ごくごく少数のあいだで
ひそかに好評をいただいている、
お芝居仕立ての試食会、「ザッハトルテ家族」。
気がつけばなんと、7回目となりました。
7年目の冒頭に、さらりと申し上げましょう。
今回で「ザッハトルテ家族」は最終回です。
‥‥ああ‥‥いま、ちょっとだけ、
「残念だな」と思ってくださったあなた、
あなたに、心からの感謝を。
ご愛読をありがとうございました。

注)ザッハトルテの販売自体は最終回ではありません。
  来年も行う予定です。

それでは、まいりましょう。
『ザッハトルテ家族 THE FINAL』です!
最後の最後まで設定は同じ、
「とある家庭のお茶の間」からはじまります。
どうぞハードルをグイっと下げて、
いやいや、もっと、もーっと下げて!
なにとぞご寛容に、読み進めていただければ。

現場監督は山下、写真はモギでお届けします。

山下 最終回です。
モギ 最終回。
山下 十分に、やらせていただきましたので。
モギ ええ。毎年自由にやってきました。
山下 ほんとは去年が最後のつもりだったんです。
でもやっぱり、
きちんと最後を締めましょうと。
モギ 最終回らしい感じで終わりましょうと。
山下 もう一度だけ上演することにしました。
‥‥くだらないコーナーなりに、
感慨深いものがあります。
モギ それなりに感慨深いです‥‥。
山下 なにはともあれ、
最後もたのしく! よろしくお願いします!
一同 よろしくお願いしまーす。
モギ ‥‥ふたり、なんですね。
山下 最終回はふたりだけです。
オノさんがお父さん役で、
オノちゃんがお母さん役。
モギ 娘たちは、いない。
山下 はい。
かつてこの家族には
オノちゃん演じる長女と
オノちゃん演じる次女が
いっしょに暮らしていましたが、
いま娘たちは家を出て、
それぞれの生活をいとなんでいます。
‥‥という「設定」です。
モギ なるほど。
この1年のあいだに長女も家を出て行った。
‥‥という設定なんですね。
山下 そういうことです。
モギ なにがなにやらさっぱりわからない、
という方は
「ザッハトルテ家族2012」
あたりから順に
お読みいただけると幸いです。
山下 それでは。
恒例の前置きからはじめましょう。
‥‥コホン。
えー、このコーナーは完全な「オマケ」です。
オノ オマケ?
モギ たいせつな情報は、ほぼございません。
ならば、なぜ、毎年これをやってきたのか?
山下 ケーキを待つワクワク感や
届いたときのうれしさなど、
「きもちの部分」を表現したかったからです。
田口 ええっ?! それってある意味、
めっちゃ重要なポイントじゃないですか!
山下 ‥‥ありがとう田口さん。
最終回にも同じレスポンスをありがとう。
そう、そうなのです!
ですから、誠心誠意やりましょう。
しろうとなりにこころをこめて、
茶番劇のラストを飾ろうではないですか。
一同 はい!
山下 じゃあ、いきますよ。
さっきざっと説明した流れで大丈夫ですね。
田口 ‥‥最終回もぶっつけ本番なんや。
山下 モギさんは写真を撮りまくってください。
モギ ラジャー(カメラを構える)。
山下 シーン♯1、
「居間でうたたねをするお父さん」、
もろもろ準備がよろしければ!
モギ オッケーでーす。
山下 『ザッハトルテ家族 THE FINAL』、
よおーーーーい‥‥スッタァート!!
おとうさん ZZZZZ。。
   ZZZZZZZZ。。。
おかあさん (みかんを抱えて登場)
みかんをもってきましたよ。
いいみかんを‥‥
おとうさん ZZZZZ。。。。
おかあさん お父さんったら、またうたたねして。
風邪をひきますよ。
お父さん、お父さん。
おとうさん ‥‥んあ? ああ‥‥寝てしまってたな。
おかあさん みかんですよ。
おとうさん いや、いまはいいよ。
お母さんはほんとにみかんが好きだな。
‥‥それはそうと、
あれだ、母さん‥‥その‥‥
わかたろうとまりこから最近なにか連絡は?
おかあさん (首を横にふる)
おとうさん そうか‥‥
便りがないのは良い便り、
ということか‥‥
(ため息をひとつ)。
おかあさん ‥‥お父さん、ひょっとして、さみしい?
おとうさん

