おいしい店とのつきあい方。
サカキシンイチロウの秘密のノート。




食事の終わり‥‥、
注意しなくてはならないことはなんでしょう?

食事が楽しく終わります。
おいしい料理を楽しむと同時に、
いろんなサービスを楽しんだ結果の一時間少々。
食事の時間が終わったからそれでサービスが終わったか?
というと実はそうじゃない。
レストランの人たちはお客様がお店の外に出られて、
姿が見えなくなるまでサービスし続けなくちゃいけない、
と考えているんですネ。
だから食事が終わってもサービスはまだまだ続いている。
むしろ良いレストランというのは
食事が終わってからのサービスで決まる、
といっても過言じゃないんです。
立場を変えると、食事が終わった後のサービスを
気持ちよくさせてくれないお客様は、
素敵なお客様とはいえないということになりますか。
食事が終わってからのサービス、
といえばそれは「会計」と「お見送り」。
つまりスマートに会計が出来て、
笑顔でお店の人にお見送りしてもらえる
お客様にならなきゃ損、というコトですね。

たいへんだ、レジに誰も人がいない!

予約が必要なレストランでは
テーブルの上で行われる会計も、
ファミレスではお客様がレジまで行って
払わなくちゃいけなくなる。
まずそのときのヒントです。
レストランで働く人にとって、
やってはならないことの一つが
「必要以上にお客様を待たせてしまう」ということ。
お客様を速やかに案内する。
料理はなるべく早く提供をする。
呼ばれたらなるべく速やかにお客様のところまで行く。
お待たせしてはならない場面はいくらでもありますが、
中でも一番、お待たせしてはいけないのが
「会計のとき」だ、と教わります。
なぜか、というとせっかくお腹一杯になって
いい気持ちになっている状態で待たされると、
人は余計に気分を害する。
はやく帰りたかったのに、時間を無駄にされた、
というような気持ちになっちゃう。
だからお客様がレジに立たれたらなにをおいても
最優先に、レジまで行って会計業務をいたしましょう。
これがルール。

‥‥、というコトはわかっていてもなかなか
ルールどおりにはいかないことがある。
不思議なことに、レストランには何人もの
サービススタッフの全員が、
何故だかみんなお皿を両手に持って
目当てのテーブルに向かってわき目も振らず急いでいる、
というときがあります。
みんなまるで床の上2センチくらい、
宙に浮いて飛ぶように急いでいるような状態。
つまり、大忙しで猫の手も借りたい状態です。
そんなときに一組のお客様が
テーブルから立ち上がってレジに向かって歩いていった。
あぁぁぁ、どうしよう。
パニックです。
今のサービスは続けなくちゃいけないいけない。
だけど早く今のサービスをすませて、
レジにとんでいかなくちゃいけない。
頭の中にいろんな作業手順が
次から次へとグルグル回って、
どうすればいいのかわからなくなってしまったりする。
お皿を落としたり、商品を持っていくべきテーブルを
間違えたりと、ちょっとしたミスが起こるのは
こうしたときだったりするんですネ。
立ち上がってキャッシャーに向かったお客様も、
空っぽのレジカウンターに向かって
なかなか対応してくれないなぁ、
とぼんやりしなくちゃいけない。
ああ、サービスが悪いな、
なんて今までのせっかくの楽しさが台無しになっちゃう。
勿体無いです。

ファミレスでも、つかのまのVIP気分。

ここでもやはり周りの様子を
観察することが大切になります。
レストランにはどんな忙しいときにも手が空いて、
次、なにをしようか? と、
一瞬のサービスの隙間、と呼ばれる瞬間があります。
そこを狙って立ち上がる。
あるいはテーブルの横をすれ違う従業員さんに、
ちょっとこういう風に聞いてみましょう。
「そろそろ帰ろうと思うんですけど、
 レジは今、あいてますか?」
かなりの確率で、
「それならワタクシがご案内しましょう」
と、レジまであなたを先導してくれるはず。
あるいは、見てまいりましょうとかって
状態を確認してくれる。
「大丈夫ですヨ」なんて言われて立ち上がったら、
「お客様、お帰りです!」とかって声をかけてくれたりする。
つかの間、VIP気分、ということです。

特別扱いをしてくれるVIPの、
中でも一番の特別扱いは
「待たずにすいすい楽しめる」ということ。
しかもすいたレジで気持ちよくお金を払えば、
飛び切り気持ちいい笑顔と
深々としたお辞儀と一緒に送り出される。
特別な気持ちになれる‥‥、というものです。

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さて、こうしてレストランで楽しむあれこれを
書いてるボクですが、
最初からこんなふうにレストランを楽しむことが出来たか?
というと、そんなことは決してない。
最初は失敗の連続でした。
ただ根っからのお調子者でしたから、
少々の失敗にへこたれず、次から次へと失敗をして、
すると徐々に失敗の確率が少なくなった。
失敗からいろんなことが学べたのです。
失敗をすることは悪いことじゃない。
むしろ、失敗することを恐れて何もしない、
というのは哀しいことです。
まるで人生のようでしょう?
同時に、失敗の中から何も学び取らないで、
失敗をただの失敗にしてしまうことは勿体無いこと。
次回からはボクがしてきた
いろいろな失敗のお話をしようか、と思います。
失敗のおすそ分け。
その失敗から皆さんが何かを感じ取っていただければ
うれしいな、と思って書いてみましょう。

次回より、第3シーズンに入ります。


illustration = ポー・ワング

2005-07-21-THU


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