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小学校なら最終学年。
ついに6年目になりました。 |
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誰がこんなに続くと思ったでしょうか。 |
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いずれにしても、続いているのはおめでたい。
ことしもよろしくお願いいたします。 |
一同 |
よろしくお願いしまーーす。 |
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毎度おなじみの顔ぶれで‥‥
と言いたいところですが、今回はちがいますね。 |
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ひとりすくない顔ぶれです。
とりあえずご紹介しましょう。
「ザッハトルテ家族」、その配役は‥‥ |
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さんがお父さん役で、
ちゃんがお母さん役。 |
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ちゃんが長女を演じます。 |
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前回までは
ちゃんが次女を演じてましたが、
次女は恋人と暮らすために
この家を出て行ってしまったのです。 |
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‥‥というストーリーでした。
もちろんフィクションです。
なにがなにやらちんぷんかんぷんの方は、
「ザッハトルテ家族2014」をお読みください。 |
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そして今回も
最初に申し上げておくべきでしょう。
このコーナーは完全な「オマケ」です。 |
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オマケ! |
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「ザッハトルテ」を購入するにあたって、
重要な情報は、ここにはほぼございません。
ならば、なんのために、これをやるのか? |
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ケーキが届いたときのワクワク感や、
お届けする側のうれしさなど、
この販売を通してうまれる「きもち」の部分を
不器用でもいいから、
みなさんへお伝えするために、やるのです。 |
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それってある意味、
めっちゃ重要なポイントじゃないですか! |
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‥‥田口さん、ことしも同じリアクションを
ありがとうございます。
そう! 重要なポイントです。
ですから、こころを込めてやりましょう。
いいですか?
ぼくらには、こころしかないんです。
演技力はゼロです。なんなら、マイナスです。
だからせめて、精一杯のまごころを!
誠心誠意、この茶番劇をやりきりましょう。 |
一同 |
はい! |
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‥‥ことしは武者震いしますね。 |
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そうでしょうとも。
前回と同じストーリーではありませんから。
新作の茶番劇。初演です。 |
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初演‥‥。 |
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大丈夫。リラックスしてください。
お話の流れは、さっき説明しましたよね。 |
一同 |
はい。 |
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では、はじめましょう。
マイナスからの茶番劇。
オープニングはいつものシーンです。
「お父さんが茶の間で新聞を読んでいる。
子どもはマンガを読んでいる。
そこへお母さんがやってくる」
もろもろよろしければ、いきまーす。 |
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けっきょく、ぶっつけ本番‥‥。 |
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さんは
じゃんじゃん写真を撮ってください。 |
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了解(カメラを構える)。 |
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よおーい‥‥スタァーーーート!! |
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新聞っていうのはいいものだな。
なぜなら、新しいことが書いてあるから。 |
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‥‥お前はまたマンガを読んでいるのかい? |
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うん。 |
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どんなマンガなんだい? |
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恋愛マンガよ。 |
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‥‥れ、恋愛?!
まさか好きな人ができたんじゃ?! |
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お父さん‥‥。 |
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お前もまりこのように家を出ていくのか。 |
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ちょっと、お父さん、よしてください。
マンガを読んでるだけでしょう。
それよりほら、みかんですよ。 |
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ああ‥‥母さん。
すまない。つい取り乱してしまった。
‥‥そうだな、りっぱなみかんだ。 |
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はい、いいみかんですよ。 |
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ああ、いいみかんだ‥‥。
だが‥‥やっぱり母さん‥‥
ひとりすくないっていうのは、
さみしいものだな‥‥。 |
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‥‥そうですね。 |
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まりこ、元気かなぁ‥‥。 |
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母さん、最近まりこから連絡は? |
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(首を横にふる)あまり。 |
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そうか‥‥
連絡がないのは幸せってことなのかな。 |
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うん‥‥。 |
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‥‥‥‥‥‥。 |
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‥‥‥‥‥‥。 |
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‥‥‥‥‥‥。 |
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ピンポーン。
田口さーーん、宅配便でーす。 |
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あ、はーーい。 |
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こちら、お届けものです(荷物を渡す)。 |
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(受け取る)ご苦労さまです。 |
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‥‥(ひそひそ声で)
「なんやろう? この荷物はなんやろう?」
と言ってください。 |
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なんやろう? この荷物はなんやろう? |
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(ひそひそ声で)いいですか、ここからですよ。
お互いがんばりましょう。
まず、「んんん??」という表情をする。 |
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んんん?? これは、ザッハトルテや‥‥。 |
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(ひそひそ声で)
おれ、ことしはネットで注文してないやん。 |
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おれ、ことしはネットで注文してないやん!
