ザッハトルテ家族2013

過去3年の「試食会」が一部で少々好評でしたので、
ことしもやらせていただくことになりました!

おいしいチョコレートケーキの試食会は、
前回同様、「とある家庭のお茶の間にて」
という設定で行われるのですが、どうなることやら‥‥。
どうかご寛容に、お読みください。

幸運なる試食人(ししょくびと)は、
ことしもこの面々。

進行はで、お届けいたします。

山下 ことしもまた、この顔ぶれですね。
モギ みごとに同じ。
一同 よろしくお願いしまーす。
山下 はい、よろしくお願いします。
ザッハトルテの試食会は、
この「ザッハトルテ家族」で行われます。
モギ はじめての方は、
去年の「試食パーティ2012」などを
お読みいただきたく。
山下 田口さんがお父さんで、
おのちゃんがお母さん。
モギ わかたちゃんが長女で、
とやまちゃんが次女、
という設定もまったく同じです。
山下 そして例によって、
このコーナーは完全な「オマケ」です。
とやま オマケ!(笑)
モギ たいせつな情報は、ほぼございません。
山下 ただ、それでも伝えたいのは、
ケーキを待つワクワク感や、
届いたときの「うれしさ」などの
きもちの部分です。
田口 それってめっちゃ重要じゃないですか、
ある意味。
山下 ええ。
ですから、誠心誠意やりましょう。
こころをこめて、茶番劇をやりましょう!
一同 はい!
モギ このあたりのやりとりも去年と同じだ。
山下 で、ここでぼくは言うわけです。
田口さんは、もうちょっと、こう、
お父さんっぽく見えた方がいいので、
ぼくのメガネをかけてください(渡す)。
田口 あ、すんません。
(かける)‥‥きつっ、度がきつっ。
山下 ああ‥‥あれですね、
ちゃんと1年、年齢をかさねてますよね(笑)。
モギ ほんとだ、1年分、老けている(笑)。
このコーナーの味わいどころかもしれません。
山下 では、もう、はじめましょう。
「お父さんが茶の間で新聞を読んでいる。
 子どもたちはマンガを読んだりしている。
 そこへお母さんがやってくる‥‥」
そういう流れで、出たとこ勝負で。
田口 やっぱり練習はなしなんですね。
山下 大丈夫。去年と同じだと思ってやればいいです。
念のため言いますが、
ぼくとモギさんは、
この場にいないものとしてやってくださいね。
モギ はじまり、はじまりぃーーーー!
田口 ‥‥‥‥(新聞を広げる)。
新聞は、あたらしいことが書いてあるな。
日進月歩!
わかた お父さんはいつも、
しゃべりながら新聞を読むね。
田口 んん? うん。
それがお父さんの趣味なんだよ。
とやま へんなのー。
田口 んん? うん。
しかしあれだな‥‥やっぱりわが家はいいな。
お父さんはずっと出張に行ってたからな。
おの みかんを持ってきましたよ。
田口 おお、母さん、りっぱなみかんじゃないか。
おの はい、いいみかんですよ。
田口 お前たち、マンガとかはおもしろいかい?
わかた おもしろい。
とやま ゲームもおもしろい。
田口 おもしろいことばっかりして!
たまには新聞も読みなさいよ。
‥‥いやぁ、それにしても、
家族水入らずっていうのはいいものだなぁ‥‥。
山下 ピンポーン。
田口さーーん、宅配便でーす。
田口 あ、はーーーい。
田口 ‥‥‥‥その緑のジャンパーは衣装ですか。
山下 なんか倉庫にあったので。
そんなことより、ここにハンコをお願いします。
田口 あ、はい(ハンコを押す)、ご苦労さまでした。
山下 ‥‥(ひそひそ声で)
「なんやろう? この荷物はなんやろう?」
と言ってください。
田口 なんやろう? この荷物はなんやろう?
山下 (ひそひそ声で)はたと思い出す。
田口 はたっ!
ああーーー! 思い出した!
山下 (ひそひそ声で)思い出しながら座る。
田口 これ、あれやん!
おれがインターネットで注文したやつやん!
みんなをサプライズさせたろう思てたのに、
なんや、おれが、サプライズしてもうたがな!
おの それは何ですか?
田口 これか? 母さんこれはな、あれや‥‥
とやま ザッハトルテやーーー!
モギ ことしも次女が言っちゃった。
山下 いいぞぉーー。
ここまでほとんど去年と同じだぞ。
そして恒例の‥‥。
モギ そうだ、リアルじゃんけんだ。
田口 みんな、わかってるな。
この、箱を開けるのがいちばんたのしいんや。
その役を誰がやるのか‥‥。
ことしも田口家では、
恒例のじゃんけん大会で決めようと思う。
わかた ドキドキ‥‥。
とやま ドキドキ‥‥。
