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さあ、お座りくださーい。 |
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全員そろいましたでしょうか。 |
一同 |
はーーい。 |
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じゃあ、はじめましょう。
ザッハトルテの試食会でーす! |
一同 |
ぱちぱちぱちぱち(拍手)。 |
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いきなりですが、田口さん。 |
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え、あ、はい。 |
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去年も参加している田口さんは、
「試食の先輩」になるわけです。 |
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先輩‥‥そうかもしれないですね。 |
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なので本日、田口さんには、
最初のよろこびを表現していただきます。 |
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最初の、ですか。 |
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「ザッハトルテが届いた瞬間のよろこび」を。 |
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なるほど。
そこはすごくうれしいところですよね。 |
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‥‥じゃあ、ちょっとぼくは、
宅配便の人の役を‥‥。
(ケーキの箱を持って立ち上がる) |
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え? そこから? そこからやるの? |
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はい、雰囲気が出るので(退室してしまう)。 |
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‥‥‥‥‥ええと‥‥(間がもたない感じ)。 |
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‥‥‥‥‥(不安そうな感じ)。 |
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‥‥‥‥‥(心細い感じ)。 |
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‥‥‥‥‥(ふつうに笑っている)。 |
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‥‥さて、
ケーキを注文して、数日が経ちました。
そんなある日のことです。
(コンコンコン、とノックの音) |
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田口さーん。 |
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はーい。 |
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あ、ハンコお願いしまーす。 |
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はい。 |
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ありがとうございましたー。
‥‥(小声で)田口さん、
「なんやろう? この荷物なんやろう?」
と言ってください。 |
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なんやろう? この荷物は、なんやろう‥‥? |
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(小声で)椅子に座ったときに、
はたと思い出す。 |
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‥‥あっ。 |
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ああーーーっ!
はいはいはいはい、思い出した!
おれ、注文したやん!
たのしみにしとったやつや!
これは、
ザッハトルテやっ!! |
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一同 |
(拍手と笑い) |
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いいっ!
すばらしい到着のよろこびです!
さあ、
包みを開けましょう。
開けるのは? 田口さんでいいの? |
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去年は開ける人をじゃんけんで決めました。 |
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じゃあ、ことしもその方法で。
じゃんけんに勝った人が、
「開けるよろこび」を得られるのです。 |
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いきますよー、さいしょはグー! |
一同 |
それ、じゃんけんぽーん! |
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あら、負けました。 |
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さいしょはグー、じゃんけんぽい! |
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わー、負けちゃった。 |
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‥‥さいしょはグッ、じゃんけんぽん! |
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あっ。 |
一同 |
(笑) |
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そういう流れなんだよ(笑)。 |
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開けましょう、うれしさを表現しながら。 |
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わかりました。 |
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たのしみー。 |
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なあ、たのしみやなぁ! |
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田口さん、いい顔っ!
開けるよろこびに満ちている! |
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‥‥これも、開けちゃっていいですか。 |
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あ、そこは‥‥。
(小声で)「これを開ける瞬間が大切だぞ」
とか言いながらで、お願いします。 |
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‥‥‥‥いいか、みんな、
こいつを、開ける瞬間が大切なんだぞ。
いくぞ? 開けるぞ?
ほらっ! |
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一同 |
おぉーーー(笑)。 |
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くしゅくしゅの紙が。 |
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かわいいー。 |
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じゃあこれを、お皿に移すぞ。 |
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あ、お手伝いを。 |
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わたしも。 |
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いいですねぇ、力を合わせて。 |
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すまんな、みんな。 |
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なんか、お父さんみたい(笑)。 |
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ほんとだ(笑)。
田口さんはいま、
「お父さん役」を演じるしかない
ポジションにたどり着いています。 |
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流れでね。 |
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なんでこんな流れになったんやろ。 |
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だから、じゃんけんに勝つからだよ(笑)。 |
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あ‥‥そうか。 |
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わー、ケーキがでたー! |
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おいしそう。
つるんとしてますね。 |
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お父さんはこれを八等分に切るから、
そのあいだにお母さんは
紅茶をいれてください。 |
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‥‥え? あ、はい(立ち上がる)。 |
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どさくさにまぎれて、
小野ちゃんがお母さんに設定されました。 |
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(ケーキを切っている)
よいしょっと‥‥。
これで、八等分。 |
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わーい!(拍手) |
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ほら、ちびっ子たちもお手伝いしないと。 |
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ちびっ子(笑)。 |
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じゃあ、ケーキをお皿に取りわけよう。 |
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はーい、お紅茶ですよー。 |
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なんだこの家族(笑)。 |
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どうぞ、
そのまま召し上がってくださーい。 |
一同 |
いただきまーす。 |
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ひとりずつ、
「おいしくてうれしい顔」を。
まずは、とやまちゃんから。 |
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‥‥はむ(と食べて)、
んんんんーー!