家族3人でザッハトルテ1個は多いから、
もう、注文するのをやめたやん。
‥‥だれか、注文したの? |
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(首を横にふる) |
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(首を横にふる) |
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そんなわけで、
すみませんが何かのまちがいだと思います。 |
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‥‥ハンコください。 |
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いや、だから注文してないんですって。
受け取れないので、持ち帰ってください。 |
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困ります。
配達するのが私の仕事ですから。 |
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あのね‥‥。
いいですか。注文を、していないんです。 |
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ハンコください。 |
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‥‥なんだろうこの人は。
宅配便なのにピザ屋さんみたいな
ヘルメットかぶってるし。 |
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とにかくね、これを受け取るわけには、 |
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ハンコください。 |
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‥‥‥‥。 |
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‥‥‥‥。 |
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お父さん、わたしいいことを思いついたわ。
そのザッハトルテ、
わたしたちが返しに行きましょう。 |
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‥‥え?? |
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ヘルメットの人は持ち帰ってくれそうにないし、
それに、わたしいつか、
「シュヴェステルンハウス」に行きたかったの。 |
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「シュヴェステルンハウス」!
ザッハトルテをつくっているお店ね。 |
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そう、「シュヴェステルンハウス」へ! |
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「シュヴェステルンハウス」へ! |
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行きましょ。前橋までドライブだと思って。 |
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ドライブって、母さん、
そんなことを急に言われても・・・・・・・・・ |
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いやぁーーーーー、いいお天気っ!
まさにドライブ日和ですね!! |
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‥‥なんであなたも乗ってるんですか。
前橋からバイクで来たんでしょう? |
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電車で来ました。 |
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電車で? ヘルメットかぶって? |
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はい。 |
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今もおかしいですよ、車の中でヘルメットって。
「ラリー」じゃないんだから。 |
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はははは! どうぞおかまいなく! |
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お母さん、たのしいね! |
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そうね。
こうして家族でお出かけするのは久しぶりだわ。 |
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あ、お父さん、SA!
サービスエリアです!
入りましょう、入っちゃってください! |
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(車を停めて背伸び)
ああ‥‥きもちいいなぁ。 |
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ここで10分の休憩にしまーす。
各自トイレとかを済ませて10分後に集合ー。 |
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あの人、なんで仕切ってるんだろう‥‥。 |
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これこれ、SAではこういうのを食べないとね。
一本ください。 |
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ん‥ん‥うまいうまい。
(もりもり食べる) |
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(10分後車に戻ってくる)
サービスエリアはサイコーですね。
さあ、再び出発進行ーー!
わかたろうちゃん、「柿の種」食べる? |
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あ、ありがとうございます。 |
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わかたろうちゃんって‥‥。
なぜ、うちの娘のあだなを知ってるんですか。 |
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え‥‥? こまかいことはいいじゃないですか。
ドライブをたのしみましょうよ。
‥‥でも、あっれぇ?
なんか、車、進まなくないですか?? |
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渋滞みたいです。 |
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ええーー。
かんべんしてよぉ、渋滞。
えええええーーー。 |
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‥‥ひとんちの車に乗って、
グズグズ言わないでください。 |
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寝ようっと。 |
──── 約1時間経過 ──── |
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‥‥ふぁ〜‥‥居眠りしてたら前橋に。 |
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「シュヴェステルンハウス」は、もうすぐ? |
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もうすぐだよ。
ほら、そこを曲がって、そうそう、ここ!
はい、到着。
車はお店の前に停めてくださーい。
‥‥降りましょー(降りる)。
じゃーん。
ここが「シュヴェステルンハウス」です! |
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わあー、インターネットで見たお店! |
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ねえ。すてき。 |
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さ、中に入りましょう。どうぞ遠慮なく。 |
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‥‥お店の方は? |
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いま留守ですね。買い物かな。
さ、座ってください。 |
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いいんですかね、留守中、勝手に。 |
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いいのいいの、気にしないで。 |
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そうだ、わかたろうちゃん、
おなかすいてるでしょ。 |
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え? |
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ラーメン作ってあげる。
ちょっと待ってて(キッチンに移動)。
♪お鍋で〜 お湯を〜 沸かします〜
おいしい〜 チャルメラ〜 つくるから〜♪ |
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♪そうだ 卵も入れちゃおう〜
たしか冷蔵庫に ‥‥ありましたー! |
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♪できたよ できた〜♪ |
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よいしょ(ラーメンを運ぶ)。
はい、おまたせ。卵入りだ。 |
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‥‥ありがとうございます(食べる)。 |
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おいしい? |
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はい。 |
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よしっ!(ガッツポーズ)
わかたろうちゃんが、よろこんだ。
まりこちゃんにも食べさせたかったなぁ。
ま、みなさん、くつろいでってください。 |
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声 |
ただいまー。‥‥あらら?! |
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か、金井さん! そして紀子さん!