だ、だ、だれがさみしくなんか!!
あのうるさいふたりがいなくなって、
せいせいしてるくらいだよ!
(声が震えている)

おかあさん はいはい(笑)、そうですね。
おとうさん ようやく静かに
新聞を読めるようになったんだ。
だれがさみしくなんか(ブツブツ)‥‥
‥‥ん?
(ちゃぶ台の上の箱に気づく)
おとうさん ‥‥なんだ、その箱は。
毎年見慣れた、ザッハトルテの箱じゃないか。
おかあさん ザッハトルテ‥‥。
わたし知りませんよ。
お父さんが置いたんじゃないんですか?
おとうさん いいや、まったく身に覚えがない。
‥‥母さんが置いたんだろ。
サプライズさせようと思って。
おかあさん いいえ。
おとうさん ほんとに?
おかあさん ほんとうに。
おとうさん うーむ。母さんは絶対に嘘をつかない。
おれはインターネットで注文してない。
宅配便の人が置いていった気配もない。
いったいどういうことなんだ‥‥。
おかあさん きっと神様だわ。
さみしそうにしているお父さんに、
神様がプレゼントしてくださったのよ。
ふたりで食べましょう。
(包を開けようとする)
おとうさん ちょっと待った!
‥‥「神様から」ということは、わかった。
おかあさん わかってくれたのね。
おとうさん でもな、母さん。
「誰が箱を開けるか」は、別問題。
‥‥箱を開ける人は、これで決めるんだ。
おかあさん ‥‥じゃんけん。ふたりでもやるんですか。
おとうさん そうだ。
いくぞ、母さん!
おかあさん はい、お父さん。
おとうさん こころをこめて‥‥
おかあさん はい‥‥
おとうさん さいしょはグーーー!
おとうさん ぬあっ??!
ちょ、ちょっと待て!
おかあさん どうしたんですか?
おとうさん ‥‥圧倒的に腕の数が多い。
おとうさん これらの腕の、持ち主は‥‥‥‥‥‥‥‥。
全員 せえのぉ、
お父さん、ただいまーーーーーーー!!
おとうさん え? えええええーーーーー?!
み、みんな、いつのまに!
いつのまに! 帰ってきたのかぁ!!
全員 さみしい思いをさせてごめんなさい!
おとうさん いいんだ‥‥いいんだよそんなことは!
ああー、にぎやかだなぁ、たのしいなぁ。
‥‥あなた、たしか菊池さん!
菊池 菊池です!
元気で配達の仕事を続けています!
おとうさん ああー、それはよかった!
‥‥そしてきみは、留学生のポンポンチャイ!
P.P.チャイ ホームステイ、ありがとござました。
タイにかえって輸入のしごとで成功しました。
おとうさん さすが我が家が見込んだ男!
で? となりにいる、きみはだれ?
C.C.ポイ ポンポンチャイのおとうとです。
名前は、チャンチャンポイ、いいます。

(※チャンチャンポイを演じさせられているのは
 新しめの乗組員、経理の菊地です)
おとうさん ふたりとも、無国籍な感じがすばらしいな!
‥‥さて、こっちにいるのは?
自分の夢を追いかけて家を出た、わかたろう!
いいんだ。いいんだぞ。いつでも帰って来い!
わかたろう お父さん、近い(笑)。距離が近い。
おとうさん 帰ってきたと思ったら
マンガばっかり読んで!
‥‥そして、お前たちだ。
まりこ ただいま、お父さん。
福田 ご無沙汰しています、お義父さん。
おとうさん まりこ!
そして、
イラストレーターの福田利之さん
まりこ わたしたち、こんなにしあわせよ!