モギ このじゃんけんだけはほんとに、唯一、
茶番劇の中でもリアルなところです。
田口 じゃあ、いくぞ!
‥‥さいしょはグーー!
田口 ‥‥ん? ちょっと待て。
わかた どうしたの?
とやま はやくじゃんけんしようよ。
田口 ‥‥さいしょはグーー。
田口 ‥‥んん?
田口 んん? 腕がいっぽん多い‥‥?
田口 ‥‥んん?
山下 (ひそひそ声で)そのままカメラ目線。
田口 ‥‥んん??
山下 さあ。
モギ さあ。
山下 お茶の間に、こつ然とあらわれた見知らぬ男。
モギ 新展開です。
ちなみに、この新たな登場人物は、
「ほぼ日」の、さいとーです。
さいとー よ、よろしくお願いします。
ぼくはなにをすれば?
山下 さいとーくんは基本、セリフ無しで。
とにかく笑顔でいてください。
さいとー わ、わかりました‥‥。
山下 さあ、お父さん、たいへんだ。
お父さんにしてみれば、
「きみはだれだ?」となりますよね。
‥‥どうぞ。
田口 ‥‥きみは、だれ?
さいとー (笑顔)
田口 だれなんだ、きみは。
さいとー (笑顔)
おの ポンポンチャイくんよ。
田口 ぽ、ポンポンチャイ?
わかた お父さんに言ってなかったっけ。
ポンポンチャイくんは
タイからの交換留学生で、
うちにホームステイしているの。
とやま お母さんが決めてきたの。
田口 ‥‥母さん、
おれが出張行ってるあいだに‥‥。
とやま お母さんは、
「これでたのしくなるでしょ?」
って言ってた。
田口 ‥‥か、母さん!
それじゃあいままでは、
いままでは、たのしくなかったと‥‥?
おの さいしょは、グーーーー。
田口 母さん‥‥。
おの じゃんけん、ぽいっ!
わかた ‥‥あいこだ。
とやま なんか、すごい緊張感。
おの あいこで、しょっ!
田口 ああ! そうか‥‥そうなのかぁ!
山下 お父さん、去年に続き一回戦敗退。
田口 勝ちたかった!
ほんっまに今回は勝ちたかった。
おの 続けますよ。
はい、じゃんけんぽいっ!
山下 あ。
モギ あ。
山下 これは‥‥まさか‥‥。
わかた ポンポンチャイくん、いくよ。
ポンポンチャイ (笑顔)
わかた じゃんけん、ぽいっ!
一同 うっわーーーーーーー!!
田口 お、お前ーーー。
山下 や、でも、お父さん、
ここは男気を見せよう(笑)。
歯を食いしばって、正々堂々と、
ポンポンチャイにその権利を。
田口 ‥‥ポンポンチャイくんとか言ったね。
「じゃんけんの勝者が
 たのしみの箱を開ける」
これは田口家の家訓だ。
きみがこの箱を開けなさい‥‥。
山下 ポンポンチャイは
無言でどんどん開けてください。
ポンポンチャイ (無言でどんどん開ける)
わかた わあ、毎年のおたのしみ。
とやま ね、ワクワク‥‥。
ポンポンチャイ (無言でどんどん開ける)
おの その包装紙はわたしがもらいます。
おの この紙はたたんでおかないと。
おの なにかに使うかもしれないから。
田口 ‥‥母さん、
そういう紙がもう、押し入れにいっぱいだよ‥‥。
わかた じゃーーーん!
とやま わあーー、つるつるしてきれいーーー!
ポンポンチャイ (笑顔)
わかた やったね、ポンポンチャイ!
とやま じょうずに開けたね!
ポンポンチャイ (ハイタッチ)
わかた いえーい!(ハイタッチ)
とやま いっえーーーい!(ハイタッチ)
山下 (ひそひそ声で)そのハイタッチの中で、
お父さんはしみじみした独白を。
田口 ‥‥娘たちよ。
いつのまにかこんなに大きくなった、
娘たちよ‥‥。
田口 立ち会い出産をしたあの日が、
まるで昨日のことのようだよ。
はいはいしかできなかったのに、
ふらふらとつかまり立ちをしたあの日。
はじめて自転車に乗れた、あの日の夕方。
父さんと、おててつないで帰り道。
お前たちは、とんとん拍子で成長して‥‥
わかた いえーーーい!
田口 ああ−、かぶってる。
私の独白にかぶってる。
母さん、このハイタッチをやめさせなさい。
‥‥母さん。
田口 だから、紙はもういいから!
おの きっと何かに使うのよ。
田口 ‥‥だいたいきみ(ポンポンチャイに)。
言葉はわからないかもしれないけど、
言わせてもらうよ。
ポンポンチャイ (笑顔)
モギ おお、お父さんがびしっと‥‥。
田口 ‥‥なんなの?
なんでうちの娘とハイタッチしてるの?
ポンポンチャイ (笑顔)
田口 あと、何才なの?
ホームステイって、
どの部屋に寝てるの?
ポンポンチャイ (笑顔)
田口 あのね‥‥
おの まあまあ、そのくらいにして。
せっかくのケーキをいただきましょう。
