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ことしもまた、この顔ぶれですね。 |
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みごとに同じ。 |
一同 |
よろしくお願いしまーす。 |
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はい、よろしくお願いします。
ザッハトルテの試食会は、
この「ザッハトルテ家族」で行われます。 |
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はじめての方は、
去年の「試食パーティ2012」などを
お読みいただきたく。 |
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さんがお父さんで、
ちゃんがお母さん。 |
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ちゃんが長女で、
ちゃんが次女、
という設定もまったく同じです。 |
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そして例によって、
このコーナーは完全な「オマケ」です。 |
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オマケ!(笑) |
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たいせつな情報は、ほぼございません。 |
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ただ、それでも伝えたいのは、
ケーキを待つワクワク感や、
届いたときの「うれしさ」などの
きもちの部分です。 |
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それってめっちゃ重要じゃないですか、
ある意味。 |
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ええ。
ですから、誠心誠意やりましょう。
こころをこめて、茶番劇をやりましょう! |
一同 |
はい! |
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このあたりのやりとりも去年と同じだ。 |
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で、ここでぼくは言うわけです。
田口さんは、もうちょっと、こう、
お父さんっぽく見えた方がいいので、
ぼくのメガネをかけてください(渡す)。 |
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あ、すんません。
(かける)‥‥きつっ、度がきつっ。 |
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ああ‥‥あれですね、
ちゃんと1年、年齢をかさねてますよね(笑)。 |
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ほんとだ、1年分、老けている(笑)。
このコーナーの味わいどころかもしれません。 |
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では、もう、はじめましょう。
「お父さんが茶の間で新聞を読んでいる。
子どもたちはマンガを読んだりしている。
そこへお母さんがやってくる‥‥」
そういう流れで、出たとこ勝負で。 |
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やっぱり練習はなしなんですね。 |
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大丈夫。去年と同じだと思ってやればいいです。
念のため言いますが、
ぼくとモギさんは、
この場にいないものとしてやってくださいね。 |
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はじまり、はじまりぃーーーー! |
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‥‥‥‥(新聞を広げる)。
新聞は、あたらしいことが書いてあるな。
日進月歩! |
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お父さんはいつも、
しゃべりながら新聞を読むね。 |
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んん? うん。
それがお父さんの趣味なんだよ。 |
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へんなのー。 |
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んん? うん。
しかしあれだな‥‥やっぱりわが家はいいな。
お父さんはずっと出張に行ってたからな。 |
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みかんを持ってきましたよ。 |
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おお、母さん、りっぱなみかんじゃないか。 |
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はい、いいみかんですよ。 |
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お前たち、マンガとかはおもしろいかい? |
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おもしろい。 |
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ゲームもおもしろい。 |
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おもしろいことばっかりして!
たまには新聞も読みなさいよ。
‥‥いやぁ、それにしても、
家族水入らずっていうのはいいものだなぁ‥‥。 |
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ピンポーン。
田口さーーん、宅配便でーす。 |
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あ、はーーーい。 |
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‥‥‥‥その緑のジャンパーは衣装ですか。 |
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なんか倉庫にあったので。
そんなことより、ここにハンコをお願いします。 |
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あ、はい(ハンコを押す)、ご苦労さまでした。 |
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‥‥(ひそひそ声で)
「なんやろう? この荷物はなんやろう?」
と言ってください。 |
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なんやろう? この荷物はなんやろう? |
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(ひそひそ声で)はたと思い出す。 |
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はたっ!
ああーーー! 思い出した! |
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(ひそひそ声で)思い出しながら座る。 |
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これ、あれやん!
おれがインターネットで注文したやつやん!
みんなをサプライズさせたろう思てたのに、
なんや、おれが、サプライズしてもうたがな! |
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それは何ですか? |
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これか? 母さんこれはな、あれや‥‥ |
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ザッハトルテやーーー! |
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ことしも次女が言っちゃった。 |
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いいぞぉーー。
ここまでほとんど去年と同じだぞ。
そして恒例の‥‥。 |
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そうだ、リアルじゃんけんだ。 |
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みんな、わかってるな。
この、箱を開けるのがいちばんたのしいんや。
その役を誰がやるのか‥‥。
ことしも田口家では、
恒例のじゃんけん大会で決めようと思う。 |
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ドキドキ‥‥。 |
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ドキドキ‥‥。 |
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このじゃんけんだけはほんとに、唯一、
茶番劇の中でもリアルなところです。 |
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じゃあ、いくぞ!