(※以前も注意書きをしましたが、
 この設定はフィクションです。
 ふたりは結婚していません。
 ちなみに、次女役の外山真理子さんは
 ほぼ日を退職していますが、
 このために1日だけ来てくれました)
おとうさん おいおいおいおいー(笑)、
その手に抱いている「命」はなんだ?
ちょっとわたしにもだっこさせてくれ!
まりこ はい(渡す)。
おとうさん おおー、おっかないおっかない、
落っことしそう落っことしそう(笑)。
ママのところへ、帰りなさーい(返却する)。
おかあさん おとうさん、盛り上がってますね。
おとうさん 母さん、サイコーだよ!
おかあさん もっと盛り上がりましょう。
おとうさん では、みなさん。
ここはひとつ、わたくしの仕切りで、
たのしいじゃんけんを
再開したいと思いまーす。
おとうさん みんな、この箱の中に入っている
美味しいものは知ってますよね?
C.C.ポイ うーん‥‥トムヤムクン? パッタイ?
ぼくにはワカラナイです。
おとうさん そうか、チャンチャンポイは初めてだ。
いいかい、チャンチャンポイ、
この箱の中に入っているのは‥‥
まりこ ザッハトルテやーーーーー!!
おとうさん まただ! また大事なセリフを
まりこに言われてしまった‥‥。
でも、よし!
気を取り直して、いってみよう!
おとうさん みんな、わかってるな。
この、箱を開けるのがいちばんたのしいんや。
その役を誰がやるのか‥‥。
恒例のじゃんけん大会でそれを決める!