ポンポンチャイくん、
切りわけてくれる?(ナイフを渡す)
ポンポンチャイ (ナイフを受け取るが、ぼーっとしてる)
田口 ‥‥なにをぼーっとしてるんだね。
ポンポンチャイ ‥‥‥‥ほ‥‥ホット・ウオーター。
モギ しゃべった!
ポンポンチャイ ホット・ウオーター。
おの ‥‥あたたかい、水‥‥。
わかったわ、お湯ね!
(てきぱきとお湯を取りに行き、戻ってくる)
これでいいかしら。
ポンポンチャイ ‥‥(ナイフをお湯につける)。
わかた ナイフをお湯であたためて‥‥。
とやま あたためたナイフでザッハトルテを‥‥。
わかた わあー、きれいに切れてるー。
田口 ‥‥(しげしげと切り口を見る)。
田口 ‥‥きみは、
あたためたナイフでチョコケーキを切れば、
きれいに切れることをしっているのか‥‥。
ポンポンチャイ (笑顔)
田口 そんな男に、悪い男はいない。
ポンポンチャイ (笑顔)
田口 ポンポンチャイくん(肩をたたき)。
田口 ホームに、ステイしてよし。
ポンポンチャイ (笑顔)
山下 ‥‥す、すさまじい。
なんてすさまじい茶番劇なんだ‥‥。
おの さあさあ、お紅茶がはいりましたよ。
田口 おお、いいじゃないか。
田口 それでは、これも田口家の恒例。
ひとくち食べて、ひとりずつ、
「おいしくてうれしい顔」を見せてもらうぞ。
山下 いいなぁ、愛すべきマンネリ。
田口 まずは、次女、まりこから。
とやま ‥‥はむ(と食べて)、
んんんんーーーーーーーーーーーー!
おーいひーーーー!
モギ すごい‥‥またすっかり去年と同じ。
なんだこの安定感は‥‥。
田口 いいぞ! 父さんはその笑顔が見たかった。
次は、わかたろう。
わかたろうだなんて、
男の子みたいなあだ名でごめんな。
お前は、やんちゃだったからなぁ。
わかた (食べている)‥‥ああ、おいしい。
田口 お、ことしは、しみじみ味わう表情!
去年から格段の進歩が見えるぞ。
じゃあ、次はお母さん。
おの (食べる)‥‥ああ−、おしいい‥‥。
田口 か、母さん!
泣いているのじゃないのかい?
泣いているのじゃないのかい?
おの 感動していただけですよ。
田口 よかったよぉ‥‥驚いたよぉ‥‥。
みごと、迫真の演技だった!(ひとりで拍手)。
‥‥さて、きみの番だぞ。
ひとつ、見せてもらおうじゃないか。
ポンポンチャイ (食べる)‥‥‥‥んんーーーー!
田口 ‥‥‥‥‥‥フ。
モギ おお、お父さん、余裕の笑み。
田口 そういう表現は嫌いではない。
ただ、ほとばしるおいしさを表現するならば、
もっといかないとな。
モギ いよいよお父さんの番だ。
山下 田口さんのおいしい顔、
なんと4年目になるそれをよろしくお願いします。
田口 ‥‥いきましょう(食べる)。
一同 ‥‥‥‥(かたずを飲む)。
山下 まずは静かに‥‥。
山下 じわじわと美味しさがしみわたり‥‥。
山下 よろこびが、内から外にぃ‥‥。
山下 ほとばしるっ!!
一同 すごーーーーい!(拍手喝采)
おの お父さん、ほれ直しました。
わかた ひゅー、ひゅー。
田口 親をからかうやつがあるか(赤面)。
とやま ひゅー、ひゅー。
田口 よしなさい(赤面)。
ポンポンチャイ ひゅー、ひゅー。
田口 なんだきみは(真顔)。
山下 はーーーーい、ありがとうございました!
ことしも、もう、十分です。
誠心誠意の茶番劇は終了ー。
みなさん、ふつうにケーキを食べてください。
一同 はーーーい。
モギ ことしは、妙な緊張感だったね。
さいとー ‥‥ぼくは、大丈夫でしたか。
山下 大丈夫かどうかで言うと、
ぜんいんが大丈夫ではないです。
こころは傷だらけです(笑)。
しろうとの茶番劇ですから。
モギ でも、一所懸命の茶番劇だったのでは?
山下 そうですね、それはそうだと思います。
いずれにしましても、
ことしもお伝えしたいことは同じです。
「ひとつのケーキで、うれしくたのしく」
モギ それが伝わることを祈りつつ、
おひらきにしましょう。
山下 では、「ザッハトルテ家族」のみなさん、
最後のごあいさつをお願いしますよー。
カメラに向かってぇ‥‥。
あ、お母さんが目をつぶっちゃうのも、
恒例にしましょう。
はい、みんなでごちそうさまを言いましょう。
せえのぉ‥‥。
一同 ごちそうさまでしたーー。
いやー、ポンポンチャイ以外は、
ほんとにほとんど同じでしたねー。

ザッハトルテの「試食劇場」は、これにて終了。
みなさんも、ケーキの到着で、
「うれしく」「おいしく」なりますように

とじる