能と思います。
>どうか、ご検討のほどお願い申し上げます。
>お呼びがあればスタッフともども参上いたします。
>ぶしつけなメールで大変失礼いたしました。
>
>筒井之隆
>日清食品株式会社 大阪本社
>取締役広報部長

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これを見た私なんかは、まず
「ホントに日清食品からかな?」と疑いました(失礼)。
目清食品とか、日三青食品とかじゃないか?
そんなことは、ないか。

とにかく、
「文面からほんとだって匂いと、
 ラーメンの匂いがぷんぷんするじゃないか」
というdarlingの断定で、お返事を出しました。
たしか、その夜のうちにでした。
「参上いたします」と書いてあるのだから、
本気だったら大阪から?

お返事は、驚くほど迅速でした。
戻ってきたメールには、こうありました。

>来週にでも時間をとってお伺いします。

…い、いきなり来週て。
かっこいいです。
速度がかっこいい。軽さがかっこいいいい!



■やる・やらないという「土台」を考えなきゃ。

かくして、フットワーク軽い人どうしの出会いに!
darlingと日清食品広報部長・筒井さんとの
初めてのミーティングは設定されました。
筒井さんはしっかりとメールにあったとおり、
東京支社の広報や開発の方と共に
本当に大阪からネズアナまで参上くださったのです。


「おもしろそうなことがあったら、
 とにかく、自分ですぐ動かないと気がすまないんです」
と、筒井さんがご機嫌な声でおっしゃったのを
覚えています。



■インスタントラーメンの可能性って??

「次のインスタントラーメンの可能性を、
 私たち日清食品は探したい、見つけたいと思っています」
筒井さんは熱っぽく語ります。

「ただおいしいだけじゃない。
 ただ便利なだけじゃない。
 新しい次元でのインスタントラーメンの発想を、
 『ほぼ日刊イトイ新聞』という場に関わってる皆さんに
 期待したい、そう思ってメールを送りました。
 今まで無かったことにチャレンジしていきたいんです。
 きっとおもしろいことができる気がします。
 一緒に、やってみませんか?」

新しいインスタントラーメンの可能性…。
言葉自体は魅力的で簡単だけれど、
実際やるとなるとひどく難しそうに思われました。
けれど、絶対におもしろそうでもある。
う〜ん、どうしたらいいのやら…。

筒井さんの熱意に対して、
darlingはちょっと考えてから、こう答えました。

「すっごくおもしろそうです。
 けれど、今の僕らには“新しいラーメン”といわれても、
 いま現在は、何にも考えていないわけです。
 たしかに、カップラーメンをぼくらも食べているし、
 素人なりに、ああしたらこうしたら程度のことは、
 言えるかもしれませんけれど…。
 そんなの、きっとプロならとっくに考えたというような
 マヌケな提案だったりしますよね、きっと。
 だから、現時点では、これが、
 ぼくらのやりたい仕事なのか、やるべき仕事なのか、
 また、得意な仕事なのか、
 まったくわからない状態なんです。
 無責任に『お引き受けします』とは
 言えないし、言っちゃいけないと思うんです。
 しばらく時間をいただいて、
 僕たちのやりたいこと、出来ることっていうのを
 考えてみたいと思います。
 考えてみて、なにかが見えたら、
 その時は逆に僕らが日清食品に
 『こういうラーメンが作りたいんです!』って
 プレゼンしてみたいと思うんです」

これを聴いた筒井さん、すぐににっこり笑って、
「分かりました、もっともなご意見だと思います。
 では、私たちはその回答を
 楽しみに待つことにしますね。
 どうぞ宜しくお願いします」
と、ぺこり。
思わず同席した私も、ぺこりぺこりぺこりぺこぺこ。
腰だけは低いんです、私。

結局、事務的に報告するとすれば、
ほぼ日がラーメンの開発をやるのかやらないのかは、
ペンディング(保留)ということになったわけです。
でも、ミーティングの席では、
ラーメン一般の話から、ネット時代の商品論、
食欲や味覚の話題、媒体論、コミュニケーション論、
みたいなことが、熱心に語り合われていました。
ちょうど、darlingの著書『インターネット的』が
発売されたころだったので、
日清食品の方々も、それを読んでいたのでしょう。

次にお会いするのは、
私たち「ほぼ日」サイドが
新しいインスタントラーメンの可能性、
というお題に対して
納得の回答が用意できた時に、ということになりました。
一体それがいつになるのか、
その時点では誰にも分かりませんでした。

こうして、
日清食品と「ほぼ日」の最初のキャッチボールは
日清食品さんが投げた球を、
ほぼ日くんがキャッチして、そのまま
「ポケットにしまってしまった」
という形で終了したのです。

さて、不思議なキャッチボール、
当然、続くに決まっているのですが……。

(つづきます)

2001-11-12-MON

BACk
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