(※じゃんけんだけは、唯一、
 この茶番劇の中でノンフィクションです)
わかたろう ドキドキ‥‥。
まりこ ドキドキ‥‥。
田口 いくぞぉ! さいしょはグーー!
全員 じゃんけん、ぽいっ!
田口 なんでじゃーーー! 一発で負けたーー!
くうーーーー!
‥‥あれ? なになに?
あれよあれよと、もう決勝戦?
菊池さんとまりこの一騎打ち?
菊池 いきますよぉ‥‥さいしょはグーー!
まりこ じゃんけん、ぽんっ!
まりこ ぎゃーーーーー! 勝ったーー!!
わかたろう まりこちゃん、すごい。
おとうさん お前は、すごい。
「いなくなるとき」と「帰ってきたとき」
その両方で勝つとは‥‥。
P.P.チャイ まりこさん、ぼくの弟に
箱の中身を見せてあげてください。
まりこ はい(包を開ける)。
おかあさん その包装紙はわたしがもらいます。
おかあさん なにかに使うかもしれないから‥‥。
おとうさん たたまなくていいから!
どうせ使わないんだからーー(笑)。
まりこ じゃーーーん。
開けましたーーーー!
全員 うっわーーーーーーーー!
おとうさん たのしいな、たのしいな、みんな!
では、お父さんがこれを8等分に切りまーす。
(ナイフでカットしながら)
♪赤ん坊の分は 切らないよー
 お前はー お母ちゃんのミルクをー
 飲んでいなさいよーー♪
っと‥‥よし、8等分に切れた!
おかあさん お父さん、お父さん。
おとうさん さ、これをお皿にのせて‥‥
おかあさん お父さん、見てください。
おとうさん え? なにを?
おかあさん ノックオン。
おとうさん ‥‥‥‥。
おかあさん ノックオン。
わかたろう みかんアートだわ。
テーマは「ラグビー」ね。
おかあさん ボールを前に落としてしまう反則です。
わかたろう お母さんすてき!
おかあさん 紅茶のしたくも、できています。
おとうさん ありがとう。
それでは、お集まりのみなさま、
ケーキと紅茶は行き渡りましたでしょうか。
全員 はーーーーい。
おとうさん いただきますの、その前に‥‥
すこし話をさせてください。
おとうさん 娘たちに、感謝を。
‥‥娘たちよ。
いつのまにかこんなに大きくなった、
娘たちよ‥‥。
福田 あのぉ、ポンポンチャイさん、
ぼくら今度タイに行くんですよ。
福田 ホントですかー!
じゃあ、うちに泊まってくださいヨ!
おとうさん 立ち会い出産をしたあの日が、
まるで昨日のことのようだ。
おとうさん はじめて笑顔を見せてくれたとき。
うれしかった。
この子のために何でもできると思った。
やっとつかまり立ちができたあの日。
補助輪はずして自転車に乗れた、
いつかの夕方。
それらがぜんぶ、ついこの前のようで‥‥
菊池 ぼくも行きます、タイに!
わかたろう わたしも!
福田 ほんまですか、じゃあいっしょに。
C.C.ポイ 美味しいもの腹いっぱい食わせるから!
ソムタム、ガイヤーン、シンハービア!
全員 ソムタム、ガイヤーン、シンハービア!
ソムタム、ガイヤーン、シンハービア!!
おとうさん あーー、うるさーーーーーーい!!
おとうさん タイの美味しいものは、
あとでみんなで食べなさい。
いまは、ザッハトルテです!
おかあさん そうですよ、ザッハトルテを食べましょう。
おとうさん 田口家の恒例!
ひとくち食べて、ひとりずつ、
「おいしくてうれしい顔」を見せてもらうぞ。
まずは、次女まりこ!
まりこ はむ(と食べて)、おいひーーーー!
おとうさん いいぞ! 子どものころとおんなじ笑顔だ。
福田利之さん、お願いします。
福田 (食べる)‥‥お義父さん、おいしいです。
おとうさん 男は顔にすべてが現れるというが‥‥。
福田さん、大きな変化がありましたね。
‥‥次は、わかたろう。
わかたろう (食べる)‥‥おいしい!
おとうさん お前もやっぱり、子どものまんまだ(笑)。
そういう顔していつも笑ってた。
次は、ポンポンチャイ!
P.P.チャイ (食べる)‥‥うみゃーーーーーい!
おとうさん 伝わる! 伝わるよ、きみの感動が!
続いて、謎の弟・チャンチャンポイ!
C.C.ポイ (食べる)‥‥‥‥くわあっ!!
おとうさん な、なんという眼力‥‥。
ポテンシャル高し!
次いきましょう、菊池さん!
菊池 (食べる)‥‥‥‥はあああああ!
おとうさん 魂が叫んでいるようです。
じゃあ、お母さん!
おかあさん (食べる)‥‥‥うん、おいしい。
おとうさん 安定! 母さんはいつだってリアリストだ。
まりこ いよいよ、お父さんの番だわ。
おとうさん ‥‥‥‥いただきます。
おとうさん (ぱくり)‥‥‥‥うひょ!
おとうさん おいしいっ!!
おとうさん おいしーーーー!
おとうさん おいしーーーーーーー!!
       おいしいよーーーーーー!
 おいしーーーー!
    おいしーーーーーーーーーーーー!
  おいしーーー!
       おいしい‥‥‥‥‥
       ‥‥‥‥おいしい‥‥‥
 ‥‥おいし‥‥‥‥
   ‥‥‥‥お‥‥‥‥‥い‥‥‥‥
     ‥‥‥‥‥‥し‥‥‥
       ‥い‥‥‥‥
         ‥‥
         ‥‥
         ‥‥
おかあさん お父さんったら、またうたたねして。
風邪をひきますよ。
お父さん、お父さん。
おとうさん ‥‥んあ?
お、おいしいーーーーーー!!
おかあさん やだ、お父さん、寝ぼけてるの?
おとうさん ‥‥あ。
おとうさん ‥‥すごくたのしい夢を見てたんだよ。
おかあさん そう、よかったわね(笑)。
おとうさん それはそうと、
あれだ、母さん‥‥その‥‥
わかたろうとまりこから最近なにか連絡は?
おかあさん (首を横にふる)
おとうさん