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きょうは帰りが遅くなるはずではなかったですか。 |
金井さん |
それがね、用事が早く済んだから帰ってきたの。 |
紀子さん |
菊池さんこそ、どうしたの? |
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それがその‥‥。 |
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「きくちさん」っていうのね。 |
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そういえば名前を聞いてなかったわ。 |
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すみません! 留守中に勝手なことを。 |
金井さん |
いいんですよ、
菊池さんを信用してるから鍵を預けてるんです。
自分の家のように使ってくれていいの。 |
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ありがとうございます‥‥。 |
紀子さん |
こちらのご家族は?
菊池さんのお友だち? |
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はじめまして。田口と申します。
金井さんと紀子さんのことは
インターネットのスライドショーで
拝見していました。 |
金井さん |
あらまあ(笑)。 |
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ザッハトルテを作っている方ですよね。 |
紀子さん |
じゃあ、お客様? |
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はい! 毎年ザッハトルテを食べてます! |
金井さん |
それはそれは。ありがとうございます。
で? 今日はなぜこちらに? |
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実はですね‥‥
かくかくしかじか、かくかくしかじかで、
ここにお邪魔しているというわけです。 |
金井さん |
そうだったの。
菊池さんといっしょに、わざわざ。 |
紀子さん |
菊池さん、いい人でしょ。
ちょっと変わってるけど(笑)。 |
金井さん |
菊池さんはね‥‥いろいろあったの。
くわしいことは、まぁ言いませんけど、
とにかくいろいろあって、
「一からやり直したい」って。 |
紀子さん |
それで、数年前からここを手伝ってもらってるの。 |
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金井さん |
東京方面に持っていけるだけのケーキを
配達してもらってるのよ。
電車で運ぶから効率はすごく悪い(笑)。 |
紀子さん |
でも、受け取る人の笑顔を見るのが
最高にうれしいんですって。
だから効率は悪くても。ね? |
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はい。やらせてもらってます。 |
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金井さん |
とはいえ、
ご注文いただいてないのに配達したのは、
たしかにこちらのまちがいだわ。
ちょっと、伝票を確認してきますね。 |
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待ってください、金井さん。
まちがいではないんです。 |
金井 |
‥‥どういうことかしら? |
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田口さんへお届けするザッハトルテは、
私が注文して、私が料金を支払いました。 |
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|
え? |
|
え? |
|
え? |
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つまり‥‥私からのプレゼントです。 |
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‥‥見ず知らずのあなたが、なぜプレゼントを?
ていうか、それなら最初に言ってくださいよ。 |
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照れくさくて‥‥。 |
金井 |
(笑)まちがいじゃなかったのね。 |
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はい! |
紀子さん |
じゃあ、そのザッハトルテは、
田口さんのおうちに行かないとね! |
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はいっ! もちろんです!! |
──── 5分後 ──── |
金井 |
帰り道、気をつけてね! |
紀子さん |
またいつでも遊びにきてねー! |
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はい。ありがとうございました!