‥‥さいしょはグーー! |
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‥‥ん? ちょっと待て。 |
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どうしたの? |
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はやくじゃんけんしようよ。 |
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‥‥さいしょはグーー。 |
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‥‥んん? |
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んん? 腕がいっぽん多い‥‥? |
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‥‥んん? |
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(ひそひそ声で)そのままカメラ目線。 |
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‥‥んん?? |
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さあ。 |
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さあ。 |
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お茶の間に、こつ然とあらわれた見知らぬ男。 |
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新展開です。
ちなみに、この新たな登場人物は、
「ほぼ日」の、です。 |
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よ、よろしくお願いします。
ぼくはなにをすれば? |
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くんは基本、セリフ無しで。
とにかく笑顔でいてください。 |
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わ、わかりました‥‥。 |
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さあ、お父さん、たいへんだ。
お父さんにしてみれば、
「きみはだれだ?」となりますよね。
‥‥どうぞ。 |
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‥‥きみは、だれ? |
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(笑顔) |
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だれなんだ、きみは。 |
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(笑顔) |
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ポンポンチャイくんよ。 |
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ぽ、ポンポンチャイ? |
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お父さんに言ってなかったっけ。
ポンポンチャイくんは
タイからの交換留学生で、
うちにホームステイしているの。 |
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お母さんが決めてきたの。 |
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‥‥母さん、
おれが出張行ってるあいだに‥‥。 |
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お母さんは、
「これでたのしくなるでしょ?」
って言ってた。 |
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‥‥か、母さん!
それじゃあいままでは、
いままでは、たのしくなかったと‥‥? |
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さいしょは、グーーーー。 |
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母さん‥‥。 |
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じゃんけん、ぽいっ! |
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‥‥あいこだ。 |
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なんか、すごい緊張感。 |
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あいこで、しょっ! |
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ああ! そうか‥‥そうなのかぁ! |
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お父さん、去年に続き一回戦敗退。 |
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勝ちたかった!
ほんっまに今回は勝ちたかった。 |
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続けますよ。
はい、じゃんけんぽいっ! |
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あ。 |
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あ。 |
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これは‥‥まさか‥‥。 |
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ポンポンチャイくん、いくよ。 |
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(笑顔) |
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じゃんけん、ぽいっ! |
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一同 |
うっわーーーーーーー!! |
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お、お前ーーー。 |
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や、でも、お父さん、
ここは男気を見せよう(笑)。
歯を食いしばって、正々堂々と、
ポンポンチャイにその権利を。 |
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‥‥ポンポンチャイくんとか言ったね。
「じゃんけんの勝者が
たのしみの箱を開ける」
これは田口家の家訓だ。
きみがこの箱を開けなさい‥‥。 |
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ポンポンチャイは
無言でどんどん開けてください。 |
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(無言でどんどん開ける) |
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わあ、毎年のおたのしみ。 |
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ね、ワクワク‥‥。 |
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(無言でどんどん開ける) |
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その包装紙はわたしがもらいます。 |
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この紙はたたんでおかないと。 |
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なにかに使うかもしれないから。 |
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‥‥母さん、
そういう紙がもう、押し入れにいっぱいだよ‥‥。 |
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じゃーーーん! |
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わあーー、つるつるしてきれいーーー! |
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(笑顔) |
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やったね、ポンポンチャイ! |
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じょうずに開けたね! |
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(ハイタッチ) |
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いえーい!(ハイタッチ) |
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いっえーーーい!(ハイタッチ) |
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(ひそひそ声で)そのハイタッチの中で、
お父さんはしみじみした独白を。 |
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‥‥娘たちよ。
いつのまにかこんなに大きくなった、
娘たちよ‥‥。 |
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立ち会い出産をしたあの日が、
まるで昨日のことのようだよ。
はいはいしかできなかったのに、
ふらふらとつかまり立ちをしたあの日。
はじめて自転車に乗れた、あの日の夕方。
父さんと、おててつないで帰り道。
お前たちは、とんとん拍子で成長して‥‥ |
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いえーーーい! |
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ああ−、かぶってる。
私の独白にかぶってる。
母さん、このハイタッチをやめさせなさい。
‥‥母さん。 |
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だから、紙はもういいから! |
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きっと何かに使うのよ。 |
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‥‥だいたいきみ(ポンポンチャイに)。
言葉はわからないかもしれないけど、
言わせてもらうよ。 |
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(笑顔) |
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おお、お父さんがびしっと‥‥。 |
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‥‥なんなの?
なんでうちの娘とハイタッチしてるの? |
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(笑顔) |
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あと、何才なの?
ホームステイって、
どの部屋に寝てるの? |
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(笑顔) |
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あのね‥‥ |
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まあまあ、そのくらいにして。
せっかくのケーキをいただきましょう。
ポンポンチャイくん、
切りわけてくれる?(ナイフを渡す) |
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(ナイフを受け取るが、ぼーっとしてる) |
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‥‥なにをぼーっとしてるんだね。 |
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‥‥‥‥ほ‥‥ホット・ウオーター。 |
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しゃべった! |
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ホット・ウオーター。 |
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‥‥あたたかい、水‥‥。
わかったわ、お湯ね!