そうか‥‥
便りがないのは良い便り、
ということか‥‥

(ため息をひとつ)。

おかあさん ‥‥お父さん、ひょっとして、さみしい?
おとうさん ‥‥‥‥そうだな。
ほんとのことを言うと、ちょっとさみしい。
おかあさん あらまあ(笑)。
おとうさん でも、会えなくなったわけじゃないし。
それにほら、
最初はこうしてふたりだけだったじゃないか。
おかあさん そうね。
おとうさん 当たり前だけど、
最初から「お父さん」と「お母さん」じゃ
なかったんだよな‥‥。
‥‥覚えてるか? 
原宿で食べたクレープ。
おかあさん やめてください(赤面)。
おとうさん お互いまだ学生だった‥‥。
寒い日に代々木公園で
コーヒーを飲んで‥‥。
おとうさん その場でプロポーズをしたんだ。
 それで‥‥‥‥
    あ! そうだあのとき!
        忘れてた‥‥。
     まだ学生で貧乏で、
       指輪が買えなかったから、
     「これを」って‥‥。
        指輪のかわりに
      ひとまずこれを
     受け取ってくださいって‥‥
       ‥‥‥‥‥‥‥‥
        ‥‥‥‥‥‥
         ‥‥‥‥
          ‥‥
  ‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥
       ‥‥‥‥‥‥‥‥
        ‥‥‥‥‥‥
         ‥‥‥‥
          ‥‥
おとうさん ‥‥なんでおれは
こんなに大事なことを忘れてたんだろう‥‥。
おかあさん お父さん、お父さん。
おとうさん あのあと必死でバイトして、
指輪を買ったんだよなぁ‥‥。
おかあさん お父さん、見てください。
おとうさん ん?
おかあさん ノックオン。
おとうさん ‥‥‥‥‥‥。
おかあさん ノックオン。
ボールを前に落とすラグビーの反則です。
おとうさん ‥‥‥‥‥‥母さん。
ただいまーー。
おかあさん あら? あの声はもしかして‥‥。
わかたろう じゃーーん! ただいま。
おかあさん わかたろうちゃん!
いつニューヨークから帰ってきたの?!
わかたろう きょうの午前中よ。
おかあさん ‥‥わかちゃん、
あなた、あか抜けたわねえー。
わかたろう そうかしら?
ニューヨークに行って
1年も経ってないのよ。
はあーーー(座る)、
やっぱり自分の家って落ち着くわー。
わかたろう ‥‥お父さん。
おとうさん ‥‥‥‥‥‥。
わかたろう ただいま、お・と・う・さん。
おとうさん 新聞っていうのは、いいな。
新しいことが書いてある。
わかたろう 新聞、さかさまよ。
おとうさん な! な!(あわてて新聞の天地を直す)
‥‥‥‥あのな、わかたろう。
ニューヨークに
アートの修行に行くのはいい。
でもな、ときどきは連絡をしなさい。
わかたろう ‥‥うん。ごめんなさい。
お父さんとお母さんの声を聞くと
どうしても甘えちゃう気がして‥‥。
おとうさん ‥‥そもそも、その、
ほんとうに大丈夫なのか。
わかたろうが目指してるアートというのは。
わかたろう わからない。でも、やるしかない。
おとうさん ‥‥本気なんだよな。
本気でお前は‥‥
わかたろう みかんアートで勝負してみる!
わかたろう 見て、わたしの作品‥‥。
おとうさん ‥‥‥‥‥‥‥‥。
おかあさん ‥‥‥‥‥‥‥‥。
わかたろう ‥‥‥‥できた。
わかたろう ビッグ・バン。
おとうさん ‥‥‥‥‥‥。
わかたろう ビッグ・バン。
宇宙の誕生。
おかあさん ‥‥わたしは、いいと思う。
おとうさん ‥‥母さんがそう言うなら、
いいのかもしれないな。
わかたろう ううん(首をふる)‥‥まだまだだって、
自分でわかってる。
実際、ニューヨークで笑われたりもしたわ。
でも、
「みかんひとつでも芸術はできる」
これはお母さんに教わったことよ。
ちいさなみかんに、無限の可能性。
おかあさん わかちゃん‥‥。
わかたろう みかんアートがだめなら、
次のアートに挑戦する。
わたしはみかん!
自分の可能性に賭けてみたいの。
おかあさん がんばって!
お母さん、応援する。
わかたろう ありがとう。
‥‥もう、その話はおしまいね。
じゃじゃーん、
これはなんでしょーかー。
おかあさん なあに?
わかたろう 前橋の「シュヴェステルンハウス」に寄って、
ここに来たのよー。
おとうさん お、おまえ! 
ザッハトルテを買ってきたのか!
わかたろう うん!
おかあさん わかちゃん!
わかたろう さあさあ、誰がこの箱を開けるのか、
田口家のじゃんけんよ!