お邪魔しましたー。
‥‥で、
なんでまた菊池さんが乗ってるんですか。 |
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これを配達するのが、私の仕事ですから。
さあ、東京へレッツゴー! |
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イエーイ! |
──── 1時間後、SA駐車場 ──── |
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‥‥‥‥ずいぶん、太陽が傾いてきました。 |
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‥‥そうですね。 |
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‥‥うかがってもいいですか。
なぜ、
私たちにケーキをくださったんです? |
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‥‥‥‥毎年、
私は毎年、見ていました。
田口家にケーキを届けてハンコをもらったあと、
窓のそとから、中の様子を。
‥‥みんなでじゃんけんをして、箱を開けて、
おいしい顔を順番にして‥‥。
それを見るのが大好きでした。 |
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ところが去年、次女のまりこさんが
恋をして家を出て行ってしまった。
そしたらことし、注文がなかった‥‥。 |
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なんだか‥‥火が消えたようでね‥‥。 |
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‥‥私にも、娘がふたりいます。
さくらと、かえでという名前です。
ほら、ここに。 |
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ヘルメットは、娘ふたりからのプレゼントです。
「配達のお仕事がんばってね」って。
「またみんなで一緒に暮らそうね」って。 |
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菊池さん‥‥。 |
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あのケーキは、私の勝手な願いなんです。
田口さんのご家族には明るくいてほしかった。
だから‥‥ |
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やった。できたわ。
すみません、ちょっと見ていただけますか。 |
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なにをです? |
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みかんアートです。 |
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トス。 |
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トス‥‥? |
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バレーボールの、トス。 |
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母さん‥‥それ、あとにしようか。
いま大事な話をしてるから。ね。 |
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はい。 |
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‥‥菊池さんのお気持ち、わかりました。
ありがとうございます。
そうですね‥‥
私は贅沢を言っていたのかもしれません。 |
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幸せの中にいるはずなのに、
ついつい昔のことを思い出してしまうんです。
いつのまにかすっかりお年ごろになっていた、
わたしの娘‥‥。 |
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パパと一緒じゃないと眠れないと
泣いていたあの夜。
はじめて自転車に乗れた、あの日の夕方。
おててつないで帰り道‥‥。 |
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できた! お父さん見て! |
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なんだい? |
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ネコとボール。 |
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‥‥‥‥。 |
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ネコがね、ボールで遊んでいるところ。 |
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‥‥すばらしい!(笑)
すばらしいよ、わかたろうちゃん!!
よーし、ごほうびに菊池さんが、
ソフトクリームを買ったげよう。
そして、
それを食べたら、みんなでおうちに帰ろう。
あの、あたたかいおうちへ帰ろう! |
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──── 約1時間経過 ──── |
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ただいまー。 |
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たのしかったー。 |
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こらこら、靴をちゃんとそろえなさい(笑)。 |
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‥‥田口さん‥‥お届け物です。
ハンコをください。 |
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ご苦労さまです。
たしかに、受け取りました(ハンコをおす)。
‥‥そしてどうぞ、お上がりください。 |
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いや! いやいやいや!
それはダメです!
私は外から見せていただければそれで! |
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菊池さん。
覗き見されるのは困るんです(笑)。
だから、さあ。 |
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‥‥そうですか。
では、お言葉に甘えて‥‥。 |
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よーし、いっしょにやりましょう。 |
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いっしょにって、まさか‥‥。 |
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その、まさかですよ!(笑) |
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「本気じゃんけん」だ! |
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そう。
届けられたザッハトルテは
箱を開けるのがいちばんたのしい。
その最高の役を、田口家では、
台本なしの本気じゃんけんで決めます。 |
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いつも覗き見していた、あのじゃんけんに
私もまぜてもらえる‥‥。 |
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がんばってくださいよぉ。
毎年ここでミラクルが起きます。
話題の中心になった人が強いんです。 |
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わ、わかりました、私、がんばります。
ありがとうございます、
ありがとうございます!! |
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さぁいしょは、グーー! |
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一同 |
じゃーんけーん、ぽんっ! |
|
一同 |
‥‥おあーーーーー!!(笑) |
※ことしも明るく盛り上がる田口家。
じゃんけんの結果が気になりますが、
ここまででたいへんな行数を費やしてしまいました。
じゃんけん→箱開け→ケーキカット→おいしい顔
というおなじみの流れにつきましては、
ことしはスライドショーでおたのしみください。
それでは、
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|
はい、チーズ。 |
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|
終了‥‥。お疲れ様でした。 |
一同 |
お疲れ様でしたー! |
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どうなるかと思ったけど‥‥ |
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やりきった。
「菊池さんがザッハトルテを電車で配達する」
という設定にかなり無理があったけれど、
とにかく最後までやりきりました。
モギちゃん、気配を消しての撮影、お疲れ様。 |
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いえいえ、それよりなにより、
前橋の「シュヴェステルンハウス」、
金井さんと紀子さんに大感謝です。 |
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ほんとに。
わけのわからない茶番劇に
お付き合いいただきました。 |
|
ありがとうございました! |
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できそこないのロードムービーのような
珍妙なお話になりましたが、
ことしもお伝えしたいことは同じです。
「ひとつのケーキで、うれしくたのしく」 |
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それが伝わることを祈りつつ、
おひらきにしましょう。 |
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また来年〜〜〜! |
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は、どうしよう‥‥?? |
▲「シュヴェステルンハウス」のみなさんと。
今回のお話も、すべてフィクションです。
「シュヴェステルンハウス」は菊池さんを雇っていませんし、
配送はしかるべきプロによって行われています。念のため。 |
ザッハトルテ家族2015は、これにて終了。
みなさんも、ケーキの到着で、
「うれしく」「おいしく」なりますように! |