おいひーーーーーーーーっ!! |
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一同 |
(笑) |
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すごいね、あなた(笑)。 |
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ぶっ飛びぎみですが、
あかるくてたいへんいいと思います。 |
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次は、わかたちゃん。 |
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あのね(笑)、ふつうでいいですからね。
一発目は気にしないで。 |
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はい。
(食べる)‥‥おいしいです。 |
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いいよ−、ナイス、ナイス! |
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じゃあ次、お母さん。 |
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(食べる)‥‥おいしい。
ほんとにおいしいです。
あ‥‥うん‥‥おいしい。 |
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いいですねー。
自然な感じがたいへんいいと思います。 |
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じゃあ、いよいよお父さん。 |
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田口さんの「おいしい顔」。
去年のそれは、すばらしかったですからね。 |
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‥‥食べます。 |
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ちょーっと待ってください。
(小声で)‥‥
「いいかお前たち、
お父さんはこれから、
うれしさとおいしさが混ざる
微妙な表情の変化を
たっぷりと表現するからな。
ちゃんと、よーく、見ておくんだぞ」
と言ってから、食べてください。 |
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‥‥そんな、むちゃぶりじゃないですか。 |
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よろしくお願いします。 |
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‥‥‥‥‥‥いいか、お前たち。 |
一同 |
(その勇気に拍手) |
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お父さんのな、
その、うれしさとおいしさがな(笑)。 |
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笑わないで、真顔で!
真顔でお願いします! |
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混ざり合う表情の変化を
たっぷりやるから、
よーく見とけや(真顔で食べる)。 |
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一同 |
‥‥‥‥。 |
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一同 |
お‥‥。 |
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まず、軽いおどろきが‥‥。 |
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一同 |
おお! |
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おどろきが、さらに強く! |
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しみじみ、うれしさと‥‥。 |
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おいしさがしみわたり‥‥。 |
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満面の、ほほえみに。 |
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‥‥うん‥‥おいしい。 |
一同 |
すばらしーーー!(拍手と爆笑) |
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お父さん、すてきでした。 |
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感激しました。 |
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すっごーいですーーー! |
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‥‥もう、十分ですので、
みなさんふつうに食べてください。 |
一同 |
はーーーい。 |
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このケーキって、甘さ控えめですよね。 |
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でしょ? |
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思っていたよりも、
あっさりした味というか‥‥。 |
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日本人の舌に合うよう、
あっさりした甘さに整えられているんです。 |
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去年、食べたときも
甘すぎなくておいしいと思いましたけど、
今年もやっぱりそこに感動しました。 |
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ん? 去年?
‥‥わかたさんは去年、
会社でザッハトルテを食べましたっけ? |
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はい、ちょうど入社したばかりで。 |
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ちょうど? |
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あの、じつは、
きょうでちょうど1周年なんです、
「ほぼ日」に入って。 |
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一同 |
‥‥‥‥えっ。 |
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きょう? |
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はい、ちょうど1年前のきょうです。 |
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うそー! |
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(小声で)田口さん‥‥
「どうしてそれを最初に言わないんだ」って、
ちょっと怒った顔で言ってください。 |
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‥‥わかたろう。 |
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はい(笑)。 |
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わかたろう!(笑) |
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おまえは、どうして‥‥
どうしてそれを最初に言わないんだよ! |
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ごめんなさい(笑)。 |
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(小声で)‥‥
「お父さんは、なんでもない日に、
パーティをやろうと思ってたんだぞ」 |
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わかたろう、お父さんはな、
なんでもない日に
このパーティをやろうと思ってたんや。 |
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(小声で)‥‥
「なんでもない日や、ないやないかぁ」 |
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なんでもない日や、ないやないか!
‥‥でもわかたろう、
入社1年、おめでとう!
ようがんばったな。 |
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おめでとう。 |
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おめでとうございますー。 |
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ありがとうございます。 |
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‥‥えー、
わけがわからなくなりつつありますが、
これはザッハトルテの試食会です。 |
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モギちゃん、軌道修正をありがとう。
不思議な設定になってしまいましたが、
「ひとつのケーキを囲んで
みんなで食べるとこんなにたのしい」
そのことだけは
なんとか伝わったのではないでしょうか。 |
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だといいですね。 |
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伝わることを祈りながら、
みなさん、最後のごあいさつを。
カメラに向かってぇ‥‥。 |
一同 |
ごちそうさまでしたーーー! |
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ザッハトルテの「試食劇場」は、これにて終了。
みなさんも、ケーキの到着で、
「うれしく」「おいしく」なりますように! |