(※じゃんけんだけは、唯一、
 この茶番劇の中でノンフィクションです)
おとうさん よーーし、
この大一番、お父さんはぜったいに勝つ!
わかたろう いくわよぉ、
さいしょはグー! じゃんけんぽいっ!!
おかあさん あら。
おとうさん うしっ! うしっ!(ガッツポーズ)
わかたろう たたみかけるように決勝戦!
さいしょはグー! じゃんけんぽいっ!!
おとうさん ああああああーーーーーーー!
山下 田口さん、ザンネーーン!
モギ 最後の最後のじゃんけんに負けました(笑)。
山下 と、ナレーションのように
山下とモギが横入りしてきまして、
長く続いたこのお話も、ぼちぼち終わります。
モギ じゃんけんに勝った長女・わかたろうは、
このあと、ワクワクに包まれて箱を開け‥‥
山下 例によって、家族みんなで
「おいしくてうれしい顔」をしたのでした。
モギ シリーズ最後の、「おいしくてうれしい顔」。
山下 田口さん演じるおとうさん、
最後はまっすぐ、素直な演技でした。
ぱくっと食べて‥‥
モギ おいしいね!
山下 こういうオマケもありまして‥‥。
モギ めでたしめでたしでございます。
山下 ‥‥‥‥‥‥お、終わった。
モギ 最終回が終わりました。
山下 出演者のみなさん、
ありがとうございました。
一同 (大きな拍手)
山下 とくにイラストレーターの福田利之さん、
お忙しいなかありがとうございました。
ほぼ日を卒業した外山真理子ちゃんにも
感謝です。
モギ 前橋「シュヴェステルンハウス」の
金井さんと紀子さん、
ずーっと勝手なコーナーを失礼しました!
山下 さて、ほんとーに最後です。
最後にお伝えしたいことは、
毎年同じく、やっぱりこれでしょう。
「ひとつのケーキで、うれしくたのしく」
モギ これがみんなに伝わりますように。
山下 さあ、「ザッハトルテ家族」のみなさん、
記念撮影を撮りましょう。
カメラに向かってぇ‥‥。
はい、全7回、おつかれさまーーー!
一同 おつかれさまでしたーー。


▲写真にポインタをあわせると‥‥。

「ザッハトルテ家族」は、これにて最終回。
重ね重ね、ありがとうございました。
この茶番劇シリーズは最終回ですが、
おいしいザッハトルテの販売は
来年も行われる予定です。
もしかしたら、新しいシリーズがはじまるかも?
とくになにもはじまらないかも?
どうぞ、ハードルを下げておたのしみに。

それでは!
チャオーーー!!


とじる