泉 |
そうなんですよ。
だから受験でうまくやれなくて
学者になった人たちって、
クエスチョンの立て方が、
そもそもへたくそなんですよ。
だから、論文の数も増えないし‥‥ |
サエキ |
わかった!
お勉強として受験をしようとする人は、
頭でっかちなわけなんですけど、
「学問が下手な人間だ」(笑)。
僕たち、すごい数の人を今、
敵に回してるかな、大丈夫かな?
でも、これすごいテーゼですよ。
センセイのいうとおり、
受験をしようとする人は
「学問に向かない」。
すさまじいテーゼが今日ここで。
ほんと大発見だ。 |
泉 |
受け身型に慣れちゃって‥‥ |
サエキ |
受け身型に慣れてしまう‥‥。
能動的じゃないんだ。
能動的に挑戦しなかったら、
絶対学問なんてできないですよ。 |
泉 |
だから、下手な勉強する人は例えば
「不定詞というのは
to+動詞の原形で名詞用法と
形容詞用法と副詞用法があります」
と言われると、
「なるほど、そうなんだ。覚えなきゃ!」
となるだけ。
受験を効率よく突破する人たちは
「そもそも不定詞って
なんで英語に必要なんだろう?
どうしてtoがつくんだろう?
なんで名詞用法・形容詞用法・
副詞用法という
3つの用法なんだろう?」
といちいち疑問を差し挟んでいくんです。
疑問を抱いて考えることで
本質的なところが見えてくる。
「不定詞とはこういうものだから、
こういうときに使うんだ。
だからここでは不定詞を使いたい」
というふうになればしめたもの。
つまり1の知識が10に広がる感覚です。
何も考えずに、
言われるがまま覚えていく人は
1の知識が1にしかならない。
だから効率悪いんです。 |
サエキ |
不定詞の問題なんかを見ますとね、
久しぶりに聞いて、
その分類に頭痛くなってます。
もう英文はかなり読めるし、
書けると思うけど、今だに、
名詞用法・形容詞用法・
副詞用法っていう言葉聞くと、
鳥肌が立つ。
要はあれからずいぶん
いろんな英文読んできましたけど、
ようするに「toがらみのシリーズ」
ということじゃないですか。
たくさん文章を読んだ人が
こういう場合もあるな、
ああいう場合もあるな、というときに、
初めて分類が意味を持つわけで、
文章をロクに読んでもいない人が、
分類から入ってそれを見ることほど、
わけのわからなくなることはないんですよ。
しかも、別に分類を知らなくても、
全く英語を操ることには支障がない。 |
泉 |
僕ね、日本の教育の
大きな問題のひとつは
先生が分類大好きなことだと思うんです。 |
サエキ |
ほんと分類大好きですよね。
オタクっぽい。
オタクは集めたものを
ジャンル分けするのが得意ですよ。 |
泉 |
実際ね、こんなもの分類したって
意味のないってものを
分類して得意になってる。
すると、意義ある分類と
そうじゃないものがごっちゃになって、
学ぶ側からすればたまったものじゃない。 |
サエキ |
ほんと恐れ入りますよね。
分類病の公害たるやすごいものがあって、
そのおかげで英語が嫌いになる人が多い。
そして、中途半端に分類を覚えると、
ますますわけ英語がわからなくなる。
ヘンな知識がジャマして
英語をあやつれなくなる。
たくさん読んだ上で分類を覚えると、
たしかに整理されるかもしれない。
でもたくさん読んでないから、
学生やってるんですよ(笑)。
そんなバカな話ないわけで‥‥。 |
泉 |
僕は今回の
『歌って覚える英文法完全制覇』は
「歌って覚える」というところが
クローズアップされてるんですけど、
中身を読むと言っていることは2つで
「分類するのは
整理するうえで重要だけど、
意味のない分類はやめよう」
つまり
「一緒のものは一緒でいいじゃないか」
というのがひとつ。それから、
「よーく考えよう」、
ようするに、
「言われたことを鵜呑みにするな」
というのを、とにかくずっと
訴えかけてるんです。
意味のない分類をするのは何でしょうね。
「どうだ、俺はこの違いがわかるんだ、
すごいだろ」というのを
先生が学生に見せて
悦に入りたいだけなのか、
先生自身が考えずに言われるがまま
鵜呑みにしてきただけなのか。
ちょっと考えれば、
もっともっと整理して
学生に提供できるはずなんですが‥‥。
予備校教師や塾の先生の方が、
学校の先生より分かりやすいという
意見が多いのは、まさにこの点を
しっかり考えているからでしょうね。 |
サエキ |
泉さんは不良されてたって
いうじゃないですか。
僕は常々思ってたのは、
青春を受験勉強にとられるおかげで、
体験として不十分になっている、
遅れちゃってることが
たくさんあるんですよ。
ひとつは男女交際の仕方を含めて、
地域社会における
自分という人間としての自立。
それは13、4歳くらいから、
きちんとやってないと。
できればボランティアとかね。
ボーイスカウトみたいなものに入って、
人前でハキハキ物が言えるようにしたり
活動できるように
10代はしたほうがいいんですよ。
にもかかわらず、
それができないというのは、
英語の文法みたいな
バカみたいなものを習得するのに
やたら時間がかかるからなんですよ。
泉さんが不良やってたのは
大正解だったんですよ。
不良やってるほうが
人間関係の反射神経つくしね、
自己責任も、悪さをしたリスクで覚える。
女の子との交際で、
人間は一人なんだという
感覚にも目覚める。
ヤンキーをやっていた方に、
人間として尊敬できる方が
多々いるというのは、
そういう理由なんです。
to=なんとか、とか覚えるより、
あその道ばたに
ヤバイ奴が座ってるいるから、
こういう態度で通ろうとか、
あの人にこんなこと言われちゃったけど、
この次どう出たら、
うまく説得できるだろうか、
とかそういう、
抜き差しならない人間関係に、
青春の思考を費やしたほうがいいと思う。
人間としての反射神経が
つくと思うんですよ。 |
泉 |
わりと、おおらかに
なるかもしれないですね。 |
サエキ |
グラマーやるより
高2まで不良やってたのが
良かったですよね。 |
泉 |
僕は絶対よかったと思います。 |
サエキ |
その後、勉強をして
取り返せたから良かったというよりも、
そもそも人生のその時間を
そういうふうに過ごしたということが、
良かったと。たとえ、受験に失敗しても。
そうですよね。 |
泉 |
ほんとです。だから僕は
今の生き方ができるんだと思うし、
世の中で、型にはめてくるのは
いいんだけど、
「これはこういうものだから」
というだけで、
理由もなく型にはめようとする。
それはつまり受動的なんですよ。
「世の中はこう決まってる、
だからこうしなきゃダメじゃないか」
って言ってくるんだけど、
どう考えても僕の言ってることの方が
正論だと思うと、
それを貫き通すという根性は、
不良時代にできましたよね。 |
サエキ |
いろんなものが日本の中で
変わってきてるじゃないですか。
たとえば、歴史的に大事な建物とか
沼とか池が潰される。
そういう変化に対して
すごく寛容なわりには、
どうして、そんなばかげたものを
存続しつづけることに、
みんな我慢できるんだろう。
そこが、僕は不思議で
しょうがないんですよね。 |