(てきぱきとお湯を取りに行き、戻ってくる)
これでいいかしら。 |
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‥‥(ナイフをお湯につける)。 |
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ナイフをお湯であたためて‥‥。 |
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あたためたナイフでザッハトルテを‥‥。 |
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わあー、きれいに切れてるー。 |
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‥‥(しげしげと切り口を見る)。 |
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‥‥きみは、
あたためたナイフでチョコケーキを切れば、
きれいに切れることをしっているのか‥‥。 |
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(笑顔) |
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そんな男に、悪い男はいない。 |
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(笑顔) |
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ポンポンチャイくん(肩をたたき)。 |
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ホームに、ステイしてよし。 |
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(笑顔) |
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‥‥す、すさまじい。
なんてすさまじい茶番劇なんだ‥‥。 |
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さあさあ、お紅茶がはいりましたよ。 |
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おお、いいじゃないか。 |
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それでは、これも田口家の恒例。
ひとくち食べて、ひとりずつ、
「おいしくてうれしい顔」を見せてもらうぞ。 |
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いいなぁ、愛すべきマンネリ。 |
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まずは、次女、まりこから。 |
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‥‥はむ(と食べて)、
んんんんーーーーーーーーーーーー!
おーいひーーーー! |
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すごい‥‥またすっかり去年と同じ。
なんだこの安定感は‥‥。 |
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いいぞ! 父さんはその笑顔が見たかった。
次は、わかたろう。
わかたろうだなんて、
男の子みたいなあだ名でごめんな。
お前は、やんちゃだったからなぁ。 |
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(食べている)‥‥ああ、おいしい。 |
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お、ことしは、しみじみ味わう表情!
去年から格段の進歩が見えるぞ。
じゃあ、次はお母さん。 |
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(食べる)‥‥ああ−、おしいい‥‥。 |
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か、母さん!
泣いているのじゃないのかい?
泣いているのじゃないのかい? |
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感動していただけですよ。 |
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よかったよぉ‥‥驚いたよぉ‥‥。
みごと、迫真の演技だった!(ひとりで拍手)。
‥‥さて、きみの番だぞ。
ひとつ、見せてもらおうじゃないか。 |
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(食べる)‥‥‥‥んんーーーー! |
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‥‥‥‥‥‥フ。 |
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おお、お父さん、余裕の笑み。 |
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そういう表現は嫌いではない。
ただ、ほとばしるおいしさを表現するならば、
もっといかないとな。 |
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いよいよお父さんの番だ。 |
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田口さんのおいしい顔、
なんと4年目になるそれをよろしくお願いします。 |
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‥‥いきましょう(食べる)。 |
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一同 |
‥‥‥‥(かたずを飲む)。 |
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まずは静かに‥‥。 |
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じわじわと美味しさがしみわたり‥‥。 |
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よろこびが、内から外にぃ‥‥。 |
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ほとばしるっ!! |
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一同 |
すごーーーーい!(拍手喝采) |
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お父さん、ほれ直しました。 |
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ひゅー、ひゅー。 |
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親をからかうやつがあるか(赤面)。 |
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ひゅー、ひゅー。 |
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よしなさい(赤面)。 |
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ひゅー、ひゅー。 |
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なんだきみは(真顔)。 |
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はーーーーい、ありがとうございました!
ことしも、もう、十分です。
誠心誠意の茶番劇は終了ー。
みなさん、ふつうにケーキを食べてください。 |
一同 |
はーーーい。 |
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ことしは、妙な緊張感だったね。 |
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‥‥ぼくは、大丈夫でしたか。 |
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大丈夫かどうかで言うと、
ぜんいんが大丈夫ではないです。
こころは傷だらけです(笑)。
しろうとの茶番劇ですから。 |
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でも、一所懸命の茶番劇だったのでは? |
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そうですね、それはそうだと思います。
いずれにしましても、
ことしもお伝えしたいことは同じです。
「ひとつのケーキで、うれしくたのしく」 |
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それが伝わることを祈りつつ、
おひらきにしましょう。 |
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では、「ザッハトルテ家族」のみなさん、
最後のごあいさつをお願いしますよー。
カメラに向かってぇ‥‥。
あ、お母さんが目をつぶっちゃうのも、
恒例にしましょう。
はい、みんなでごちそうさまを言いましょう。
せえのぉ‥‥。 |
一同 |
ごちそうさまでしたーー。 |
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いやー、ポンポンチャイ以外は、
ほんとにほとんど同じでしたねー。
ザッハトルテの「試食劇場」は、これにて終了。
みなさんも、ケーキの到着で、
「うれしく」「おいしく」なりますように |