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ところで。
このように手間をかけ、一生懸命作り上げた人間関係。
それも、そのままほったらかしておくと
元の木阿弥になってしまう。
丁寧に、手入れし続けないと枯れてしまう
花壇の中の花のようなモノなのですね‥‥、
人間関係というモノは。
特に不特定多数の人たちが次々やってきては、
新しい思い出と人間関係を作り上げてゆく
レストランにおいて、
おなじみさんと呼ばれる関係を維持し続ける、
ということはとても大変なことなのです。
一番よい方法は、何度も何度も行く、というコト。
当たり前ではありますけれど、それが王道。
それもある一定の法則にしたがって。
あるいは、お店にとってありがたいような
サイクルにのっとって、
お気に入りのお店を定期的に利用するコトなのです。
たとえば月末とよばれる、毎月20日からの1週間。
その時期はほうっておいてもお客様で一杯になる。
逆にその20日直前、つまり15日前後というのは
お客様の数が落ち着いて、
だからその時期を選んでやってきてくれるお客様。
レストランにとってはとてもありがたいお客様
というコトになるんです。
何度も何度も、繰り返し通いさえすればいいのか?
というと、決してそれもそうじゃない。
たとえば、お任せコース料理だけでやっている
小さな日本料理店に毎週、行く。
気に入られようとして、頻繁に通うのだけれど、
そのたび、その人にだけ
献立を変えなくちゃいけない店主や料理人にとって、
これはとても大変なコト。
たいてい、お任せ料理のレストランというのは
1ヶ月に1度、
メニューを大まかに変えるようになっていて、
だから1ヶ月に1度ていど、行って上げるというのが、
親切なお客様のすべきことなのでありますネ。
毎月第2週間目の平日の夜。
決まってやってきていただけるお客様。
とてもうれしく、とてもありがたいお客様。
お店の立地や性格で、
当然、ありがたいお客様になりやすい曜日や
時期は変わってきます。
オフィス街のお店だったら平日より週末が。
デパートなどの商業施設が集まっている繁華街であれば、
平日のなるべく早めの時間の方が、
予約も取りやすければ、
ユッタリ、食事を楽しむことができるのです。
お店にとって都合の良い
お客さまにあえてなって差し上げることは、
のちのち、とても都合の良いことです。
お店の都合を伺いながら、お店に定期的にうかがうこと。
おなじみになりたいなぁ‥‥、
と思ったときには心がけたいことですね。
とはいえ、どうしても忙しくて、
今月はいつものレストランに行くことができなくなった。
そんなとき。
どうしましょう‥‥。
せっかくの人間関係が途切れてしまうかもしれない、
そんなとき。
どうしましょう。
ボクは何がなくとも電話をかけることにしています。
こんなふうにです。
ごめんなさい。
どうしても、最近、
いそがしくてお伺いすることが出来ないんですヨ。
ところで、来月あたりは何がおいしくなりますか?
いつごろお伺いすれば、
そのおいしいモノをいただけますでしょう?
こんな具合の電話を
お店が忙しくなさそうな時間を狙って、リリンとかける。
お店の人に、ボクのことを忘れないで‥‥、
というために。
ついでに、次にそのお店にいくべき、
一番よい機会を教えてもらえたりする、このシアワセ。
とても得した気持ちになります。
コミュニケーションです。
コミュニケーションは用のないときのひとことの中にある。
用件を伝えるための電話ではなく、
用もないのに電話をかける。
その丁寧の繰り返しで、
レストランの人たちは
あなたの友達のような存在になるのです。
また来週。 |
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